“食”が中心の我が家は土間台所が家の顔
玄関ドアを開けて室内に足を踏み入れると、吹き抜けから日差しがさんさんと注ぎ込み明るく温かな空間が迎え入れてくれる長津田・O邸。家の中心は土間のダイニングキッチン。食べることが大好きなOさんご家族の賑やかな日常とは……。

「土間キッチン? 便利ですよ」

 

土間のダイニングキッチンと、リビングをつなぐ大きなカウンターテーブルは、Oさんご一家の象徴。キムチや味噌などを漬けた時に大活躍した

 

 

摘みたてのミントにシュンシュンと沸いたばかりの熱いお湯が注がれた瞬間、ふわっと立ちこめるさわやかな香り。何とも贅沢なお茶のひとときは、O邸では日常の一コマです。

 

庭ではオレガノ、チャイブ、ミント、レモンバーム、ローズマリーなどのハーブが生い茂り、料理のアクセントが欲しくなったらぱっと摘んでくることができます。小さな家庭菜園では、春はラベンダーやすぐり、夏はトマトやゴーヤなど旬の野菜が採れます。

 

「私たち家族は、食べることが大好きなんです。家の中心は間違いなくこのテーブルですね」

 

そう言ってほがらかに笑う奥様は、大の料理好き。この日も、子どもたちと一緒にピッツァを焼く準備に忙しそう。夏のうちにつくりおきした自家製ジェノベーゼソースや、ご主人がヒッコリーのチップで燻したベーコンなど、お手製の食材でつくるピッツァは絶品。「自然と外食はしなくなりました。家で食べる方が美味しくて」とご主人。

 

O邸の中心は、1階リビングのど真ん中で圧倒的な存在感を放つ無垢の木の大きなキッチンカウンターです。リビング側は一段高くなっており、掘りごたつ式に足を入れて座れるテーブル、キッチン側は立ってそのまま料理ができるキッチンカウンターとして使えます。キッチンの床はタイル土間。食事を食べるダイニングテーブルも、土間空間にあります。

 

「土間があることで調理空間と住空間が明確に分かれているので、私が調理している時は子どもたちにあっちで待っていてと言えばわかってくれる。気づいたら子どもがそばで勉強していたり、ね。お掃除しやすいのもメリットです」

 

確かに、土間と無垢材のフローリングの間には低い椅子程度の段差があります。キッチンとダイニング、リビングがひとつながりになった大空間でありながら、ゆるやかな「結界」ができています。奥様は料理をしながら遊んでいる子どもたちに目を配ることもできるし、子どもはお母さんの顔が見えるからいつでも安心していられます。

 

それに、大きなカウンターは包容力抜群。ご近所の友人たちを招いてパーティーを開くなんてこともお手の物。家族が集まり、人の輪ができる。食を中心にまとまっているOさんご一家です。

 

O家の二人の娘さんが仲良くピッツァの生地をこねる。トッピングはトマトと、お父さん特製のベーコン、お母さん製のジェノベーゼソースにチーズ。熱々があっという間に胃袋へ

■LDKではない家の建て方

 

Oさんたちが家を建てたのは今から7年前、当時長津田みなみ台は造成したてで、周囲には何もなかった時代です。

 

「この地に決めたのは、直感ですね。土地に立った時、山がきれいに見えて」

 

そう振り返る奥様。ピンときたらさっそく地元の人に地盤や交通状況について聞き込みをし、インターネットで情報を収集するなどして直感の裏付けをして回ったというのですから、その行動力には舌を巻きます。

 

高気密はピンとこなかった、と話すOさんご夫妻。通気性のよさを重視した結果、インターネットで検索したらウィズハウスプランニングがヒットし、そこで出会ったのが設計士の天久朝功(あめく・ちょうこう)さんです。

 

 

1階リビングは土間台所、掘りごたつ式のカウンターとひとつづきで、和室の建具を開け放てばとても大きなワンルームとして使える。家族が集まるのはいつもここ

 

ご夫妻は天久さんに、一枚の紙を手渡しました。そこにはこんなことが書かれていました。

 

<全体イメージ>

・ 安心して子どもを育てられる家

・ 明るく、風の通り抜ける家

・ 家族全員で料理と食事を楽しめる家

・ 庭とのつながりがある家(例:インナーテラス、土間)

・ ごろごろできる家

・ 木の香りがする家

 

 

「要は自分たちの自己紹介ですね。私たちはこんなことが好きで、こんな暮らしをしたいということをお伝えして、あとは天久さんにお任せしました」(奥様)

 

そこで天久さんが提案したのが、ほぼ現在の間取りと一致したプラン。カウンターを中心に土間キッチンとダイニング、広々としたリビング、奥に和室、吹き抜けを介して2階が子ども室と夫婦寝室という、まるで家全体が大きな一つの部屋のようなのびやかな空間です。宮城県栗駒産の燻した杉を使うことで、防腐防虫処理をしない無垢のままの木のよさを味わえる、温かみのあふれる内装も気に入りました。

 

「それまでは、4人家族ならば●LDKという考え方をしていた面がありました。ところが天久さんは最初に“どんな生活をしたいの?”と聞いてくださった。理想をお伝えした結果、本当に私たちらしいいい家ができたと思います」

 

と、ご主人。天久さんが最初に描いた設計図は額に入れて、今でも玄関の一番目立つところに飾っています。

 

この家が建った時はまだ赤ちゃんだった長女は、今では元気いっぱいの小学生。大黒柱をみるみる上り、得意げな表情。全身使って遊べる家は何よりのフィールド

 

 

■家族の楽しみが随所に散らばる家

 

家をよく見てみると、ご主人のつくった木工作品があちこちに

 

この家に越してから、ご主人はある一つの趣味に没頭するようになりました。それは、木工。家をよく見渡してみると、窓枠などのちょっとしたスペースに可愛らしい木のパズルが置いてあります。一瞬、作家ものの木工作品かと見まごうほどの出来。コウモリや鯉のぼり、十五夜のうさぎ、アンデルセンの童話をモチーフにしたものなど、見ていてわくわくする素敵なものばかりで、バザーで大人気だそうです。

 

奥様は庭づくりが楽しくて仕方がない様子。丹誠込めて育てたバラは、シーズンになると見事な花を咲かせるそうです。家庭菜園での野菜づくりや庭に植えたハーブ、子どもたちの名前にちなんだアイリスやシオンの花、どれも愛おしそうに世話をしています。

 

8歳と4歳のお嬢さん2人は、いつも仲良くじゃれ合っています。押し入れでかくれんぼしたり、絵を描いて遊んだり。2階の子ども室の壁はボードがむき出しのままなのですが、それは子どもたちが壁に絵を描いて遊べるようにというご両親のユニークな発想から。親の思惑通りに子どもたちは思いのままに絵や字を描き、とても楽しい壁になりました。「子どもが大きくなったら、土壁を塗ればいいんですからね」と、奥様。

 

2階の子ども室の壁はあえて石膏ボードをむき出しのままに。壁に思い切り落書きができるなんて、なんて幸せな子どもたち!

 

無垢の床はところどころがへこみ、傷がつき、日に焼けています。それも家族の味になり、とてもいい風合いになってきました。「子どもが育つ家ですからね。傷をつけないようにと神経質になっても仕方がない。無垢の木の家のいいところは、傷がひどければカンナがけをするなどして、自分たちでメンテナンスをしてきれいにできること」

 

床のワックスがけ、カウンター磨き、デッキの塗装や枕木の交換など、家族で定期的に家の手入れをすることで、自ずと愛着がわいてくる、とご主人。

 

長女が生まれた時につくった木の家は、家族の歴史とともに家族の色に染まってきています。Oさんご一家らしい、明るく楽しい空気で満ちた家でした。

 

いつも笑顔が絶えないOさんご一家。家族みんなが大好きなのびのびリビングで

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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