月に一度の土いじり。 種をスキルをランチを持ち寄る、もちより畑
森ノオトでは2016年の春から、森ノオウチ(横浜市青葉区鴨志田町)の小さな畑を耕しています。農薬を使わず、のんびり月に一度の農作業。農のあるのどかで豊かな暮らしに憧れて、種やスキルやランチを持ち寄りながらわいわい作業しています。

もちより畑は、2016年の春に森ノオトの事務局長の梅原昭子さんとNPO会員の松尾敏行さんが中心となり、森ノオウチの敷地の一角にある使われていなかった畑を耕すところから始まりました。

 

活動は、NPO会員に呼びかけて、月に一度の土曜日か日曜日、ゆるゆる~っとした雰囲気で来られる人だけが参加します。しばらく使われていなかった土地なので土が硬く、笹がはびこっていて耕すにもなかなか苦労しました。毎日手入れしているわけではないので、間引きがうまくいかずに小さい収穫物になってしまったり、コンポストの中身が腐敗してしまったりというトラブルもありました。それでもマイペースに作物は育ち、2016年9月にはパーマカルチャーを実践しているソイルデザインの四井真治さんに実際に見ていただいて、コンポストの改善点や畑の水はけをよくする方法などのアドバイスを受け、着々と畑らしくなっていきました。

 

小さな畑の一畝の中にもいろんな種類の種を蒔く

 

 

さて、このもちより畑のキーパーソンである松尾敏行さん。普段は、にいはる市民の森に隣接する社会福祉法人同愛会の「幸陽園」で働いています。幸陽園はクリーニングを主な業務としていますが、松尾さんは農福連携(主に知的・精神的に障がいのある方が農業の担い手になること)を進める「農耕班」で障がいを持つ作業者の方と一緒に農作業をしています。

 

右が松尾さん。後述する講義での一コマ

 

 

松尾さんは横浜市青葉区で育ち、小さいころは野山だったこの地域で遊びまわっていたそうです。それがだんだん開発され街になっていき、遊び場も減ってしまいました。松尾さんが高校生の頃にはオゾン層の破壊などが話題になったこともあり、環境問題に関心を持ちました。大学時代は化学を専攻し、自然保護研究会のサークルに所属していた松尾さん。卒業後、環境分析の仕事をしていましたが、営利企業で環境問題に向き合うことへの矛盾を感じ、農業に関わる仕事を選びました。

 

そして、自宅ではベランダガーデナーとして、プランターでいろいろな野菜を栽培しています。最近ではソーラークッキングにも目覚め、ベランダでの実験を繰り返すなど、都市での緑のある生活を楽しんでいます。

 

種や苗は松尾さんが持ってきてくれることが多く、収穫した野菜はその場で調理してお昼に食べたり、皆で分け合って持って帰ったりします。メンバーの時間のある時は、ランチを持参して午後3時頃までゆっくり過ごすこともあります。

 

もちより畑は土日に開催されるため、その他のイベントと重なることもよくあります。2017年5月には、シェアカルが午後から開催され、松尾さんが畑でとれたニラを使ったスープを作り参加者にふるまいました。最近は、梅原所長による宇宙キッチン梅原研究所が同時開催されることが多く、作業中におひさまの力で調理されたおかずと、畑の収穫物を使ったおかず、そしてエコストーブで炊いたご飯でお昼を食べるという贅沢な楽しみが増えました。

 

夏の収穫物。左上:ワケギ、右上:ミニトマト、左下:オクラ、右下:ニラ

 

 

秋の収穫物。ゆず(敷地内より)、空芯菜、サトイモ、ラディッシュ、さつまいも

 

 

畑の横でソーラークッキング

 

 

この会は、梅原所長による「肉」をテーマにした会。畑の野菜で彩りを添えて

 

 

私は畑作業については完全なる素人なので、何をするにも松尾さんの指示を仰いでいました。庭のないマンション暮らしで畑生活には憧れるものの、素人すぎてレンタル畑なども敷居が高かったのですが、月一度でよくて、しかも教えてくれる人がいる環境なんて素敵! と気軽な気持ちでもちより畑のメンバーになりました。今では、農作業をした後の心地よい疲労感と、子どもたちも自分も開放的な笑顔になれるこの時間が大好きです。

 

昨年の12月には、松尾さんによる農業講座が開かれました。もちより畑が3年目を迎えるにあたり、メンバーがもっと主体的に関わってステップアップしてくれたらという目的で、企画されました。野菜の種類や、栽培方法の違い、種について、連作障害などの農業の基礎的な知識の講座と、その後に、来年度の作付けを計画し、担当を決めました。

 

来年度の作付け計画表。各自好きな物を中心に畝毎に担当を決めた

 

 

作付けを担当制にして、私もいくつか担当野菜が決まったのですが、なんと! それだけで畑に向かう心構えが全然違ってきました。まず、種なのか苗なのかも分からず、蒔くのに最適な時期も、近隣で買える店も分かっていない……。本当に、自分が情けなくなりました。それから、ホームセンターの園芸コーナーをこまめにのぞくようになり、インターネットでも調べて、なんとか種の手配ができました。そうすると、次の畑の日が楽しみで仕方なくなりました。そして、種が余ったら我が家でもベランダで育ててみようという意欲がわいてきました。

 

ネットショップで取り寄せた種。蒔くのが楽しみ

 

もちより畑には我が子や松尾さんのお子さんも参加しています。日頃は砂場や学校の授業でしか土にふれる機会のない子どもたちも、進んで種まきや収穫作業を手伝って、飽きたら子ども同士で遊び始めます。「畑でいろいろな作物を育てるのは家ではできないので楽しい」と、私の小3の娘も月に一度の畑作業を楽しみにしているし、学校で野菜作りをした後の復習にもなって一石二鳥。今年度は、ホウレンソウ担当になったので、張り切って参加してくれそうです。

 

月に一度しか会わなくてもすぐに仲良く遊び始める

 

 

市街地でありながら自然も多く残っている青葉区は、利便性の高い都会的な生活のメリットも享受しつつ、土に触れる農のある豊かな暮らしができて、本当に贅沢だなあと感じます。土とつながる循環した暮らしが、少しずつでも周囲に広がっていき、人々の心も耕し、地域を変えていくようなそんな気がしています。松尾さんのようにこの地域で育ち、この地域を愛し、この地域で循環する暮らしを実践している人というのは、本当に地域の宝だと思うのです。

 

実は、今年からもちより畑の面積が増えます。森ノオウチからすぐの場所で、面積が一気に倍以上になるため、ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ、カボチャなど、カレーの具を作れるね! とメンバーで盛り上がっています。メンバーも増え、耕作面積も増え、活動がますます盛んになり嬉しい限りですが、まだまだ新メンバーを募集中です。森ノオトの寄付会員「森のなかま」ならば、月500円からの寄付で、もれなくもちより畑のメンバーになれますよ(畑の活動費は、施設利用料として大人一人100円/回、お子様無料です)。ふらっと見学でも、ちょっと身体を動かしにでも、森のなかまになってもちより畑に参加してみませんか?

 

 

新しく耕し始めた畑。しばらく使われていなかったため土が硬いが、皆で一所懸命耕した

 

冬の間は、土を耕して春の種蒔きに備える

坂本カオル
この記事を書いた人
坂本カオルライター
森ノオトで数少ない「リケジョ」で、建築・土木系の記事を手がけられる貴重な存在。巨大な建設物から天然自然な住まいづくりに転身し、化学物質を極力使わないライフスタイルを心がけている。生まれ育った家庭も結婚後も転勤族で、各地を転々とする暮らしを送っているため、抜群の順応性をもつ。
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