もうすぐ創業100年!ナポリタンから生まれる横浜コラボ・美濃屋あられ製造本舗 小森健太郎さん
「濱の料理人」代表の椿直樹さんと巡るシリーズ、第7弾は、横浜市中区・小港町の美濃屋あられ製造本舗の専務取締役・小森健太郎さんです。大好きな横浜に恩返ししたいと地産品を使ってあられやおかきを開発する小森さん。イベントではナポリタンで大人気! あられ屋さんとナポリタンとの関係はいかに?

(株)美濃屋あられ製造本舗(以下、美濃屋あられ)4代目にあたる専務取締役の小森健太郎さん(35)に会社の創業をうかがうと、「もうすぐ100年です」と返ってきました。

昭和4年創業、87年の会社の歴史とこれから続いていく未来について強い意志を感じる言葉でした。

演劇部だったという小森さんは、いくらカメラを向けられても動じない。さすがの役者魂!?

演劇部だったという小森さんは、いくらカメラを向けられても動じない。さすがの役者魂!?

「大ど根性ホルモン」オーナーシェフ・椿直樹さんと訪れたのは中区・小港町にある美濃屋あられ。工場のとなりにある直売所では、約30種類の”あられ”や”おかき”がずらりと並び、醤油あられのおいしい香りが漂っていました。

直売所では20種類以上のあられの試食ができる。どれを食べようか……悩ましい

直売所では20種類以上のあられの試食ができる。どれを食べようか……悩ましい

美濃屋あられは、せんべいやあられの素焼きをグループ会社の台湾工場で、味付けは横浜市中区のこの工場でおこなっています。日本での味付けにこだわるのは、新商品開発のしやすさと新鮮なおいしさをお客様に届けるため。

 

安く手軽に食べられる日常のおやつとして、おかきやあられを提供したいこだわりです。

小森さんの頭上にあるタンクには、お店こだわりの醤油が入っている。仕入れた醤油は写真左の管からタンクへと運ばれる。機能的な配管に目をうばわれる

小森さんの頭上にあるタンクには、お店こだわりの醤油が入っている。仕入れた醤油は写真左の管からタンクへと運ばれる。機能的な配管に目をうばわれる

 

あられの袋詰め作業。この日長袖で快適な外気温だが、湿気を防ぐため、冷房がかかり室温20度に保たれていた

あられの袋詰め作業。この日長袖で快適な外気温だが、湿気を防ぐため、冷房がかかり室温20度に保たれていた

小森さんは2代目のお祖父さま、3代目で社長のお父さまとともに会社を切り盛りしています。

 

力をいれているのは、横浜や神奈川のいろんな人との出会いによるコラボです。

 

スモークピー柿は燻製職人、小松菜あられは小松菜生産者、横浜ごま油おかきは老舗の岩井の胡麻油などを手がけてきました。また、横浜がビール、ナポリタン発祥の地であったことにヒントを経て、「横浜ビア柿」、「横浜ナポリタン」といった商品も開発してきました。

 

異国のものをいち早く取り入れてきた横浜のハイカラな一面、製法が今も受け継がれている伝統的な側面、そして野菜の栽培地としての一面など、“あられ”を通して、横浜のさまざまな顔をのぞくことができます。

種類のあられ・おかきのセット。

種類のあられ・おかきのセット。

日常のおやつだった“あられ“は、横浜土産としても扱われるようになりました。

 

「僕なら旅先でその場の食材を使ったお土産を買いたい。だから、地産品を使ってコラボしています」と、国内外のお客さんに対して真摯な姿勢がうかがえます。

 

横浜で育ってきた小森さんはさらに続けます

「この地元のつながりがいいなあ、と。いろんな人にお世話になってきたので、恩返しのためにも、出会ったご縁は大切にしてきたい」

 

横浜の魅力的な人との出会いはどこから生まれたのでしょう?

その一つのカギがナポリタン。あられとナポリタンの結びつきにハテナが浮かびますが、理由は単純明快です。

 

小森さんがナポリタンを大好きなのです。実は横浜が発祥の地として知られるナポリタン、好きが講じて「日本ナポリタン学会」なるものに所属し、イベントでは横浜発祥の清水屋ケチャップと季節の地元食材を使ったナポリタンを作り、週末も大忙しです。

「小森さんのナポリタンは、コモリタンって呼ばれているんだ。おいしいし、いくら作っても味が同じなのが驚き」と椿さん、料理人ならではの視点で絶賛します。

左から小森さんと椿さん。「イベントで初めて会ったとき、テントの設営が素晴らしくてね。小森さんは僕より年上かと思っていたよ(笑)。いろいろお世話になって、本当に頼りになる存在なんだ」(椿さん)。「テント設営はボウイスカウトでやっていたから…(照)」(小森さん)

左から小森さんと椿さん。「イベントで初めて会ったとき、テントの設営が素晴らしくてね。小森さんは僕より年上かと思っていたよ(笑)。いろいろお世話になって、本当に頼りになる存在なんだ」(椿さん)。「テント設営はボウイスカウトでやっていたから…(照)」(小森さん)

今後、小森さんと一緒にやってみたいことについて椿さんに聞いてみました。

 

「以前、(椿さんのお店“ど根性ホルモン”にちなみ)ど根性あられを作ってもらったんだ。小森さんはね、提案すると真摯になって、すぐに行動に移してくれる。だからこそ軽いことは言えない。彼自身が世に出ていけるような身になる企画を提案したいね」

 

自ら現場におもむき、厳選した地産品を使って料理を提供する椿さん。だからこそ椿さんは小森さんの活動にだれよりも共感し、応援したくなるのかもしれません。

 

小森さんは言います。

「どんな食材や調味料とも“あられ”を組み合わせる技術ができてきました。最終的にお店の味になるよう工夫しています」

 

さて、それはどんな味なのでしょう……。

「うちの味はしっかり味。一口目からおいしいけど食べ飽きない。くせになる味わいを目指しています」

 

小森さんは新商品を開発しながらも、代々受け継がれてきた味を大事にしているのです。

「会社に関わる人への責任があります、会社を続けていくことが大切」とも。

 

100年へと続く道を一歩一歩、ひたむきに誠実に歩んでいく小森さん、だからこそ、多くの人をひきつけ、コラボの実現へとつながっていくのでしょう。

 

小森さんとコラボした仲間たちによる活動は、今後どのように広がっていくのか楽しみでなりません。

Information

(株)美濃屋あられ製造本舗

住所:横浜市中区小港町1-6

電話番号:045-621-4488

URL: http://www.minoya-arare.com/

営業時間:9:00-17:00

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この記事を書いた人
明石智代ライター
広島県出身。5年暮らした山形県鶴岡市で農家さん漁師さんの取材を通して、すっかり「食と農」のとりこに。森ノオトでも地産地消、農家インタビューを積極的にこなす。作り手の想いや食材の背景を知ることで、より食材の味わいが増すことに気づく。平日勤務、土日は森ノオトの経理助っ人に。
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