12月に入ると、まちの中はクリスマス一色になりますね。この時期、私はクリスマスに関連する絵本や物語を集めては、眺めたり、読んだりしています。それは、外国のクリスマスの雰囲気を楽しみたいという思いがあるからです。
たくさんのクリスマスに関連する本がある中、私がおすすめしたいのは外国のこの季節の暮らしが見えるものです。
クリスマスを迎えるためにお母さんたちは何をつくっているのか、子どもたちはどんな風に過ごすのか。そんな様子が描かれている物語を毎晩少しずつ読んでいくと、子どもたちのワクワクも高まっていきますよね。
今回ご紹介するのは、ヨーロッパとアメリカの古い本ですが、どの本も、お金ではなく手間をかけてクリスマスの支度をしているところに、本当の豊かさを感じます。
少し長いお話は、クリスマスまでの間、子どもに少しずつ読み聞かせてあげるのもいいですね。きっと心に残るプレゼントになると思います。サンタクロースとプレゼントだけではないクリスマスの空気をお子さんと一緒に感じてください。
(ルドウィヒ・ベーメルマンス=文・え、光吉夏弥=編訳/岩波書店)
これは、町育ちの男の子ハンシが、冬休みの間、田舎のおじさんの家に遊びにいくお話です。子どもと一緒に読めば、お母さんと離れる時の気持ちに共感し、雪の多い地域ならでは過ごし方や、教会でパイプオルガンの演奏と聖歌隊にドキドキする気持ちも楽しめることでしょう。わたしは、成長していくハンシを見守る母の気持ちで読んでいます。
(アスリッド・リンドグレーン=作、イロン・ヴィークランド=絵、石井登志子=訳/岩波書店)
こちらは「おもしろ荘」に住むリサベットとマディケンの姉妹のお話です。クリスマスというタイトルに惹かれて選びましたが、子どもたちがかわいらしくて読んでいて楽しくなります。挿絵もすてきです。クリスマスが近づくと、毎日、ふだんとは違う準備があり、クリスマスへの気持ちを盛り上げてくれるそうです。子どもらしい失敗や、周りの大人たちの助けも温かな気持ちにさせてくれます。もちろん、クリスマスのお菓子や料理も出てきますよ。
(アスリッド・リンドグレーン=作、大塚勇三=訳/岩波書店)
こちらはクリスマス前の準備期間が詳しく書かれています。ジンジャークッキーをブタの型で抜いて焼いたり、イブの夜に踊るダンスを練習したり。お父さんと一緒にクリスマスツリーにするもみの木を切りに行くという、日本ではできないような準備の日もあってうらやましいです。やかまし村に住んでみたいと思わせます。
(ローラ・インガルス・ワイルダー=作、ガース・ウイリアムス=画、恩地三保子=訳/福音館書店)
母さんが作る料理が本当においしそう。塩漬けブタと糖みつ入りの豆を煮込んだもの、ほしリンゴパイ……食べてみたいですね。また父さんは母さんのために、毎晩板に模様を彫りあげて棚を作ります。贅沢なものではないけれど心のこもった贈り物です。
最後は毎晩一話ずつ読んでほしい本です。
『クリスマス物語集』(中村妙子=編訳/偕成社)
この本には14 編のお話や詩が入っています。いろいろな国のクリスマスに語り継がれたお話をまとめたものだそうで、どれも読み終わると心が温まるものばかりです。子どもに少しずつでも読んであげれば、とても素晴らしい贈り物になると思います。私は昨年の12月、この本に入っている『だれが その鐘を ならしたか』(レイモンド=M=オールデン=作)というお話にとても感動したので、小学校の読み聞かせの時間に読もうと思って家で練習してみました。ところが、何度読んでも感動して涙声になってしまうので読み聞かせは諦めたほどです。
今回選んだ本のほかにも、もちろん素敵なクリスマスの物語はたくさんあります。自分や子どもたちのお気に入りの一冊が見つかるといいですね。また、これらの本は一度に読まず、また来年この時期に読もうねと決めておくのもクリスマスの楽しみになりそうです。
本の世界を満喫することで、より一層温かな気持ちでクリスマスを迎えられると思いますよ。
生活マガジン
「森ノオト」
月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる
森のなかま募集中!