遊びにおいでよ 「ひなたボッコ」のおはなし会
青葉台を中心に読み聞かせなどの活動を続けるボランティアグループ「おはなしひなたボッコ」。「青葉コミュニティハウス 本の家」での「おはなしの部屋」にはいつもたくさんの親子が楽しみにやってきます。メンバーの作り出す「ひなた」みたいなあったかさが魅力です。

毎月恒例「おはなしの部屋」

私が取材におとずれたのは5月24日(水)。場所は、28,000冊の蔵書をもつ「青葉台コミュニティハウス 本の家」(以下「本の家」)です。
「おはなしひなたボッコ」(以下ひなたボッコ)による「おはなしの部屋」が10時半から始まります。

 

地域の人たちから親しみを込めて「本の家」と呼ばれる。青葉台から徒歩5分の便利な場所にある

 

その日の担当は代表の佐藤慶子さん、高橋祐子さん、矢戸智子さんの3名です。
開始時間の30分ほど前に伺った私は、「ピリリとした空気が流れているのかな」とかなり緊張していました。
しかし、実際、部屋に入って見ると、和気あいあいとした雰囲気です。
当日のプログラムは、メインのもの以外は、その日の子どもたちの年齢をみてから決めるそうです。打ち合わせもあっという間に終了。
事前準備ばっちり! を想像していた私は拍子抜け。そんな私に「うちは、なまぬるい会なのよ〜」とみなさん笑います。

 

小さなお客様

10時半少し前になると小さな子どもとママたちがやってきました。この日の参加者は13組。0〜2歳ぐらいの幼い子どもたちが中心です。

「わ、ちっちゃい人がいっぱい!」

お客様の想像以上の若さ(?)にちょっと戸惑う私に、佐藤さんは、「今日は年齢層高めよ」(!)とこっそり教えてくれました。いつもは抱っこの赤ちゃんがもっと多いのだそうです。

 

おはなしの大好きな子どもたち

私はなんだか心配になってきました。
この子たち、みんなお話きけるのかな?
うろうろしちゃわないかな?

しかし、この小さなお客様たちは私の不安を一気に吹き飛ばしてくれました。

佐藤さんによる手遊び歌「空豆、エンドウ豆」が始まると、子どもたちの視線は佐藤さんの動きに釘付け。一緒に踊り出す子どもたちもいます。よそ見をしている子なんていません。すごい集中力です。

矢戸さんによる『いちご』(こがようこ・著、大日本出版・刊」の読み聞かせ。
絵本に描かれたおいしそうないちご。矢戸さんが食べるまねをすると、我慢しきれなくなった子どもたちが前に出てきて一緒に食べ始めました。

 

「ああ、おいしい」「もう一個食べよう」とみんな食欲旺盛。ママに届ける子もいます。前にくる勇気のない子も、心の中でちゃんと参加していますよ

 

後半は高橋さんによる唄入りおはなし『一寸法師』です。
絵本がないのでそわそわしている子もでてきました。しかし、シーンが変わり、高橋さんが声色を変えて迫力満点の鬼の声をだします。

すると、子どもたちは一気にお話の中へひっぱりこまれます。高橋さん、さすがです。
「うちの子、高橋さんのファンなんですよ」とこっそり教えてくれたママもいます。

 

「打ち出の小槌でみんなも大きくなるかな? あれ、ならないねえ」演技力抜群の高橋さんは人形劇もお得意

 

楽しかった30 分間。「おはなしの部屋」が終了すると、最後はカードにスタンプを押してもらいます。10個集めるとプレゼントがもらえるそう。これもうれしいですよね。

こんなことを教えてくれたママがいました。
「ひなたボッコ行くよ〜と子どもに声をかけると、さっさと帽子をかぶって玄関で待っているんですよ。私の準備が追いつかなくて」
「ひなたボッコ」、若いファンがたくさんいそうです。

 

「ひなたボッコ」と「本の家」

「ひなたボッコ」は、読み聞かせの会場である「本の家」と共に歩んできました。

前身の緑区青葉台青少年図書館の頃から職員が続けてきたお話し会を、「青葉台コミュニティハウス」になったのをきっかけに、お話しの大好きなメンバーが「おはなしひなたボッコ」として引き継ぎました。
「おはなしひなたボッコプロフィール」より

現在「ひなたボッコ」は、メンバー18名。ホームグラウンドである「本の家」での「おはなしの部屋」を月に2回行い、他にも出張お話し会、イベントなどへの参加も多数行なっています。青葉区のあちこちで活躍中の「ひなたボッコ」。実際、その活動はどのようなものなのでしょうか。

 

無理ないペースで参加する

6月12日(月)。この日は、8名が「本の家」の会議室に集まりミーティングが行なわれました。

佐藤さんから、7月2日に「本の家」で開催される七夕のおたのしみ会、8月2日の「山内図書館」での夏のおはなし祭り、そして11月には「山内地区センター」での青葉おはなしフェスティバルに関する予定などが報告されます。

一番大きなイベントである「青葉おはなしフェスティバル」。昨年参加したのは17グループで、それぞれのグループの代表が集まり、打ち合わせを重ね、つくり上げていくそうです。「ひなたボッコ」は第一回目からの参加で今年は18年目。すでに準備も着々と進んでいるようです。

毎月、いろいろなイベントに出演している「ひなたボッコ」。代表として会議などに出ている佐藤さんに「忙しいですね」と言うと「そうでもないわよ。行かれない時は誰かが代わりに行ってくれるから、大丈夫」、と。

おはなし会やイベント、会議なども出られる人が出る。無理をしない。お互いに協力し合うのが、長く楽しく続ける秘訣なのかも知れません。

 

 

ミーティングは笑いも交えて。でもみなさん真剣です

 

「夏のおはなし祭り」のための歌と踊り。振り付けをみんなで練習中。アコーディオンの伴奏も入る

 

自分が自分らしくいられる場所

メンバーのみなさんに「ひなたボッコ」に入ったきっかけを聞いてみました。
「孫に読み聞かせしたくて」、「小学校の図書ボランティアをはじめたのをきっかけに」、「ひなたボッコ主催の読み聞かせ講習会に参加したあと、誘われて」など、人それぞれです。

佐藤さんは、17 年前、子育てが一段落したことを機に、自分でやりたいことを探しました。まず、図書館に行ってお話のサークルを紹介してもらい、見学に行きます。そこで、「ひなたボッコ」に出会ったのです。
「ここがいい! ここに入りたい!」と見学当日に「ひなたボッコ」に惚れ込んでしまったという佐藤さん。
決め手は何だったのでしょうか。

「ここが一番自分らしくいられると思った」(佐藤さん)
読み聞かせの知識が何もなかったという佐藤さんは、「先輩方から、本当に丁寧に、一から教えてもらった」と17年前のことを振り返ります。

 

代表を長く勤める佐藤さん(手前)。オールマイティに何でもこなせるタイプとみなさんが太鼓判を押す

 

ひなたボッコの魅力は個性豊かなみなさんが作り出す世界です。得意な分野もさまざまで、担当も自然に分かれてくるのでしょうか。大型絵本や、ペープサート、わらべ歌、昔話、手遊び歌、人形劇など、それぞれに好きなことを勉強しておはなし会に生かしているのです。

 

「ひなたボッコ」はみんなのひなた

高橋さんの言葉が印象に残ります。

「おはなし会の30分間は、ママのための時間でもあるのよ。子どもが泣いてもうろうろしちゃっても気にしないて大丈夫。ひなたボッコはそういう場所だから」

なんだか、仲良しの親戚のお家に遊びにきたみたいです。

子どもとママをちゃんと受け止めてくれる「ひなたボッコ」。

おひさまはみんなに平等にひなたを与えてくれます。
「おはなしひなたボッコ」も同じ。
「泣いちゃう子も、騒いじゃう子もみんな来ていいんだよ。ママもここでゆっくりしていきなよ」
そんなメッセージを受け取りました。
おひさまみたいなメンバーたちがつくる「おはなしひなたボッコ」です。

Information

おはなしひなたボッコ

青葉台コミュニティハウス 本の家

横浜市青葉区青葉台2-25-4

「おはなしの部屋」

2水曜日 15:3016:00

4水曜日 10:3011:00

一番近いイベントは630日(金)に青葉台フォーラムで行われる森ノオトの「リユースサロン」での読み聞かせです11:0011:3012:0012:302回ありますよ。

<メンバー募集中>

「ひなたボッコ」では一緒にやっていく仲間を随時募集中。「男性も大歓迎だし、子ども連れももちろんOK! 抱っこで読み聞かせしてもいいのよ」とみなさん。

佐藤慶子(代表)

045−971−1198(ご用件は留守電に入れてください)

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この記事を書いた人
山田麻子ライター
横浜市青葉区在住。中学生女子、小学生男子の母。料理の仕事歴25年以上。管理栄養士。森ノオトでの初めての取材をきっかけに、絵本、詩、素話に出会い、その世界の虜に。以来、絵本と飲み物やお菓子の相性を考えるのが楽しみに。図書ボランティア活動、おはなし会のお菓子作りなどに心ときめく。現在の夢は「語り手」になること。 ブログ:スマイル*ごはんを始めよう
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