「Tamacafe」 中山で温かい交流を生むコミュニティカフェ
横浜市緑区にある「Tamacafe」。半世紀にわたり中山の地で愛されてきた「玉寿司」の娘さんが2014年に飲食店としてよみがえらせ、今ではコミュニティカフェとして地域に根付いています。お昼時の店内は、席を埋めるお客さんたちの明るい笑顔であふれます。生き生きと輝く女性の姿を引き出すカフェを、切り盛りしている武田陽子さんにお話しを聞きました。

横浜市緑区にある中山商店街は、JR横浜線、横浜市営地下鉄グリーンライン中山駅を中心として周辺の商店が加盟している緑区最大の商店街です。軒をつらねる店舗の中でも、一際、おしゃれな佇まいの「Tamacafe」は、近隣に住む女性たちの憩いの場になっています。

 

大工さんと相談しながら自分でも内装に手を加えたという店主の武田陽子さん。壁に展示されたアーティストの作品が映える温かみのある内装もさることながら、雰囲気を楽しみながら食事をすることだけがお店に立ち寄るお客さんの目当てではありません。

 

絶えず問い合わせがあり、常に埋まっている引き出し式のレンタルボックスや、ほぼ毎日、なにかしらのレッスンが開催されているレンタルルームがあることも、Tamacafeの魅力の一つ。例えば、英会話だけでも、それぞれ違う先生による4種類の教室があったり、絵画やフラワーアレンジメントなどのハンドメイド雑貨やクラフト作品づくりの講座や、椅子に座ったままできるチェアヨガが行われています。

 

レンタルボックスには中山地区だけでなく、JR横浜線や市営地下鉄沿線以外からも納品されるハンドメイド雑貨などの作品が詰まっています。引き出しには納まりきらない手作りのアクセサリーやバッグが棚の上にも並びます。店主の武田さんによる焼き菓子も販売中

 

店内奥に仕切られたレンタルルームとしているスペース、元は、武田さんご自身が、カフェ営業の傍らで、手作りパンの教室を開こうと考えていました。お店を運営するなかで、自宅を開放することに抵抗はあるけれど、特技を活かしたセミナーを主宰したいという人に貸し出せるかもしれないと思いレンタルスペースを始めました。

 

「初めからコミュニティカフェにしようという構想はなかったけれど、口コミで広げてもらい、いつの間にか、人の輪ができていたんです。周りに言われて、やっと、これがコミュニティカフェなのだと、気づいたくらい」という武田さん。
「普段、家にいるお母さんたちにも、何かをしたいという気持ちが、もともとあったのでしょうね」。レンタルスペースで特技を活かした講座が毎日のように開催されていたり、店内の各テーブルから華やかな笑い声があがるお店の状況を、武田さんは分析します。

 

近くに畑を借りて栽培している野菜を店頭販売する主婦のお二人も、タマカフェに通うお客さんでした

Tamacafeが中山にオープンしたのは、2014年のことです。

武田さんのご両親がおよそ50年に渡って経営していた「玉寿司」というお寿司屋さんを、カフェに改装し、スタートしました。
「高齢を迎えた親の側で日々を過ごしながら、働きたいと考えていて、親孝行のつもりで始めました」と、武田さん自身が生まれ育った場所で、開業することを決めた経緯を、語ってくれました。

棚に使われている古材や、磨きをかけてリメイクしたカウンター、床の凹凸など、店内のいたるところに、玉寿司の名残を垣間見ることができます。

 

お客さんを笑顔で迎えるご両親(写真提供:武田陽子さん)

現在は「玉寿司の娘」でもある陽子さんがお客さんをもてなします

地元をよく知る武田さんが、中山商店街にカフェを開いたことで、古くから地域に暮らす人たちと他所から越してきた人たちとの間に結束が生まれていきました。
例えば、近隣にあるカフェ「753 Cafe/Shop/Gallery」と「COVOLBA中山店」の2店舗と合同で行っているハロウィンイベントがあります。

同業者の横のつながりを求めていた経営者仲間と企画した催しに、商店街を巻き込み、子どもから大人まで、幅広い年齢層が楽しめるスタンプラリーへと発展させました。
また、「業務に気をとられて、普段は、あまりできていないお客さんとの会話を楽しみたい。それから、お店に来てくれるお客さん同士にコミュニケーションをとってもらい、どんどん新しいことに挑戦してほしい」と、年に一度、自己紹介タイムを設けた交流会をTamacafe店内で行っています。

 

Tamacafeファンという共通項で、教室の先生、アーティスト、地元出身のボクサー、地元企業の経営者、議員など、年齢も性別も、肩書も趣味も、様々な顔ぶれがひとつの食卓を囲みます。

 

武田さんの「人と人をつなげたい」という想いが、中山という地域のみならず、横浜市内外の各地からも人が集まる“コミュニティカフェ”へと、Tamacafeを盛り上げています。

 

いつも明るく丁寧に、お客さんを迎え入れるのはTamacafeガールズと呼ばれるスタッフのみなさん。料理家でフードコーディネーターの酒寄美奈子さんを始め、もともとは教室の生徒さんや、自身がアーティストの方など、個性豊かな面々が、武田さんを支えています

開店から4年、カフェで出会ったクリエイター同士が発案した、展示販売兼ワークショップ体験会や、お客さんからの持ち込み企画が行われ、より一層、人々の交流が深まっています。
「現在は、子育て世代の女性がメインの客層ですが、これからは、年配のお客さまや男性にも利用してもらえるように、工夫を凝らしていきたい」と、武田さんはこれからの展望を話してくれました。「一人でふらっと来てもくつろげるように、本を充実させてもいいかも……」とも。

 

通えば通うほど、挨拶を交わす顔見知りが増えていく、コミュニティカフェ「Tamacafe」。もちろん、日替わりで提供されるおいしい食事を楽しむことも、お茶やデザートで一休みすることもできます。思いおもいの時間を過ごしながら、武田さんの人柄に惹きつけられた人たちと出会えるこの場所に、わたしは魅力を感じました。

Information

Tama cafe(タマカフェ)
横浜市緑区台村町186カワグチビル1F
電話:045-509-1016

 

営業時間:月曜日~金曜日 10:00~17:30(17:00ラストオーダー)

定休日:土日祝日(年末年始・夏休み期間)

 

Tamacafeブログ

https://blog.goo.ne.jp/tamacafenakayama

 

Facebook

https://www.facebook.com/Tama-cafe-nakayama-277397619133670/

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この記事を書いた人
本田真弓ライター
横浜市南区で生まれ育つ。とにかく好奇心旺盛で、外へ出ては、新しい発見を探している。海や山で遊んだり、土いじりをしたり、動植物と触れあうのが好き。第一子が誕生したばかりの新米母。
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