梅原さんのエネルギー夜話・その4 オフグリッドハウス
オフグリッド住宅とは、電力会社とは契約しないで、グリッド(発電所から家々に張り巡らされた電力網)から離れても自立できる家のことです。住まいをオフグリッド化して、エネルギーをつくって使う、自給自足型の暮らし方を始める人が増えています。
(この記事は、消費者力アップ県民提案事業の委託事業の一環でお届けしています)

毎月の電気代の請求書が届かない。

オフグリッドな暮らしが夢物語ではなくなってきています。断熱・遮熱の技術を重ねて、そもそもの電力使用量を少なくして、屋根に乗せた太陽光発電でつくった電気を蓄電池に貯めて、必要な時に使う、自立する家。

 

オフグリッド化するにも、きっちり断熱工事をして住まいの性能を高くして最新の機器をつける上質派タイプと、小さく簡素で、アウトドアライフの延長のような暮らしを目指す野生派タイプの、大きく分けて二つのタイプがあるようです。

 

知人の案内で、東京都町田市で実験的に建てられたオフグリッド住宅「まほろのオフグリッドハウス」を見学させてもらいました。母屋の離れ、といった風情で、実際、ご自宅の目の前にあり、仕事場兼応接間として使われています。小さいけれど、耐震や断熱に気を配って建てられています。太陽光発電と太陽熱温水器がセットになったパネルを設置しており、暖房器具は1階にあるペレットストーブのみ。ペレットストーブの温風を床下の空間にも送ることで、熱を循環させています。とても暖かで居心地が良かったです。

 

「気がついた個人が先駆けてやらないと!」と、環境活動家の田中優さんのオフグリッド住宅を見に岡山まで行き、「自宅前の空きスペースを利用して建てました」とまほろのオフグリッドハウスの建主・岡野夫妻

 

 

1階は、土間になっていて靴を履いたまま移動できるのも良いです。土間への憧れがある私。海外のように、靴を履きっぱなしの暮らしには抵抗があるけれど、作業スペースとか一時的な荷物置き場など、土間は暮らしを快適にしてくれる場だと感じています。特に農作業をする人にとっては利用価値が高いでしょう。そう思う人が多いのか、最近玄関が広い土間になっている一軒家が目につく印象はあります。

 

2階には畳の間が。トリプルガラスの窓の手前には、二重に張られた障子が柔らかい印象を醸し出している。障子や畳も、断熱効果があると再注目されている素材

 

 

ただの換気口に見えますが、こちらは太陽熱を貯めて、その熱を利用する、家庭用としては例のない空調システム。残念ながら昨年の夏は、不調で十分機能しなかった

 

「10月に長雨が続いて日照時間が少なかった時も、少しきつかったですね。かなり電気を節約して耐えましたが、熱利用も発電もまだ発展途上。欠点や課題も含めて、公開していきたいです。」という岡野祐三さん、美紀子さん夫妻の姿勢に胸を打たれます。

 

このオフグリッド住宅、朝、母屋が寒い時でも、室温が10度以下に下がることは、ほぼないそうです。住居ではないため、夜間は人が居ないので暖房も切られているのですが、それでも室内の温度が保たれているのはすごいと思います。

 

オフグリッド住宅は、今はまだ設備機器類が高価なので、誰もが気軽に建てられるわけではありませんが、こうして実際の物件を目で見て体で体験すると、家づくりの際に、エネルギー問題の当事者として関わるって、かっこいい生き方だと思います。私は自分の家を建てる予定はありませんが、自治会館とか、小学校の寒い体育館などがオフグリッド化されると人の意識も変わるかな? と考えたりしています。

 

 

(その5に続く)

……夜話(やわ)とは、

(1)夜間にする談話。また、それを書き記した書物。

(2)気軽に聞ける話、また、そのような内容の本。

(3)禅宗で、夜に修行場の訓話をすること。

 

 

Information

まほろのオフグリッドハウス

http://blog.livedoor.jp/off_grid_house_ap/

 

梅原 昭子
この記事を書いた人
梅原昭子理事/事務局長/ライター
難しいものをおもしろく、かたいものをやわらかく翻訳し、絵で表現できる編集者。市民電力会社「たまプラーザぶんぶん電力」の社長になってしまうが、エネルギーの世界にも飄々とたゆたう視点で、こんがらがった世界を解きほぐす。アートユニット「WAKUSEI/ワクセイ」として縦横無尽に活動中。
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