ecolocoライフなお宅訪問Vol.9 サンタクロースのいるお家はアットホームな英会話教室
古い和風の家具も、天板を張ったり、脚を高くすることで、自分たち仕様にして気持ちよく使う。田奈町の自宅で英会話を教えるアメリカ人のStu-さん、日本人の優子さん夫妻の、「手を入れることを楽しみ、それを広げていく」ライフスタイルとは。

日本家屋にアメリカの文化が融合

 

押し入れや長押のある純和風の部屋に、和箪笥、シャンデリア、カウチなどが混在するリビングルーム。異文化のものがしっくり馴染むのは、少しずつ自分たちらしく手を加えているからだろう

 

 青葉台の隣町、田奈町。のんびりとした田園風景を見下ろすように、丘の上に落ち着いた住宅街が広がっています。住宅街の真ん中にあるその家は、どこから見ても普通の日本家屋。しかし、一歩足を踏み入れると、アメリカのカントリーサイドのあったかいにおいが漂ってくるかのよう。

 

 家の主はスチュワート・ファーンスワースさん(皆は気軽にStu-さんと呼びます)、優子さん夫妻。アメリカ・ミネソタ州から横浜に越してきて丸2年です。元は優子さんの実家だったこの家を、少しずつ、Stu-さんのライフスタイルに合うよう、自分たちで手を加えています。

 

 例えば、チェストには天板を足し、脚を上げることで、キッチンの作業台として有効活用。引っ越しの際に友人に譲ってもらったダイニングテーブルは、背の高いStu-さん用にやはり脚を自分たちでつくり直し、それにぴったりのベンチもお手製です。アメリカでは日曜大工、ハンドメイドは当たり前。既製品や古い家に元々あった建具も、「直しながら自分たちの家具にしています」と優子さんは話します。

 

 「日本人は、簡単にモノを捨てすぎる」とはStu-さん。まだ使える家具、家電、洋服……。最近でこそフリーマーケットやリサイクルショップなどで愛着ある古着や雑貨を捨てずに次の人に譲る文化が根づき始めた日本ですが、それでも捨てられるものが圧倒的に多すぎる。お金さえ出せば何でもすぐに手に入るので、自分たちで知恵を絞り、手を動かす楽しさ、創造性を放棄しているのかもしれない、と。

 

 質素だけれども豊かで、様々な国や地域の文化がみごとに調和しているファーンスワース家のインテリアを見ていると、私たちの暮らし様について自然と考えさせられます。

 

キッチンカウンターはチェストに板を張り、脚を上げた。「日本にIKEAができたのはレボリューション(革命)だね」と話すStu-さん、優子さん。港北ニュータウンのIKEAや、藤が丘のトステムビバは、日常的にDIYを行うファーンスワース家にとってなくてはならない存在

 

 

家を開放しながら、地域社会との関わり方を模索

 

 

1ページ目のリビングは、「オランダ蚤の市」の日にはこんな風に変身。テーブルに板を渡しディスプレイ。あるもので工夫しながら楽しむ

 

 今年の10月、ファーンスワース家では自宅を開放し、「オランダ蚤の市」を開催しました。オランダに留学中の娘の麻里絵さんが一時帰国するのに合わせ、彼女が集めてきたニットやアンティークのレース、雑貨などが家にディスプレイされました。

 

 「コンテンポラリーのおもしろさって、“混ぜる”ことだと思いませんか? 和風の家にカウチやシャンデリアがあることで、何か新しい息吹が見えるようでしょう?」と、麻里絵さん。若い人の柔軟でヴィヴィッドな感性が、Stu-さんと優子さんの落ち着いた暮らしに、ぱっと華を添えているようです。

 

 「蚤の市は、我が家にとってトライアルイベントでした。ご近所の方とのつながりを求めてあえて家を開放してみた、という感じです。こういったイベントをたまに行いながら、地域社会の中でどのような関係性を築いていったらいいのか、研究しています」と、優子さん。

 

 二人が青葉台に越してきたばかりのホリデーシーズンは、Stu-さんがサンタクロースに扮し、各地のイベントに参加していたといいます。確かにStu-さんが赤い帽子をかぶったら、サンタクロースのイメージそっくり! 

 

 「子どもたちに夢を与えたい!」という思いは、二人の胸の奥でしっかりと燃えています。まずは、今生きる地元で、無理ない範囲で、自宅の公開やイベントでの英語読み聞かせなどを行っていきたいということです。

 

「オランダ蚤の市」の日には、Stu-さんお手製のお菓子が並んだ。Stu-さんのお母さんの味を再現した、まさに「おふくろの味」。「料理は母から、家づくりは父から学んだよ」

 

☆今週末、1219日(日)1000〜若草台地区センターで、Stu-さんがサンタクロースに扮して子ども向けの絵本読み聞かせを行います。

詳しくは若草台地区センター(TEL 045-961-0811)まで。

 

 

リラックスして英語を自分の言葉にする

 

生きた教材「Flat Stanley」を手に持つStu-さんと優子さん。確かにStu-さんはサンタクロースそっくり!

 

 Stu-さんと優子さんは、自宅で英会話教室「English from the Heart School」を主宰しています。ネイティブの講師Stu-さんと、日本人である優子さんが二人三脚で行う教室スタイルは、この辺りでは考えられないほどの充実ぶりです。「オフィスではなく、家庭に招くことで、リラックスして会話ができるようになる。肩に力が入っていては、言語は習得できないのです」とStu-さん。

 

 ミネソタ在住時には、やはり自宅をB&BBead & Breakfast:宿泊に朝食がつく簡易な宿)として開放し、日本人対象に英語を教えていた優子さん。英語教師としての長年の経験から、今のスタイルに行き着いたといいます。

 

「アメリカに住むなかで、“ここまで話せればいい”という自分なりの地図ができたことが大きい。私たちは、先生と生徒という関係ではなく、人間同士として互いに相対したい。ある程度英語でコミュニケーションができるようになったら、通ってくる人を長く引き止めるのではなく、卒業という形で送り出していきたい。それは、英語で考えることができるようになった、ということだから」と、優子さん。

 

アメリカ、レバノン、イギリスなど、二人のコネクションがある世界の地域から、子どもたちに直接メッセージが届く。「子どものうちから、“言葉”ではなく、“人”を感じて、世界とつながってほしい」(優子さん)

 

 優子さんがふと、Flat Stanley(フラット・スタンリー)という紙でできた男の子の絵を取り出しました。これは、アメリカ・ウィスコンシン州の公立小学校の子どもたちからの手紙に入ってきた、ある物語の主人公です。Flat Stanleyが子どもたちの手紙を通して世界中を旅することで、子どもたちは手紙を渡す彼の国の文化について想像し、学ぶ。

 

 「これは単なる教材ではない、本当のSocial Studyの時間」と優子さん。今後、こんなコミュニケーションを、世界各地の子どもたちと、田奈に集まる子どもたちの間で築いていきたいと考えています。

 

 勉強ではなく、生きた時間を学ぶ。言葉の正確さやスキルを見るのではなく、その人の伝えたいことを英語で表現していく。英語を自分のものにして、世界中の人たちと関係性を築いていくーー。

 

 地元の、小さな空間は、無限に広がる世界とつながっている。そんなことを感じられる、Stu-さんと優子さんの暮らしです。

 

Information

English from the Heart School

 

Stu-さんと優子さんの自宅で開催する、少人数制の英会話教室。マンツーマン対応も可能。日曜日には1000円で参加できる「Coffee and Conversation」も。詳しくはホームページで

 

http://www.yukostu.com

 

北原 まどか
この記事を書いた人
北原まどか理事長/編集長/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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