FMサルース高橋陽子のエコラボ通信Vol.18。旅先で見た鹿児島の暮らし
5月下旬、鹿児島へ旅行に行きました。羽田からは飛行機で2時間弱、関東よりぐっと湿度の高い空気に包まれた鹿児島に到着。鹿児島と言えば、桜島。空港から見えたとき、すでに灰色の噴煙が上がっていました。
今月のエコラボ通信では、鹿児島で感じた自然との付き合い方についてお伝えします。(Text:髙橋陽子)

空港から鹿児島中央駅に移動し、賑やかな街・天文館を散策していると、歩道にも車道にも、灰色の砂のようなものが薄く積もっています。これが砂ではなく灰だと気づいたのは、歩いている最中に空からバラバラと灰が降ってきてからでした。

半日市内を歩いただけで、シャツから出ていた首周りなどは少しザラついていました。鹿児島市内は日常的に灰が降る……というのは本当なんですね。

 

降灰が生活に密着していることを表す、こんな風景もありました。

 

 

「宅地内降灰指定置場」と書かれた看板の周りに、鹿児島市指定のビニール袋が置かれています。鹿児島市の道路維持課が行っている宅地降灰除去事業で、こうした置場が市内に約6000カ所設置されているそうです。各家庭でも、お庭や周囲を掃除すると灰が溜まってしまうんですね……こうした灰を集めて、市が巡回して収集運搬しています。

天文館一帯は縦横に伸びるアーケード街が特徴的ですが、これも灰の降る土地柄ならではの工夫です。

 

桜島の噴煙を見るのも現地では当たり前のことですが、自然のなせる業を目の当たりにして、人の暮らしはその土地と共にあることを感じました。

 

 

鹿児島市内では、移動に便利な乗り物として、市電も走っています。自動車と併走して道路を走る市電のため、道路の中央には線路が通っていて、その軌道敷には目に鮮やかな芝生が敷いてあります。

 

 

鹿児島以外に、広島や土佐の市電でも軌道敷緑化の行われている路線がありますが、こうした取り組みは「ヒートアイランド現象」の抑制に効果があると言われています。景観も良く観光で訪れた私にとっても、緑の芝生の上を走る市電の姿は爽やかで、絵になる、写真に収めたくなる風景でした。

 

さらに鹿児島の市電の緑化には、鹿児島の火山灰が堆積した地質・シラスを利用した基盤材が使われています。シラスを使った基盤材は保水性に優れていて、夏場のデータでアスファルトに比べて10度以上も地面を冷やす効果が出ているそうです。

 

 

自然の力に合わせた暮らし、自然の力を利用した工夫。帰りの空港で見納めた桜島の姿は、初めてその姿を見たときよりもずっとあたたかく、優しく見えてきました。

 

青葉区の暮らしで自然の脅威を感じることは少ないですが、桜島の灰のような少し厄介に思える自然のチカラとも上手く付き合う考え方は、持っていたいと思います。

例えば「田園都市」であること、田園と都市のバランスのよさを維持していくことが、「自然を利用し、工夫した暮らし」につながるのかなと思います。いつまでも「田園都市」であり続けるために、田畑や里山を大切にしていこう、と改めて思いを強くしました。

 

 

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