ラベンダーの香りに心癒され、静かに愛を祈る場所……ハーブガーデン「和枝園」
恩田川沿いの市街化調整区域には、田んぼや畑、散策路があり、お散歩にはもってこいです。ハーブガーデン「和枝園」のラベンダーが、いま、見頃です。辺り一面、ラベンダーのさわやかな香りが漂っています。

青葉区は、梅、桃、桜、チューリップ、つつじ、新緑……緑に花に、とても美しいエリアです。梅雨の足音を聞くいま時分、青葉台にラベンダーの便りが届きます。

 

青葉台駅から環状4号線を十日市場方面に向かい、「下台」交差点を右。生産緑地の一角で、ひときわ色鮮やかな花やハーブでにぎわうエリアがあります。「ラベンダー摘み取り出来ます。30本300円」の張り紙が出される時季になると、特に多くの人が足を運ぶここ、ハーブガーデン「和枝園」。1999年の開園以来、地元の人の目を楽しませています。

 

園内には、年間40種類ほどのハーブが植えられ、赤や黄色、緑、紫と、とても色鮮やか。そして常によい香りが漂っています。ラベンダーとともに、真っ赤なゼラニウムがいま見頃です。

 

 

「このハーブおいくら?」そんなご婦人方の声が聞こえると、スタッフの方が切り鋏を持ってきて、好みのハーブを切り分けてくれます。お茶にして美味しいミントやレモンバームが人気です。

 

ほかにも、ロシアンセージやメドー・クラリー、ラムズイヤー、タイム、アメジスト・セージ、ペパーミントなど、古今東西のハーブをたくさん選べます。地元のレストランなどでも買いにくる方もいるそうです。

 

 

 

 

和枝園は、緑区を中心に福祉事業を展開する「社会福祉法人和枝福祉会」の系列で、温室を隔てた隣には知的障がい者たちの畑があります。下台から中山に向かうバス通り沿いにある西八朔町の多機能型通所施設「愛」では、パンやお菓子の製造をしており、併設の喫茶店「ハトポッポ」では、ここで育てた野菜が使われたパンや軽食をいただけます。青葉区役所内にもある「ハトポッポ」、「あの美味しいパンだよね。わたしもファンよ」という友人が何人もいますし、キタハラも大好きです。

 

 

ハーブガーデンや社会福祉法人に名前が冠されている「和枝」さんとは、いったいどのような方なのでしょうか。この写真の男性は、青葉台駅前で生花店「青葉台ガーデン」を営む土志田隆さんは、和枝さんのお兄さんです。

 

「兄の私が妹を褒めるのも変ですが、和枝は、とてもやさしい人でした」

 

1977年9月、米軍厚木基地を飛びだった飛行機が、青葉区荏田町(現・荏田北)の住宅街に墜落、住人9名に死傷者が出る大惨事になりました。和枝さんの1歳と3歳の息子さんが犠牲になり、和枝さんも全身にひどい火傷を追い、全国から提供された皮膚を移植し、長い闘病生活を送った末、1982年に亡くなりました。

 

「元気になったら福祉の仕事をして、ご恩返しをしたい」

 

和枝さんの遺志を継ぎ、父の土志田勇(故人)さんが設立した法人が、和枝福祉会なのです。

 

 

和枝園には、設立当初に植えられた紅枝垂桜と、その隣に、碑があります。多くを語るわけでなく、でも、ここで起きた悲しい事件と、子どもたちを精一杯愛し、生きた女性の生き様を忘れないでほしい……。そして、「愛」と「福祉」という形で、その遺志をいまに受け継いでいきたい。和枝さんとお父様の、祈りにも似た「愛」が、ここには息づいています。

 

 

ハーブを観に、ラベンダーを摘みに、心を癒しに訪れるだけでもいい。35年前に起きた事件を知った人は、静かに平和を祈りながら……。土志田さんは、「ここでは、ハーブを愛でて、静かにリフレッシュしてほしい」と、ハーブガーデンを地域に開放しています。ベンチでゆっくりする方、東屋でおしゃべりする方、ラベンダーのさわやかな香りに包まれながら、みんな、ここでリラックスしているようでした。

 

ラベンダーの見頃は、7月中旬くらいまで。ラベンダーの時季は、定休日の日曜日も開放しているそうです。終盤の花は、「愛」のメンバーが摘み取り、ポプリにして販売するとのこと。

 

 

静かに、愛と平和を感じる場所。お散歩の足を伸ばし、和枝園に行ってみませんか。

 

 

 

 

キタハラ’s eye

森ノオトを始めてから、10年越しでようやく訪れることができた和枝園。知ってはいたけれど、実際に足を運んだことのない地元の名所って、意外とあるものです。和枝園は、とても静かで、美しい場所。父の愛、母の愛、普遍的な愛に満ちた場所で、ここで声を大きく何かを語ることはしなくていい、と思いました。とてもていねいに、手入れされたハーブを摘み取るのは、乙女心にもうれしく、心躍るものですね。

一緒に訪れた小池一美さんは、碑の前でしばし佇み、長いこと手を合わせていました。よく利用する「ハトポッポ」の名の由来。和枝さんの1歳の息子さんが、大好きだった歌を口ずさみながら亡くなったこと。和枝さんのお父様が、福祉の世界で東奔西走されたこと……。ただ、静かに手を合わせながら、心の奥から、愛を祈らずにはいられません。

 

キタハラ’s eye

森ノオトを始めてから、10年越しでようやく訪れることができた和枝園。知ってはいたけれど、実際に足を運んだことのない地元の名所って、意外とあるものです。和枝園は、とても静かで、美しい場所。父の愛、母の愛、普遍的な愛に満ちた場所で、ここで声を大きく何かを語ることはしなくていい、と思いました。とてもていねいに、手入れされたハーブを摘み取るのは、乙女心にもうれしく、心躍るものですね。

Information

ハーブガーデン 和枝園

住所:神奈川県横浜市青葉区しらとり台72-1

TEL :045-981-0806

営業時間:10:00〜15:00

定休日:日曜日(ラベンダーの時季は営業)

http://www.kazuefukushikai.jp/

北原 まどか
この記事を書いた人
北原まどか理事長/編集長/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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