白熱した戦い、さまざまな感動とドラマがありましたが、それと同時に注目されていたのが世界一のグリーン都市をめざすバンクーバーの環境対策です。(寄稿:多田)
オリンピック・パラリンピックの会場として新たに建設されたリッチモンド・オリンピックオーバルなど、すべての施設がLEEDカナダに登録し、環境建築物の証明を取得するよう努力していました。LEEDとは米国グリーンビルディング協会による環境建築物の認証システムのことで、正式名称をLeadership in Energy and Environmental Designといいます。(1)建築地の持続可能性、(2)水効率、(3)エネルギー効率、(4)建築資材、(5)室内環境、(6)革新性と設計プロセスの、6つの項目で査定され、4段階の評価(プラチナム、ゴールド、シルバー、サーティファイド)が受けられます。バンクーバーオリンピックセンターはLEEDゴールド認証、リッチモンド・オリンピックオーバルはシルバー認証を取得したそうです。
また、ウィスラーの屋外会場では、コースやジャンプ台、ボブスレーなどのスライディング施設の建設に、なるべく自然のままの形を残し、木を切らずに済む方法を考えて自然と調和した会場づくりをしたとのことです。
さらに建築物以外でもさまざまな環境対策が実施されています。交通ではタクシーをハイブリッド車にしたり、水素バスの導入などが挙げられます。
このように、オリンピックは今や単なるスポーツの祭典としてだけでなく、環境対策を世界にアピールする絶好の機会となってきています。
そういう意味では2016年のオリンピックに立候補していた東京が落選したことは残念と言うしかありません。私も実は3年くらい前までは東京でのオリンピック開催には反対していました。しかし、あるイベントで東京都環境局の方の話を聞いて考えが変わりました。それは、東京でオリンピックを開催することが環境先進都市東京を世界にアピールする絶好の機会だということを意味すると知ったからです。当時、都庁内でもっとも招致活動に積極的だったのが環境局の職員だったそうです。ただ、東京オリンピックの基本方針を読み直してみると、環境面に関しては具体的な数字がなく説得力に欠けていた気がするのも事実です。
2006年にドイツで行われたサッカーのワールドカップでは、「グリーンゴール」というテーマのもとに、競技場で使うエネルギーや水を20%削減する、観客の50%は公共の交通機関を使う、12カ所の会場で使う電力は水力発電による電気を使うことなどが目標として掲げられていました。
日本はまだまだスポーツと環境の結びつきが弱いのかもしれませんが、環境立国日本を世界にアピールするためにも、オリンピックだけでなくサッカーのワールドカップやさまざまな競技の世界大会を招致し、そのきっかけをつくってほしいと思います。
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