会社員から転身 ダイビングフィンに新たな命を吹き込むアーティストへ
マリンスポーツに欠かせないフィンをキャンバスに、絵を描くアーティスト・馬場友理恵さん。泳ぐための道具としての役目を終えて、しまわれたままになっていたり、処分されるフィンを引き取り、アートとして生まれ変わらせます。

みなさんは、海に潜って、水中の岩場や砂地に住む生き物を観察したことがありますか。フィンと呼ばれる足ひれは、スキューバダイビングやシュノーケリングをする人には馴染み深い道具のひとつです。用途によって、種類や形状にはさまざまなものがあります。

 

東京都在住の馬場友理恵さんは、ゴムやプラスティックでできたフィンに、絵を描く技術を独学で磨いてきたフィンアーティストです。

 

水中でオリジナルのイラストが入ったフィンを履くことで、ファッションアイテムとして楽しむことができます。また、使われなくなったフィンに思い入れのある風景や生き物などを描いてもらい、新たな命を吹き込むことで、アート作品として海を感じることができるのです。念願叶って、友理恵さんにオーダーすることに。物も思い出も大切にしたいという、わたしの気持ちを形にしてくれました。

 

オーダーしてから作品ができあがるまでの過程とともに、友理恵さんがアーティスト活動にこめる想いをご紹介します。

わたしが、スキューバダイビングを始めたころに初めて購入した初心者向けのフィン。長い間、押し入れの奥にしまってあったものをキャンバスにしてもらいました

実際に会ったり、メールでのやり取りを通して、打ち合わせを重ねていき、入れてほしいモチーフやデザインを伝えます(写真提供:馬場友理恵さん)

配置が決まったら、制作に取りかかります。油性インクを使い、ペンや指で馴染ませながら色を重ねていきます。早ければ、1~2週間で完成します(写真提供:馬場友理恵さん)

思い出の詰まったフィンに、共通の趣味であるダイビングを通して知り合った夫との結婚5周年記念の絵を描いてもらいました。実際に海で撮った記念写真をもとに、構想を練り、安産や子育ての象徴であるウミガメとクマノミをオーダーしました。ディスプレイ用の作品では、ストラップの部分も、好みにあわせて注文します

 

「お客様のリクエストに応えられるように描いています。さらに、期待を上回る作品に仕上げたいと思いながら、取り組んでいます」と、友理恵さんは、フィンアートに対する真摯な思いを語ってくれました。

 

友理恵さんがアーティストとして独立してから、もうすぐ、4年が経ちます

それまでは、一般職の会社員として働いていました。就職して7年経ち、事務仕事に慣れたころ、自身の働き方と向き合い、楽しみながらも向上していけるような、新たな職を模索していました。

海の生き物と、絵を描くことが幼い頃から好きだった友理恵さん。社会人になって時間に余裕をもてるようになってから、かねてから興味のあったスキューバダイビングを始めます。自作のイラストを描いたフィンを使っていたところ、友人たちの目に留まり、依頼を受けるようになります。

「実際にやってみながら、腕を磨いています」という友理恵さんは、水中でも色褪せにくいアートを描くために、塗装の専門家に相談を重ね、試行錯誤しながら技術を培っていきました。

イルカと泳ぐためにスキンダイビングの技術を習得したり、アシカに会いにメキシコのラパスまで潜りに行ったり、友理恵さんは、生き物たちのリアルな表情や仕草を捉えるために実際に触れ合うことを大切にしています(写真提供:馬場友理恵さん)

独立してからの約4年間、「応えられるオファーには、すべて取り組もう」という意気込みで、友理恵さんは、神奈川県内のダイビングショップから始まり、宮古島や石垣島のカフェ、伊豆にあるビジターセンターなどで、展示会を行ってきました。

今年2019年には、毎年4月に池袋で開催されているマリンダイビングフェアへの出展を予定しています。

友理恵さんがフィンアーティストとして初めて個展を開催した藤沢市にある「Diver’s cafe」で大切に飾られているお店の周年記念のアート。マスターの坂元将志さんは、友理恵さんの人柄について「探求心を忘れない冒険家。頑張り屋さんで、技術を上達させながら、新しいことにどんどん挑戦しているところが彼女の魅力です」と語ってくれました 

「美術に関して専門的な学校に通ったわけではないけれど、好きを突き詰めれば、仕事にできる。腹を括って、会社を辞めて、本気であるところを見せたことで、周りの人が助けてくれました」。友理恵さんは、働き方や生き方を模索している若い人たちに、自身の経験を伝えていきたいと、これからの活動への意気込みを話してくれました。

人生をかけてフィンアートに取り組む友理恵さんのもとには、香港やフィリピンなど海外のダイバーからも注文がはいります。

 

わたしは、結婚というライフステージの変化で、海に潜る機会が減ってしまいました。相手の要望にできる限り応えようと、絵の技術を磨いてきた友理恵さんの手によって、記念のアートに生まれ変わったダイビングフィンを眺めながら、わたしは、また海を近くに感じられるようになりました。

今回、もう片方のフィンは、友理恵さんに、引き取ってもらうことにしました。使わずにしまいこんでしまったフィンが、結婚式のウェルカムボードやダイビングショップの看板として蘇り、誰かに大切に飾ってもらえるのを楽しみにしています。

Information

馬場友理恵オフィシャルHP

http://yurie-finart.wixsite.com/finart-official

FBページ:https://www.facebook.com/Fins-Art-Feeling-Ocean-by-YURIE-1016606631738426/
Instagram:@ fin_artist_yurie

本田真弓
この記事を書いた人
本田真弓ライター
横浜市の真ん中あたり、南区で夫と二人暮らし。母は横須賀市、父は愛媛県出身で、よく遊びに行っていたため、子どもの頃から、海を身近に感じて育つ。幼少期から、植物や生き物の図鑑を眺めるのが好きで、今でも、好奇心が旺盛。趣味のハイキングやダイビングをきっかけに、環境保全やナチュラルな生活に関心をもつ。マイブームは、ビーチコーミングとワインの勉強。
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