小さな水辺の中に住む“メダカ”との暮らし
我が家にメダカたちがやってきてから、7年ほどが経ちます。夫のひと言から始まったメダカとの生活。今では家族全員にとってなくてはならない存在であり、その姿は私たちの暮らしに潤いを与えてくれます。そんな我が家の「メダカ生活」、そしてメダカを飼う上でのポイントをお伝えします。

7年前のある日、夫が納戸にしまいこんでいたガラスの水槽を出してきました。独身時代に知人からいただいたというこの水槽に、どうしても何か魚を飼いたいといいます。水槽の大きさも手ごろなサイズであり、特に生き物を飼っていなかったため、気軽に「いいよ」と返事をしました。そこから、我が家のメダカ生活が始まりました。もちろん、“夫が必ずお世話をする”という約束付きで。

当初はこのガラスの水槽に、エアポンプやフィルターなどの装置をつけて、過保護すぎるほどの環境でメダカを飼っていました。しかし、2週間に1度(夏場は1週間に1度)ほどの定期的な水槽の掃除に疲れ果て(笑)、この過保護飼育は半年で終了となりました。

その代わりに取り入れたのが、今も我が家で続いている“ビオトープ”での飼育です。ビオトープとは本来、ある地域の中で結びつきのある生物が形成する生態系そのものを指すことばであり、我が家の場合は、メダカと水草、水中の微生物の間で酸素や二酸化炭素などの物質が循環し、生態系が維持される環境を人工的につくり出しています。この方法で飼うとお世話をする手間がぐっと省け、おまけに電気代もかからずとってもエコなのです。そして、気が付くと、メダカ鉢は約10個に!

 

我が家のメインの水鉢。鉢底には赤玉土を敷き、河原で拾ってきた石、水草を入れている。自然と苔や藻も生えてくるが、一緒に飼っているイシマキガイやミナミヌマエビ、タニシが苔などを食べ、自然とお掃除もしてくれる。さらに、底の方にはドジョウまで共生

 

室内でもビオトープは可能。ガラスの水槽で飼えば、四方からメダカや水草の姿を眺められる

 

それでは、メダカをビオトープで飼ううえでの我が家なりのポイントをお伝えします(水槽での飼い方や詳しい飼育方法などについては、書籍などを参考にしてくださいね!)。

 

<メダカをよく観察しましょう>

基本はここから。藻が繁殖しすぎていないか、水は汚れていないか、まずはメダカが気持ちよく泳いでいるかをチェックしよう。眺めていると、気づけばメダカの愛らしい姿の虜に……。

<市販のエサも与えましょう>

ビオトープでは、自然と発生した水中の微生物もメダカのエサとなるが、様子をみながら市販のエサをあげよう。

(我が家では、メダカが活発に動く春から秋にかけては週に2、3度、動きが鈍くなる冬はほぼ与えていない)。

 

<定期的な水替えをしましょう>

ビオトープでお手入れが楽といっても、やはり定期的な水替えは必要。水鉢の水量の4分の1ほどを捨て、新しい水(1日以上汲み置きした水)と替えよう。

(我が家では、春から秋にかけては週に1度、冬は水が減っていれば替える程度)

 

<繁殖期(春〜夏)には卵を産んでいないかチェックしましょう>

野生のメダカの寿命は約1年、飼育下では2、3年といわれており、メスは1シーズンに5回から10回卵を産む。水草などに産み付けられた卵を見つけたら、すぐに別の容器に移し替えた方がよく、そのままにしておくと、親メダカたちがエサと間違えて食べてしまうこともある。

 

卵は手でも簡単にとれる。とった卵は別の容器へ。卵の中で動いているメダカの赤ちゃんもまたかわいい!

 

人と同じで、メダカにとっても真夏は暑い! 板やすだれを利用して、木陰づくり

 

我が家のエース「ミユキメダカ」。キラキラと光る背中が美しい。その他に、くろメダカ、あおメダカ、楊貴妃メダカ、ダルマメダカ……、と種類が豊富なこともメダカの魅力のひとつ

 

メダカの赤ちゃん専用の水槽のひとつ。こちらは娘がお世話担当。“自分のメダカ”となると一層、愛着も湧く

 

それにしても、今、こうして記事を書いていると、「私はこんなにもメダカが好きだったかしら?」と我に返ります。呼ぶと水面に上がってくるメダカ、人影が見えるといっせいに寄ってくるメダカ、そして、寒い冬には鉢の底でじっと耐え、春を待つメダカ。そのどれもが愛らしい。お世話をしない私にとってもこれほどかわいいと思えるメダカたち、毎日面倒をみている夫にとっては、まるで子どものような存在です。

「◯◯さんからもらってきた△△メダカ、もうすぐ死んでしまいそう。でも頑張ったよな……。その子どもたち、大事にしなきゃな」

「◯◯さんにあげたメダカ、元気にしてるって? 大丈夫かな?(里親気分)」

もの想いにふけるその姿は、一見、おかしくもありますが、少しずつ家族にもメダカへの想いが浸透してきているように思えます。水辺の中に広がる“小さな自然”の中で、小さなメダカの一生を感じることができ、涼しげで可愛らしいその姿を愛でることもできる。

例え、庭やベランダがなくても大丈夫! 「メダカとの生活」、ぜひ体験してほしいと思います。週末、家族でペットショップや川へ行く機会が増えること間違いなし。

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この記事を書いた人
清水朋子ライター卒業生
食べること、つくること、ワインとチーズ、焼酎を愛する食いしん坊。雑木林のような豊かな庭、愛するアンティークに囲まれた自宅の一角で、集会所+ときどき、喫茶として「Glänta(グレンタ)」を主宰している。小さな家の隅々まで愛おしみ使い尽くす、センスのよい暮らしぶりが注目を集める。
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