この緑の原っぱをいつまでも!「のづた丘の上秋まつり」に遊びに行きました。
「のづた丘の上秋まつり」というお祭りをご存じですか? 毎年11月の初頭に町田市立野津田公園にて開催され、なんと今年で29回目を迎える歴史のあるお祭りです。自然素材を使ったワークショップあり、子どもがお小遣いで買える食べ物や手作り品もあり、出張プレイパークあり、コンサートや絵本の読み聞かせなどもあり、一日たっぷり楽しめるこのお祭りに、娘たちを連れて遊びに行って来ました。

雑木林にかこまれた原っぱに すてきなお店が店びらき

どんぐりころころばったがぴょん! 森のなかまもかおだして

商売よりもあ・そ・び!

楽しいリズムがきこえるよ 時がゆっくりながれてる…

そんな秋のおまつりに どうぞみんな来てください

 

この可愛らしい詩のような言葉たちは、「のづた丘の上秋まつり」の今年のキャッチコピーです。私は町田市に引っ越してきた4年前に初めてこのお祭りを訪れて以来、その楽しさにすっかりとりこになり、毎年このお祭りに出かけるのが秋の楽しみの一つになっています。

 

のづた丘の上秋まつりの会場は、野津田公園内にある「ピクニック広場(通称ヤマナラシ広場)」と呼ばれる広々とした原っぱ。豊かな緑の雑木林に囲まれ、春にはタンポポや菜の花の黄色が目を楽しませてくれる

 

秋まつりに出店しているのは、自主保育グループ、地元の幼稚園や小学校、プレイパーク、読み聞かせ団体など様々ですが、共通する思いは、「子どもと自然を大切に思う」ということです。出店店舗をのんびりとまわると、手作りのパンやお菓子を売っていたり、どんぐりや木の枝など自然素材を使ったワークショップがあったり、木の実を使って遊べるゲームなどがあったり……。子どもたちははじけるような笑顔で走り回っており、レジャーシートを広げ一日のんびりする家族連れも多く見られました。

 

様々な形のべっこう飴を作ってくれるおじさんのところには、長蛇の列。「順番に作るから待っててねー」

 

どんぐりを使った作品づくりのブース。動物や家具など細工の細かさにびっくり。どんぐりの帽子を使ったものは、なんとカップ&ソーサー。お見事!

 

アジサイや木の実、千日紅など、手作りのドライフラワーを使ってのリース作りは女の子やお母さんに大人気

 

この日は市から許可をもらい、思う存分たき火も出来る。篠竹にパン生地を巻き付けて炭火でこんがり焼く焚き火パンは毎年大人気。こんな体験は普段なかなか出来ないのでは?

 

以前に私が取材した「里山自主保育とっとこ」も出店していました。子どもの列が絶えないとっとこのブースでは、くぬぎをフライパン目がけて放つ「かしのみ鉄砲」や、オナモミボールをフエルトの的に目がけて投げる的あてが大人気! 景品はポップコーンですが、点数が高いとカブト虫の幼虫をもらえるとのこと! 幼虫欲しさに子どもたちは(時には大人も!?)お小遣いを握りしめては何度も挑戦していました。

 

同じく先日取材した「せりがや冒険遊び場」は、町田の冒険遊び場団体と並んで出張プレイパークを展開していました。木工作やベーゴマ回し、竹の楽器など、様々な遊びが出来る場に、常連の子どもたちや、今日初めて来て目を輝かせる親子たちの姿を見ることもできました。

 

女の子が構えているのがかしのみ鉄砲。竹筒の中にくぬぎの球が込められています。フライパンに命中したときの「カーン!」という乾いた気持ちの良い音が、秋の空に響く

 

冒険遊び場は大人や子どもで大にぎわい。木工作では、お父さんのほうが夢中になっている姿なども見られた

 

さて、この魅力的なお祭り、主催しているのは町田市にある「野津田雑木林の会」という団体です。「野津田雑木林の会」の始まりは、遡ること1980年代、野津田の土地が「総合スポーツ公園」として計画されたことによるものでした。当時、周りには田畑や雑木林が広がり、自然の宝庫だったこの地を何とか残したいとの思う人々の手によって「野津田公園を考える会」が立ち上げられ、署名活動、市への提言、自然調査、自然教室など、様々な活動を展開してきました。その活動の甲斐あって、公園の基本設計計画は見直され、市の提言した基本方針に「ふるさとの自然と文化を守り育てる公園」の一項が加わり、里山や雑木林を残すという会の主張も取り入れられたのです。その年に「野津田公園を考える会」は「野津田雑木林の会」と名称を改め、毎年おこなわれる町田市と共催の里山ワークショップや、毎月の定例観察会などが、現在まで続いています。

 

「野津田雑木林の会」の活動を紹介したパネル展示。草花を使ったワークショップ、講師の方を迎えての昆虫や植物探し、雑木林の手入れなど、その活動はさまざま

 

私も天気の良い日には、家族でよく野津田公園を訪れます。サッカーチームの本拠地になっている大規模な陸上競技場やテニスコート、野球場などがあり、休日はスポーツを楽しむ人々や家族連れであふれる総合公園ですが、野津田公園の魅力はその運動施設と共存している里山環境にもあると、私は思います。秋まつりのおこなわれた「ピクニック広場」を始め、「ミズキ広場」「上の原ススキ草地」など、娘の大好きな昆虫捕りができ、豊かな自然にあふれる原っぱが、開発の手が入ることなくたくさん残されているのです。

 

全て野津田公園で観察された昆虫たち。野津田公園は生物多様性の宝庫でもある。以前に公園で開催された「森の学校」の講師を務め、「ぐんま昆虫の森」の園長であり昆虫学者としても著名な矢島稔さんからは、「こんなに生態系豊な原っぱが残っている公園は東京ではもうここだけですね」との言葉をいただいた

その野津田公園に、今また、新たな開発計画が持ち上がっています。町田市は「自然の中で楽しむ総合スポーツパーク」というコンセプトをもとに、公園内にふわふわドーム、マレットゴルフ場、フィールドアーチェリー場、ふれあい動物園など、新たな施設を作ることを計画中とのことです。一見魅力的に思える計画ですが、これらの施設と引き換えに失われていくのは、今まで残されてきた豊かな里山の景観なのです。この秋まつりの会場でもある「ピクニック広場」にも遊具施設などができ、当然、この楽しいお祭りも継続するのは難しくなるとのことで、なんとも残念な思いがしました。

 

そして今、この現状に危惧し、大切な野津田公園の自然を少しでも子どもたちに残したいという思いを持つ市民が立ち上がり、新たに「上の原はらっぱを守るネットワーク」という団体が立ち上がりました。メンバーは日々、市議会の傍聴に出向いたり、署名を集めたり、請願を出したりと、市民の声を少しでも市政に届けるべく、活動を続けています。

 

私は、この野津田公園の開発計画の話を知人から聞いてから、今までよりも、市政だより、市議会だよりを熟読するようになりました。そして、市の公園開発計画に対して見直しを求める声が少なからずあることを知りました。「いつまでもこの自然環境を子どもたちに残したい。スポーツと里山の共存できる公園を残したい」――。その思いを持つ市民は多く、この日のお祭りに参加していた人たちも同じ思いで、子どもたちのはじける笑顔を見つめていたのだと思います。

 

秋祭りの会場とはまた別の場所にある「上の原はらっぱ」。このように手つかずの自然環境が、野津田公園にはたくさん残されている

 

まだ市の計画は検討段階で、今すぐに工事が始まるというわけではありませんが、このまま計画がどんどん進み、生物多様性の宝庫でもある野津田公園が、現状と様変わりしてしまうのはとても惜しい。開発に真っ向から反対するのではなく、自然と里山が共存する公園が残るよう、意見することはできるはず。30年前に市民の声で公園計画が見直された事実があります。今回も同じように、町田市が市民一人ひとりの声を少しでも拾い上げて、たくさんの人々に愛される公園が作り上げられていくことを願います。そして来年も、再来年も、その先もずっと、この緑あふれる広場で、楽しい秋のお祭りが続いていきますように。

ながたに 睦子
この記事を書いた人
ながたに睦子ライター卒業生
東京都町田市の里山風景が色濃く残る地域で、パンを焼き、絵を描き、デザインをする日々を送る。賑やか三姉妹と珈琲焙煎が趣味の域を超えた夫と楽しく暮らす。おっとり可愛い子リスのような容姿とは裏腹に、3児を育てながら保育士資格を取得するモーレツな一面も。趣味は里山歩きとキャンプ。
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