兄と弟の絵本棚 Vol. 41『もりのなか』
公園に行くと我が家のこどもたちはみんな木登りをして遊んでいます。公園の木を次々に制覇していく姿をみると、自然へ連れ出したくなります。今月の絵本は『もりのなか』です。
 

最近、我が家でせっせと絵本を運んでくるのは妹ちゃんになりました。兄弟は図書館の本を読むことが多いです。四年生の兄は、家の本はすっかり読んでしまいましたが、朝晩ちょっとでも時間があると、本棚から本を選んでは読んでいます。それが懐かしい絵本だったりすると、母はちょっとほっこりしてしまいます。

 

さて、今月の絵本『もりのなか』を知っていますか?

 

実は、この本は、声を出して読んで、気持ちがいい一冊! と母である私は思っています。木々の色合いが美しい絵本にも見惚れるのですが、モノトーンの『もりのなか』のもつ静寂に感じ入ってしまいます。

 

白黒の絵本なんて、こどもは読むのかな? と思うかもしれませんが、こどもは柔軟、すっとお話の中に入っていきます。

 

ラストのページの作者紹介によると、なんでも幼少のころから絵の才能があり、小学校に入るころには大人の美術クラスで絵を描いていたとか!

 

訳を手がけているまさきるりこさんは、4月に紹介した『くんちゃんのはじめてのがっこう』の訳者さんでもありました。

森の絵本いろいろ。モノトーンが印象的な『もりのなか』。本屋さんで見かけたことはありますか?

森の絵本いろいろ。モノトーンが印象的な『もりのなか』。本屋さんで見かけたことはありますか?

主人公「ぼく」は、かみのぼうしをかぶり、あたらしいラッパをもって、もりへさんぽにでかけます。もりのなかでは、ライオン、ぞう、くま、などの動物と次々に出会います。そして、動物たちは、髪をとかしたり、上着を着たりしたあとで、ぼくの散歩についてくるのです。

 

もしかしたら、読んでいる大人は、「ライオンが髪をとかすかな? ぞうが上着を着るのかな? なんて思うかもしれませんが、こどもはそこを問題にせず、ぼくと同じように散歩を楽しみます。

 

森とこどもと動物、とっても相性がいい……。

もりのなかの木々を見ていると、本物の森を思い出してしまいます

もりのなかの木々を見ていると、本物の森を思い出してしまいます

 

我が家で初めてこの本を読んだ兄も、小さいころのお気に入りでした。

ラストにお父さんがぼくを迎えにくるところが特に好きなのかな? とひそかに思っていました。

でも、妹ちゃんのポイントは、森の中の動物たちそのもののような気がします。女の子って動物大好きなんですね。

6月は日本中にある森がしっとりと雨でおおわれるでしょうか。

 

5月の連休に長野の森の中で過ごした我が家は、森と聞くとしばらくはその森を思い出します。暖炉に木を足して暖を絶やさぬようにしながら、早朝、にぎやかで目を覚ましてしまうほどの小鳥たちの声を聴いたり、風が強く音をたて、しなりながら揺れる木々を見たり、森のいろいろな表情を堪能してきました。

 

そうそう、私たちも、森で動物に出会いました。

それは鹿です。夜の森の道で光る眼をみたり、昼間に親子が足早に駆け抜けたり……。この経験は、こどもたちもずっと忘れないような気がします。

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この記事を書いた人
東海林更央莉ライター卒業生
山形出身で、元日本語教師、3児の母。森ノオトでは2011年より兄弟の成長と重ねた絵本の連載を続け、妹が増えた今は女子らしい視点が加わり多くの母親の心をつかんでいる。家族の趣味は旅行、食べ歩き、自然のなかで過ごすこと。編集長の中学校時代の同級生でもある。
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