現代を生きる、匠の技の継承者たち 等身大の大工さんと話してみよう
家を建てたいと思った時に、この人!と思い浮かぶ大工さんがいるという人はいますか? 建築家やハウスメーカーは知っていても、実際に手を動かす人のことは案外知らないもの。大工さんは、普段どんな日常を送り、どんなことを想っているのでしょうか?

今年の4月から始まった「土曜日の日曜大工講座」で活躍している、大丸建設期待の若手、石田大工と田中大工に、普段の仕事について聞いてみました。トップの写真は、「ものつくる手」を撮りたいと言ったら照れながらも応じてくれた様子です。
 
大工に限りませんが、一番大事な商売道具である手指の感覚。素材の特性と向き合って様々な道具を使いこなし、微妙な差異や手触りを知覚し、重いものを掴み、支える。日々、多くの仕事をこなしている働き者の手です。
 
一般的に、大工の1日は、朝8時頃から始まり、18時までには全て終えます。
週に1日お休みがあり、雨の日はお休みということはなく、できる作業をするとのこと。お昼休みと、午前と午後に一回ずつ休憩時間をとるので、勤務時間としては、一般的なサラリーマンとそれほど変わりありません。
 
大丸建設では、戸建ての住宅を建てる仕事が多く、その時施工している現場に行って仕事をします。一軒の家を建てるのには、だいたい3、4ヶ月かかります。建てている途中で設計の変更があったり、お客様の希望が変わったりして長引くこともありますが、一つの現場が終わったらその次の現場へと渡りあるき、年間3軒から5軒の家づくりに関わることになります。

9月の講座では「こどもいす」を作った。この日は、作業が長引き、最後まで残った参加者のみで記念撮影


日曜大工講座の準備は、仕事の合間や仕事後に行っているそうです。講座で作るものの設計や試作から、当日の説明まで、講座を担当する中心は、「ぼくが一番下っ端です」という、入社2年目の田中大工です。「講座の参加者は、レベルが様々で、普段自分ではほとんど大工作業をしない方も多いので、2時間で出来上がり満足度の高いものを作るのは難しい」と毎回試行錯誤を重ねています。
しかし、自分で考えて、相手に伝えるところまでやることは、自身の成長や自信にもつながっている様子。一連の作業を、真面目に淡々と、かつ、楽しんでいることが伝わってきました。

夫婦で共同作業。お手伝いしていた子どもたちはいつの間にか、連れ立って公園に行ったり、室内で休憩したり、庭で虫を捕まえたり、自由に遊ぶ


 

子どもたちの「おなかすいたー」という声を適度に流して、作業に没頭! 頑張る女性たちの姿はなんともかわいい


石田大工は「僕はサポート役だから」と一歩引いて後輩を見守る役に徹しています。参加者のこともよく見ていて、「道具の使い方や進め方、みんな自分のやり方があるから、この人はこうやりたいんだな、というそれぞれの違いが面白い」のだそう。石田大工は、もともと手先が器用で、ものを作るのが好きなタイプ。電気工事士の資格も持っています。
 
「釘を使わず、木をうまく組んでいくような仕事が自分は好きだから、以前の職場にいた宮大工の技術から刺激をもらいます」という石田大工。
 
最近は、プレカットといって、既に加工された材料を現場で組み立てるだけ、といった仕事も増えているので、木材加工に関しては「自主練」していると聞いて驚きました。家を、安い材で早く簡単に作るという方向が一概に悪いとは言えませんが、大工が技術を磨き、実力を発揮できる場が少ないのはもったいないと感じました。
 
大工不足が叫ばれるのも、そもそもの現場が少なく、木そのものや、木の使い方を知るお客さんが減っていることとつながっているのでしょうか。本物の木を使った、小さくても「いい家」が並ぶ街があれば、一軒あたりの価格は少し安く、大工さんも施主も、山主も幸せになるのではないかしらなどと、つい妄想が膨らみます。

参加者の困った! に対応中のお二人。ガタつき、歪みの原因を調べて素早く対応していく


最後に、大工として目指していることや、いつかやってみたい仕事はありますか? と質問すると、石田大工からは「自分で図面をひくところから、一軒の家を建てたい」という答えが返ってきました。設計と施工、今は分業が進んでいますが、大工さんは本当は一から家を建てられるのだと、はっとさせられました。今ブームの小屋作りに挑む素人も増えてきている昨今、自分の住処を作るというのは、人の基本的能力として、磨いたほうが良い部分でもあります。石田大工も「まあ、自分の家を建てればいいんでしょうね」と笑っていました。
 
田中大工は、大工として、今は現場で学ぶことに精一杯で、まだこれはという夢はないそうですが、「自分で仕事をするようになって、以前よりも、建物としてお寺が気になって見るようになったかもしれない」と語っていました。
 
建築家は、世の中や、我が作品に関して主張をたくさん持っていて、おしゃべりな人が多い(気がする)のですが、自分の事をしゃべり慣れていない大工さんも、当たり前ですが、いろいろと感じたり考えていることがあり、聞けば、きちんと応じてくれます。以前、大丸建設の現場見学会の記事で紹介した山田大工もそうでしたが、大丸建設の大工さんは、シャイだけど、人の話をよく聞いてくれて礼儀正しい方たちばかりでした。職人のイメージも時代とともに移り変わり、これからは喋ることも、作ることも好き、という大工さんが生きのこり、いい仕事を残していくのかもしれません。

踏み台、ブックエンド、ダストボックス、トレー、こどもいす、今まで作った物が並ぶと、木のある暮らしがイメージできて楽しい


次回の「土曜日の日曜大工講座」は、12月の開催で、蓋つきの箱づくりをする予定です。募集開始はもう少し先になるので、森ノオトのFacebookページやメールマガジン、大丸建設のHPやFacebookページからのお知らせをお待ちください。

Information

大丸建設の現場見学会のお知らせ。

華やかな完成見学会とは違い、壁の内側の構造が見られる、貴重な機会です。家の新築や耐震リフォームをお考え中の方にはオススメです。

日時:20171119日(日)10:00−16:00

会場:東京都稲城市 ※事前予約制:ご予約の方に詳細ご連絡いたします。

主催:株式会社大丸建設 東京都稲城市大丸71-2

http://www.kk-daimaru.co.jp

お問い合わせ・申し込み TEL: 042-377-4441   FAX042-377-4440

梅原 昭子
この記事を書いた人
梅原昭子理事/事務局長/ライター
難しいものをおもしろく、かたいものをやわらかく翻訳し、絵で表現できる編集者。市民電力会社「たまプラーザぶんぶん電力」の社長になってしまうが、エネルギーの世界にも飄々とたゆたう視点で、こんがらがった世界を解きほぐす。アートユニット「WAKUSEI/ワクセイ」として縦横無尽に活動中。
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