次世代郊外まちづくり「市民エネルギー」の検討が始まります
【森ノオトリポーター養成講座修了レポート(1) 写真・文/荒井優紀子】
未来のエネルギーにむけての議論や市民によるエネルギーづくりが日本各地域で始まっています。青葉区のたまプラーザで行われている「次世代郊外まちづくり」の中の「住民創発プロジェクト」でも検討が開始されました。今日はその取り組みを行っている「たまプラーザ電力検討委員会」の活動を取材、報告します。

次世代郊外まちづくりとたまプラーザ電力検討委員会

横浜市と東急電鉄は、2012年4月に青葉区美しが丘1〜3丁目地域の新たなる活用を目的として「次世代郊外まちづくり」包括協定を締結しました。それは「既存のまち」の持続と再生、官・民の連携、協働による実践の基本理念に加えて「市民との協働」を柱としてまちづくりを進めていくというものです。

同年7月のアンケート、10月からの「まちづくりワークショップ」「たまプラ大学」、くらしの具体的な問題を検討する推進部会が設置され、2013年6月にその重層的な議論を踏まえ「次世代郊外まちづくり基本構想2013」が発表されました。

そのリーディングプロジェクトの一つ「住民創発プロジェクト」は、地域住民からのまちづくりの企画提案を募集し、講評会で「認定プロジェクト」として選定、支援します。

その応募提案の中から「市民電力を通じて、地域循環型コミュニティの形成を目指している点」が評価され、認定を受けたのが特定非営利活動法人森ノオトの「たまプラーザ電力プロジェクト」でした。そしてこの活動の主軸となっているのが「たまプラーザ電力検討委員会」です。

 

第2回たまプラーザ電力検討委員会

 

講師の竹村英明先生。多くの市民電力に関わってきている。たまプラーザ電力事業への期待も話された

 

2014年2月26日に行われた第2回の検討委員会では専門家による講演、意見交換と、委員会の今後の行動に向けたリサーチが行われました。参加者は21名、女性は30代〜40代が多く、男性は高齢層の姿も目立っていました。

講演は「たまプラ電力の可能性と未来」との題で、講師は日本で自然エネルギーの普及に尽力してきたエナジーグリーン副社長の竹村英明先生です。

講演のなかで竹村氏は「いつ脱原子力発電をするのか、その時間軸が争点となっている」と日本の未来エネルギーについての今の状況を分析し、「化石燃料に依存しないエネルギーシステムは可能である」として、その根拠となる数字を提示しました。年間の電力需要10億MWhに対して、供給能力は風力3.12億MWh、太陽光2.5億MWh、バイマス+水力2.5億MWh、そして省エネは1.88億MWhを見込むことができ、この状況が実現できれば原子力発電は必要なくなるとのこと。また、そのための設備投資や設計にかかる費用は244兆円と試算されますが、それらは全て内需に結びつくので経済の循環としては社会に貢献可能とのことでした。

竹村氏は続いて、これを阻害している「送電30分間同時同量ルール」や「優先接続の拒否」等の現在の送電・売電の仕組みについての説明をしました。30分同時同量ルールとは、発送電の一日前には電力発電量の予告が必要であり、その予告量とのプラスマイナス3%の誤差は許容されるが、それ以上の増減となると賦課金が発生する仕組みのこと。天候によって発電量が左右される自然エネルギーには不利と言われています。また、優先接続の拒否は、電力会社の電気の円滑な供給の確保におそれのある送電は拒否できる法律(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 第4条)で、発電事業者が安定的な送電を確保するために蓄電池を購入すれば、経費が1.5倍になってしまうとのことです。

これを解決するには、今ある9つの電力会社と他の電力事業者が同じルールで事業を行う「広域系統運用機関」の整備や、最終消費地である一般家庭の電気選択の自由化が重要となってきます。自由に電力を選べるようにするために、自然エネルギーの発電量の増加を図らなければならないと、竹村氏。

 

たまプラーザ発の市民共同発電事業を目指すには

 

当日の参加者が書いていった検討委員会への期待要望。これを基に検討委員会の今後が話し合われる

 

ここ数年の動きとしては市民が発電し市民に供給する仕組みができつつあります。竹村氏の挙げた例としては「多摩電力合同会社」「こだいらソーラー」「ししずおか未来エネルギー」等がですが、これらの事業資金の集め方も、債権の発行、適格投資家、地元信用銀行の融資など、地域ごとに多彩な手法が執られています。

ではたまプラーザ次世代まちづくりにふさわしい電力事業には必要なものは何でしょうか?

それは市民による地域の電力の共同発電、熱供給システムの開発が有効であり、また、それを環境価値としてブランド化して売ることも大切。これらを具体的に進めるためには 地域コミュケーション、財政的な手当、人材育成が重要とのことでした。プレゼンテーション資料の最後ページは「終わり」ではなく「それではまた」。とても印象的でした。

検討委員会の関係者によれば本日の参加者アンケートを基に検討を行い、9月頃までに「たまプラ電力検討委員会行動ガイドライン」をまとめるとのことでした。

美しが丘1〜3丁目の住人は約15000人。それぞれの地域の年令別構成、平均年齢、居住形態も同じではなく、日本の都市部の縮図のような呈があります。たまプラーザ電力検討委員会はこのエネルギー環境事業を通じて 地域の人たちが参加感を感じその出来上がったシステムに愛着がわくような、多様な内容の学習会、話し合いの場を作り、丁寧な説明、慎重な同意形成を進めていってほしいと思いました。

 

多摩電力合同会社の視察に行ったたまプラーザ電力メンバー

Information

第3回たまプラーザ電力検討委員会

https://www.facebook.com/events/284732875026497/

日時:2014年4月22日(火)18:30-20:30

場所:たまプラーザ地域ケアプラザ多目的ホール

(横浜市青葉区新石川2-1-15 たまプラーザテラスリンクプラザ4階)

参加費:無料

申し込み方法:Facebookイベントページ、またはE-mail info@morinooto.jp、またはたまプラーザ電力メンバーに直接口頭でお申し込みください。

ゲスト:多摩電力合同会社(通称:多摩電力)山川勇一郎さん

多摩電力合同会社 多摩センター事務所長・営業EPC統括部長。一般社団法人多摩循環型エネルギー協会 理事。

「市民のおもいのこもった“志金”を集めて、再生可能エネルギーを普及する」「市民発・地域発の、官民一体となった取り組みを推進する」「ニュータウンから都市型コミュニティビジネスモデルを発信する」をテーマに、多摩ニュータウンで屋根貸し太陽光発電の設置を推進している。また、双子の組織・多摩エネ協では多摩地区における再生可能エネルギーのあり方の検討や、一般市民への普及啓発を担っている。

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