種から始まる新しい横浜の食! 『よみがえりのレシピ』上映会レポ
2013年8月17日(土)、アートフォーラムあざみ野で映画『よみがえりのレシピ』自主上映会・トークイベントを開催しました。山形県に残る在来作物(その土地固有の食べ物)を守り、受け継ぎ、新しい料理で光を当てる人たち。全国で自主上映され、各地で在来作物ブームを起こしているこの映画をきっかけに、横浜でも「種」や「地産地消」を盛り上げたい! そんな想いを、会場の皆さんと共有しました。

会場となったアートフォーラムあざみ野レクチャールーム。お客様とスクリーン、ステージが一体になった

 

「在来作物」――。この言葉を知っている方は、どのくらいいたでしょうか。映画『よみがえりのレシピ』のテーマは、在来作物。山形県に160種残っていると言われ、その土地で種とりを続けてその土地に根ざした固有の作物のことで、採れるエリアはとても小さい(場合によっては一軒の農家さんしか種を持っていないことも)、それくらい珍しく、希少価値の高い作物です。

たいていはその土地の気候風土や土壌の性質に根ざして、独自に育まれてきた作物なので、食べ方も、レシピも、保存方法も、「THE 郷土料理」。日本に世界各国の多様な食文化が流入してきたのはここ数十年、在来作物が郷土料理以外の調理法と出会った歴史も、浅いのです。

画面に映し出されるのは、山形の郷土料理、鍋料理などと、新感覚のイタリア料理(しかも一般的なイタリア料理とはかなり異なる、在来作物をメインに使った料理)。見ているだけでお腹がグーグー鳴りそうです。キュウリを食べるポリポリ、シャクシャクという音、鍋物をすする音、種をとる音……画面から、多様な野菜の音・色があふれ出てきています。

8月17日(土)、映画『よみがえりのレシピ』上映会は、午前の部、午後の部、夕方の部と、1日3回上映しました。

午前の部は、未就学児のお子様を無料で同伴可能とし、多くのお客様で賑わいました(森ノオトのメンバーの多くが小さな子どもを持つ母親で、子どもを預けることに慣れていない人たちでも気軽に映画を楽しんでいただきたい、という思いから企画しました)。

午後の部、夕方の部は、落ち着いた雰囲気でじっくり映画とトークの世界に入ることができ、会場のムードも一体感がありました。

 

鈴木鉄平さんと渡辺監督は、前夜、語り明かして、すっかり仲良くなった様子。トークも弾みました!

 

午前の部のトークは、渡辺智史監督と、青果ミコト屋の鈴木鉄平さんとのトークセッション。鉄平さんは全国の農家を訪ね歩く旅のなかで、ユニークな表情の野菜と出会うことが多く、「北海道ではマサカリでないと割れないくらい固い“マサカリカボチャ”という品種があるんです。食べやすさや輸送などの効率は劣るかもしれないけど、飛び切り個性的でおもしろい野菜です。そんな風に個性や多様性が認められる社会になれば」と話していました。

渡辺監督は「本来、種はシードバンクなどで一律化して管理すべきものではなく、つくり食べ続けることで後世に伝えていく遺伝資源。人類の知的財産とも言える種を、中央集権的から地域分散型に伝え直していく必要がある」と話しました。最後に鉄平さんから「僕たちの子ども世代に、青葉区で生まれてきてよかった! と思えるふるさとを残したい。いまから種とりをして固定していけば、青葉区の在来野菜が生まれるかもしれない」と提案がありました。

 

昨年、ナチュラーレ・ボーノで会食したことのある渡辺監督。本上映会の終了後も、横浜野菜のバーニャカウダカウダを一緒に堪能しました!

 

午後の部は、藤が丘の地産地消レストラン「ナチュラーレ・ボーノ」の植木真さんにご登壇いただきました。植木さんが今年3月に藤が丘にオープンした地産地消の惣菜店「REVIVE RECIPE TENZO」は、実はこの映画『よみがえりのレシピ』と深い関わりがあります。

「日本は食料自給率が40%しかないのにも関わらず、多く採れすぎたり規格外の野菜がたくさん捨てられている現状があります。こうした、食べられるのに廃棄を免れない野菜を引き取って、地域の主婦や高校生アルバイトなどの知恵とアイデアからレシピを生み出し、加工品にして販売していく。そんな風に野菜や人をよみがえらせるレシピを、青葉区からつくっていきたい。この映画との出会いから、REVIVE RECIPEを店名のTENZOに冠したのです」とのエピソードが植木さんから紹介されました。

 

渡辺監督はこの夏、浴衣を仕立ててトークは浴衣姿で登場。「監督が浴衣だと聞いて僕も衣装を考えたんだけど……(笑)」とマツーラさん

 

夜の部は、渡辺監督と同じ山形県鶴岡市の出身で、フードユニット「つむぎや」の物書き料理人として活躍するマツーラユタカさん。マツーラさんからは「自主上映会という手法で、こうしたインディペンダントな映画が人から人に伝わり、広がっている」と、新しいコミュニティのムーブメントについて分析が語られました。「私は、レシピはオープンソースだと思っていて、人から人へ伝わり、どんどん変化しながら広がって、それが新しいコミュニティや文化を生み出すことにつながれば」(マツーラさん)

トークでは渡辺監督の次回作の紹介や、山形ツアーなどの構想が語られ、「山形と横浜がつながり、それぞれの地域で新しい動きをつくりながら、また出会った時に楽しいコラボレーションが生まれればおもしろいね」、と締めくくられました。

 

映画関連グッズは瞬く間に売れてしまい、販売スタッフは充実の表情!

 

今回の上映会の特別企画として、「映画関連グッズ」の販売をしました。映画のパンフレットと、在来作物の缶バッヂ。そして、映画に登場する山形在来の枝豆「白山だだちゃ豆」、映画に出てくるお漬け物屋さんが映画に登場する在来作物でつくった「外内島きゅうりのしょうゆ漬け」「藤島かぶのたまり漬け」「民田なすの辛子漬け」、それから一家相伝の芋を受け継いだ佐藤春樹さんの「甚五右衛門芋のタルト」、山形産ストレート果汁100%のジュース「山形代表」。

どれも飛ぶように売れて、「倍仕入れておけばよかったあ」とうれしい悲鳴が出るほど。映画でさんざん美味しそうなものを観て、その場でお買い物ができる。メッセージとともに食べるので、美味しさも格別かもしれませんね。

 

小さな子どもを抱えながら、スタッフとして活躍してくれた森ノオトのメンバーたち

 

映画の自主上映会は、多くの方の応援とお手伝いで成り立ちます。今回は、センター北の「ナチュラル・ハーモニー」さん、市が尾の「さくら工房」さん、あざみ野の「コマデリ」さん、鴨志田町の「フラメシ」さんから協賛をいただきました。

横浜市の地産地消推進事業、地球温暖化対策「ヨコハマ・エコ・スクール」の助成事業を受け、地産地消のライフスタイルが地球温暖化やエネルギーの小規模分散化に効果的であるというポイントも、渡辺監督からお話いただきました。

さらに、横浜市環境創造局、青葉区の後援を受け、1万枚刷ったチラシを多くの公共施設に設置していただくことができました。森ノオトはウェブメディアなので、サイトやFacebookなどでの発信には長けていても、ご年配の方やインターネットをあまり使わない方にも上映会のことを知っていただくには、紙のチラシをどれだけ手にとっていただくかが勝負です。

上映会のチラシは、森ノオトがこれまで取材でお世話になったお店などにご協力を依頼しました。皆さん、快く受け取り、配布・告知にご協力くださいました。本当に、こうして支えてくださる皆さんがいるからこそ、地域で浸透した上映会だったと思います。

何より、お盆休み期間のお暑いなか、会場まで足を運んでくださったお客様。当日は、総勢300名以上の方が映画を共有し、「在来作物」「地産地消」「地域」というキーワードを持ち帰ってくださいました。

 

最後に、スタッフと監督、ゲストでパチリ! 1日走り切った充実感でいっぱい! こうして助けてくれる仲間がいるからこそ、自主上映会は成り立ちます!

 

自主上映会は、映画との出会いから、地域にメッセージを伝える、新しい表現方法と言えます。森ノオトでは今後も、わたしたちが出会った素晴らしい映画を、地域の皆さんに直接お届けする、そんな文化も生み出していきたいと思っています。本上映会に関心を持ってくださった方、関わってくださった方、そして会場にお運びいただいた皆さんに、心から感謝いたします。

 

★おまけ

ターぞろいだった前夜の交流ディナー。個人的にとてもうれしい邂逅、出会いありの一夜でした

 

上映会前日には交流ディナーを「ナチュラル&ハーモニー COA」で開催。映画に協賛くださったナチュラル・ハーモニーの代表・河名秀郎さんやスタッフの方々、トークゲストの鈴木鉄平さん、マツーラユタカさん始め、森ノオトのスタッフ、そして上映会を応援し参加してくださる皆さんたちと、食、土、種、発酵、子育て、地域……などなど、多様な話で盛り上がりました!

森ノオトで大切にしているのは、こうした「人と人が直接出会い、語り合える場」をつくること。メディア活動を通じて関係性をつむぎ、ecology, organic, sustainabilityの感性をもって地域で実際に動く(消費行動もその一つです)人が一人でも増えればいいなあ! そんな場をこれからも生み出していきたいものです。

Information
【よみがえりのレシピ上映会】コラボ企画として、地産地消の惣菜店「REVIVE RECIPE TENZO」で、山形在来作物×横浜野菜のコラボ惣菜を販売します。
・勘次郎きゅうり(惣菜のほか、きゅうりの店頭販売も予定)
・白山だだちゃ豆(惣菜)
・沖田ナス(浅漬け)
・山形県のお米「つや姫」(おにぎり)
を使ったお惣菜、お弁当、ぜひご堪能ください!
期間:2013年8月28日(水)からスタート予定(浅漬けは29日より)、売り切れ次第終了となります。

REVIVE RECIPE TENZO

住所:横浜市青葉区もえぎ野1-18

電話:045-973-0033

営業:11:00-20:00

定休:火曜、日曜

http://wx25.wadax.ne.jp/~morinooto-jp/love/restaurant/tenzo/

北原 まどか
この記事を書いた人
北原まどか理事長/編集長/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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