エレキガール奮闘記その1…電気の基本を学ぶ、の巻
足下からのエネルギーシフトを!を合い言葉に活動しているあざみ野ぶんぶんプロジェクト。森ノオトのメンバーも参加し、地域で活動の幅を広げています。これまではエネルギー政策や仕組みを学ぶ講座中心でしたが、この秋からは実際に自分たちでエネルギーをつくり出す活動に展開、連続講座「独立型ソーラーシステムをつくろう!!」が9月から始まっています。さっそく我が家でも発電生活が始まりました。

あざみ野ぶんぶんプロジェクトではこの夏、「あざみ野ぶんぶん電力」を立ち上げ、手始めに家庭からのプチ・エネルギーシフトを実践しています。麻生区在住のぶんぶんメンバー・梅原あき子さんは、今年の春にオーガニックカフェ・ソワ[礎・波]の岩崎玲子さんとともに神奈川県最北端の藤野町に行き、いまや有名な「藤野電力」による独立型ソーラーシステムの組み立てワークショップに参加しました。

その経験をあざみ野に持ち帰り、自分たちでホームセンターや秋葉原に足を運び、インターネットで機材を取り寄せ、ソーラーパネルとバッテリーを組み立てて、家庭で、お店で、この夏発電してみました。夏の間の観察結果や機材の価格動向をもとに岩崎さんと梅原さんがコンテンツをまとめ、女性らしい生活に密着した観点でつくり上げたプログラムが、9月から始まっています。

第1回目は、独立型ソーラーシステムをつくるために必要な機材や、ソーラーシステムで賄いたい電力量を把握するワークショップでした。

「独立型」というのは、いわゆる送電線につながずに電力の売買を行わない、我が家のみで完結させるシステムのことで、小さいものなら携帯電話やモバイルライトを充電したり、大きなものだったらパソコンを使ったりテレビを観るための電力として使えます。

いちばん存在感が大きいのはソーラーパネルですが、それだけでは電気を使うことはできません。パネルをチャージコントローラーにつなぎ、バッテリーとインバーター、シガーソケットに分岐していきます。シガーソケットに入るのは直流電流(DC)で、交流電流(AC)に変換しなくてもUSB経由で充電できる携帯電話などをつなぐことができます。一方、インバーターはDCをACに変換する装置で、家庭のコンセント経由で使う家電はほとんどがACです。

パネルの大きさとバッテリーの容量によってシステム設計が変わってきます。当然ながらパネルが大きいほど発電できる量は増えます。ただ、電気をためるバッテリーの容量が小さければせっかく発電してもその電気は使えませんし、逆にパネルが小さくてバッテリーが大きすぎれば、電気をためるのに時間がかかってしまいます。

梅原さんが試しにつくったソーラーシステムは、12Wのパネル、バッテリーは28Ahと小型で、携帯電話の充電に使っているそうです。ソワの岩崎さんはお店で使っているので、120Wのパネルと68Ahのバッテリー。インバーターも500Wと大きめで、お店の照明などに本気で活用中です。

 

電気料金表。ここに書かれた情報を読み解けるようになると……

 

続いて、梅原さんより、我が家の電気料金表のチェックの仕方を教わりました。これが目から鱗で……。

ほとんどの主婦は、請求金額だけチラッと見てポイ、が多いと思います。でもよく見ておきたいのは「ご使用量」。キタハラのオフィスはこの9月、33kWhの電気を使いました。1kW=1000Wなので、1カ月で33,000Wh使っていることになります。

これを仮に31日で割ると1日1000Wh。この夏は暑かったので、エアコンを結構使いました。冷房運転時の消費電力量は420Wで、これを4時間つけているとなると、1680Wh消費しています。また、モデムやルーターなど出勤時はつけっぱなしの電化製品や、1日数回動くプリンターやスキャナー、バッテリー駆動のノートパソコンなどの足し算で、1時間、1日、1カ月、どのくらいの電力消費があるのかがわかります。

次に押さえておきたいポイントが、「ご契約」のアンペア数。最近、契約電力量を下げることで基本料金も割安になるアンペアダウンが流行っています。アンペア数とは一度に使える最大の電力量のことで、オフィスでは電圧100V×電流15A=1500Wで、最大1500Wしか使えません。お湯をわかす時は電熱調理器を使うので1200W、この時エアコン(冷房時420W)をつけると必ずブレーカーが落ちます。照明+パソコン仕事+エアコンならば問題はありません。

請求金額の内訳としては、契約が15Aの時は基本料金が409.49円。電力料金は599.91円。1段料金と書いてありますが、1カ月あたりの使用量が120kWhまでは1kWhあたり19円で、120kWh〜300kWhが25円、300kWh以上使用すると1kWhあたり29円と、使えば使うほど電気料金が上がっていく仕組みです。

「燃料費調整額」は、原発が止まって化石燃料を多く買っている分の上乗せ金額。「再エネ発電賦課金等」は、この7月から始まった再生可能エネルギーの固定買い取り制度で、電力会社が再生可能エネルギーの発電した電気を一定価格以上で買い取らなくてはならないため、そのお金を消費者も負担しているというわけです。

梅原さんの説明を聞いているうちに、「なんか、消費者はいいようにお金とられ放題だわ……」なんて、意地悪くも思ってしまいましたが。。

さて、続いては、我が家のソーラーシステムの設計をしてみます。詳しくは次回!

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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