森ノオト、勝手に観光協会!〜市ケ尾横穴古墳群編〜
森ノオトライターが勝手にセレクト!ちょっとマニアックな、横浜市のおすすめスポットを紹介する連載「森ノオト、勝手に観光協会!」。第二弾は横浜市青葉区市ケ尾町にある、「市ケ尾横穴古墳群」です。
住宅に囲まれた遺跡公園には、夏のジリジリとした暑さも引いていくような、静けさとおごそかさが漂っています。少し不思議な空気をまとう横穴古墳群とその周辺を、「森ノオト観光協会」スタッフの佐藤沙織がご案内します。

市ヶ尾に、すぐ隣で子どもたちが遊べるほど身近な古墳群があるらしい……。

 

古墳といえば堀に囲まれて、史跡として保護されたお墓というイメージを持っていた私は、話を聞き実際に訪ねてみたくなりました。

 

そこで2025年6月のある日、私は森ノオトライター仲間とともに横穴古墳群に向かうべく、東急田園都市線・市が尾駅に降りました。

 

梅雨とは思えないジリジリと肌を焼く暑さを感じながら、市ケ尾横穴古墳群へと15分ほど歩いていきます。国道246号線を渡り、飲食店やクリニックなどが並ぶ商業通りを旧大山街道方面に進んでいくと、住宅街へとだんだん様子が変わってきました。

 

緩やかなアップダウンの道の先に、緑がこんもりと集まる空間を発見。市ケ尾横穴古墳群がある、市ケ尾遺跡公園に到着です!

整った住宅街の中、白い看板が目印。向かいには市ケ尾小学校があります

公園の中には、計19基の横穴墓があり、A群12基、B群7基が集まっているエリアの様子を見ることができます。

 

まずは入ってまっすぐ進んだところにあるA群へ。

公園はたくさんの樹木と竹林に覆われていて、汗を流し歩いてきた私たち4人は、ほっとする思いで中へと向かいます。A群は、写真左手の斜面の奥に

 

崖地をうがつように掘られた穴が、横穴古墳です

ほとんどの横穴古墳は、すぐ側まで近づくことができます。入り口が開いているところと閉じているところがあり、中には、横穴の中に入れるところも!

 

古墳といえば、広大な土地に盛り土をして作るものしか知らなかった私。横穴古墳は、丘陵や崖の斜面に横方向に穴を掘って作り、自然の地形が生かされています。

 

この市ヶ尾の古墳群は6世紀後半から7世紀後半のものといわれていて、この地域の有力な農民の家族墓だそう。19基はそれぞれ内部の構造が異なり、時代による形式の移り変わりがあったとされています。

内部の構造を説明する看板が各所設置されています。玄室(遺体安置所)と羨道(玄室へと向かう通路)からなる点が特徴です。レポーター失格ですが、私は中には怖くて入れませんでした……

 

B群7基は、A群とは別の斜面にあります。この中のB-6号横穴が、市ケ尾横穴古墳群の中で最も古く、6世紀後半のものといわれています

 

森ノオトライターの一柳亮太さん(左)が、1930年代の市が尾エリアの地図と今の風景を見比べます。「目の前の竹林、昔からここに変わらずあったみたいですよ」と教えてもらいました。こんなまち歩きの楽しみ方があるなんて!

さて、散策の後は市ヶ尾ランチの時間です。お腹を空かせた私たちは、横穴古墳群から市が尾駅方面に少し戻ったところにあるとんかつ屋さん「白木屋とん平」を訪れました。

 

スッキリと広い店内にはカウンター席とテーブル席、小上がりの掘りごたつが。とん平は地元民に愛される、創業45年以上の老舗店です。

私はロースカツ定食を注文しました!衣がサクサク、旨味のあるお肉の脂がじんわりと口に広がります。とん平は、散策メンバーの塚原敬子さんがファンということもあり来店しました

とん平は、とんかつ屋だからといって「とんかつ一択」ではありません。フライなら三崎産のアジを使ったアジフライ定食も絶品なんだとか。私が一番驚いたのが、地産地消の素材を使った手作りジェラートのおいしさです。

 

中でも、横浜発のブランド野菜「恋豆」という品種の枝豆を使った恋豆ジェラートは、枝豆の若くフレッシュな“青さ”が楽しめて、食後のデザートにぴったりです。ジェラートはテイクアウトもできるそうで、市ヶ尾観光のお土産はこれに決まりです♪

写真右下がテイクアウト用のカップ。ジェラートは他にもトマトや青じそ、緑茶、白味噌などがあり、店内では2種類の味を選べます。なんでもジェラート製造のために機材まで揃えたそうで、どれも素材の味が鮮やかに感じられます。使う素材は全て横浜産の規格外の野菜や果物なんだとか

さて、腹ごしらえも済んだところでもう一カ所、歴史スポットをご案内しましょう。

 

市が尾駅から約20分、鶴見川と並行するように大場町へと歩いていった先に、「稲荷前古墳群」があります。上麻生道路沿いにあり、一見ただの丘のように見える場所です。

盛り上がっている場所が古墳で、なんとお墓の上に登ることができます。現在方墳2基、前方後円墳1基が保存されています。古墳の上からは大場町の住宅街や畑を一望できる素晴らしい眺めが広がっているので、ぜひ足を運んでみてください

稲荷前古墳群は4世紀から7世紀にかけて作られたものとみられていて、かつては計10基の古墳と9基以上の横穴墓があったといわれています。この近くにある市ケ尾高校の校章は、稲荷前古墳群などの史跡にちなみ、古墳時代の副葬品として用いられた「八稜鏡(はちりょうきょう)」がモチーフにされているらしい!と、散策メンバーの佐藤美加さんが教えてくれました。古墳が身近な地域ならではだなと、私は興味深く思います。

 

土地に溶け込むようにたたずむ市ヶ尾の古墳群は、歴史と今がひとつながりだと感じられる身近さがありました。ぜひみなさんも訪れて、歴史に思いを馳せてみてくださいね。

ともに古墳調査をしてくれた、森ノオトライターの(写真右から)塚原敬子さん、一柳亮太さん、佐藤美加さん、ありがとうございました!

Information

市ケ尾横穴古墳群を訪れた方は、ぜひ森ノオトへ感想をお寄せください。

https://morinooto.jp/mori/contact/

 

市ケ尾横穴古墳群
https://www.city.yokohama.lg.jp/aoba/shokai/bunkazai/a/bunkazai006.html

 

稲荷前古墳群

https://www.city.yokohama.lg.jp/aoba/shokai/bunkazai/a/bunkazai001.html

 

白木屋とん平

横浜市青葉区市ケ尾町1170-6

東急田園都市線・市が尾駅から徒歩3分

11:30〜14:00/ 17:00〜21:00 火曜・水曜定休

https://www.instagram.com/tonpei_shirokiya/

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この記事を書いた人
佐藤沙織スタッフ/ライター
横浜市泉区生まれ、西区在住。そこに住む人の等身大の言葉でつくられた森ノオトの記事に魅せられてライターへ。身近な人の気持ちや様子をそっと書き残していけたら。読書と犬が好き。趣味のゴルフは毎回大乱闘。
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