気になってインターネットで「ZUBO」と検索してみたところ、衣、食、住、人の暮らしにまつわるさまざまな「つくるを仕事に」してきたご夫婦ユニットで、すでに雑誌などによく取り上げられていることを知りました。早速ご自宅件工房にお邪魔して、活動のこれまでとこれからについてお聞きしてきました。
(社名はZUBO UNIT ZERO Inc.、屋号はZUBO D.I.Y laboratory、ユニット名はZUBO。以下文中ではZUBOさんと統一します)。
ユニットを組んでから今年で26年。ご主人のニイハラフクミさんが、住宅や店舗の内装や外装の仕事を、奥様のカナヤミユキさんが服飾デザインや紙媒体の仕事を中心にと、今は別々に仕事をしているというお二人の最初の出会いは、なんとロンドンでした。
それぞれ別の目的で訪れていた先で出会って意気投合し、イラストを描いたり、いわゆるストリートアート的な活動を始めて、帰国後もなにかしら人の縁で仕事がつながり、いつしかものづくりで自立できるようになっていったそうです。
なかでも、一人芝居公演で有名なイッセー尾形さんと、その演出家の森田雄三さんとの出会いは大きく、公演の度にお客さんを迎えるためのしつらいの仕事を頼まれるなど、インテリア、建築系の仕事へはまっていくきっかけをもらったのだとか。
最近ではDIYという言葉もよく聞かれ、使い古された感もありますが(森ノオトのエコDIYまちづくりプロジェクトも始まり、今年に入ってわたしも何度書いたり言ったりしたことか……)、ZUBOさんは、1989年結成ですから、まさに先駆けです。ロンドン含めヨーロッパでは古い物件に価値があり、そこに自分たちで手を入れながら住むのが、むしろ当たり前。そんな文化を、からだいっぱい吸い込んだことが、今の仕事につながっているのでしょう。建築廃材やサンプル品など、あるものを組み合わせて自分たちの手で新しく作られるモノたちには、時を経たもののもつ味わいと、なんともいえないおおらかさがあります。
かつてはミユキさんも壁を塗ったり、大きな壁画を描いたり、大工仕事を一緒にしていたそうですが、出産を機に自宅でできる服飾や紙媒体のデザインに関わるようになり、娘さんの進学を機に、都内から現在のお住まい、川崎市麻生区に移られました。とはいえ、この先、ここにずっと住もうとは考えていないようで、もっといい場所が見つかったらまた移り住むかもしれないとのこと。確かに、このお二人なら、明日からまたロンドンに住むことにしました! なんて言われても不思議はないというか、どこへ行ってもZUBOとして生きていけるんだろうなとお話を伺いながら感じました。
今住んでいる家自体も、7年ほどの間に、デッキを付け足したり、棚が増えたり移動したり、つねに改装中。2階リビング部分はミユキさんのアトリエでもあるので、現場への納入前は道具や素材で溢れるなど、日々生きもののように変化し続けているそうです。
つい最近亡くなった猫のための天井近くの通路をこれからどうしようか、とか、水周りでまだ気に入っていないところがあってどうにかしたいんだよね、とフクミさんはおっしゃっていて、自分たちの住まいや暮らしそのものを、楽しい創造の場としている様子が伺えます。
そんなZUBOさんがご近所の縁で手がけたのが、寺家ふるさと村のBlue DOOR coffeeです。先代から息子さんへ引き継がれ、リニューアルした店舗は、田畑や緑あふれるのどかな風景のなかで、おっ! っと人目をひくおしゃれな外観に生まれ変わっています。今年2015年の7月で1周年を迎えたので、もうご存知の方も多いかもしれません。寺家へ行く際にはぜひ立ち寄って、自家焙煎のコーヒーとともに、空間デザインも味わってみてください。
ミユキさんのお仕事には、パレスパラスの店舗中、十日(トオカ)というブランドで出会えます。この辺りでは二子玉川や自由が丘、町田にも店舗があります。大量生産ではない、来歴のわかる服。藍染をはじめとして丁寧な職人の手仕事を感じる服が並んでいます。
ZUBOさんのホームページ http://www.zubo.jp
Blue DOOR coffee https://ja-jp.facebook.com/blue1door
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