エコな生活がしたくなる 暮らしを見直す絵本たち
エコな生活していますか? ゴミの分別、プラごみを減らす、フードロスをなくす、節電……など、森ノオト読者ならしっかり取り組んでいる人も多いことでしょう。環境に優しい活動を「やらなくちゃ」から、「これが当たり前」と気持ちを変換してくれそうな絵本をご紹介します。

エコ(※)でシンプルな生活に憧れます。昔からあるものを上手に取り入れて、環境に配慮した暮らし。私がエコだなあと思いながらやっていて、心地よいと感じるのはこんなことです。

 

・コーヒーかすを乾燥させて新聞紙でくるみ、消臭剤がわりに下駄箱に入れる。

・炊き上がったご飯は保温せず、お櫃(ひつ)にうつす。冷めてもご飯が美味しい。

・食器や調理道具はプラスチックでできたスポンジではなく、天然植物繊維が原料のセルロースでできたスポンジやたわしで洗う。

・部屋の掃除に茶殻を撒いて、箒ではく。これをやるとお茶の香りがほのかに漂い、部屋が清々しくなったように感じる。

・界面活性剤入りの洗剤は使わない。台所もお風呂も固形石鹸を使う。

 

コーヒーかすがこぼれないように新聞紙でしっかり包む

これらの方法が環境にとって一番いいかどうかはわかりませんが、できることをできる範囲でというつもりでやっています。

 

今後やりたいなあと思っていることは生ごみを土に返すこと。実家では柿の木の近くに大きな穴をほって生ごみをいつもそこに埋めては土をかけていました。そのおかげか、実家の柿は毎年、たくさんの実をつけ、近所でも評判の美味しさでした。今の住んでいる家の庭に穴を掘って埋めるのは難しいのですが、以前やっていたコンポストを再開したいなと思っています。

 

昔だったら当たり前のことが、敷地の問題や忙しさを理由にして「できない」と決めつけている事も多いように思います。けれど、少しの工夫でできることはまだまだ見つけられるかもしれません。そんなエコに取り組む心にスイッチを入れてくれる絵本をご紹介します。

 

(※)エコとは

エコロジー(生態学)やエコノミー(経済)などの意味を含む。環境と経済はつながっていてどちらか一方だけが発展してもうまくいかない。環境問題を世界中で解決していくことで世界の経済も発展し、人びとが安全で豊かな生活を送れるようにと思いを込めて「エコ」という言葉が使われている。(学研サイエンスキッズ参照)

『アイヌのむかしばなし ひまなこなべ 』(文=萱野茂、絵=どいかや
、あすなろ書房)と『アイヌとキツネ』(文=かやのしげる、絵=いしくらきんじ、小峰書店)

 

アイヌの昔話には大切な教えが詰まっています。アイヌ人は動物や、自然界のもの、そして自分たちのつくったものなど全てのものに神様が宿ると信じています。

 

『ひまなこなべ』 ではクマに宿る神様、ものに宿る神様が出てきます。神様といっても人間と変わらないような親しみやすい印象です。それだけ、アイヌと神様が近い存在だったということでしょうか。

人間が、獲物であるクマや、道具に感謝し、それを大切にしていることで神様も人間に力を貸してくれるのです。神様の行動もお茶目なところがあり、温かい気持ちになります。

 

『アイヌとキツネ』ではキツネが泣きながら人間に訴えています。鮭を独り占めするな。自然を壊して自分たちの住むところを奪うなと。それを聞いた人間はキツネの言っていることが正しいと気がつき、キツネの神様にお詫びをします。そして、子どもや孫に伝えていきます。自然のものは神様がつくってくれたもので、人間だけのものでない。動物たちと仲良く分かち合いなさいと。

 

 

『にぐるまをひいて』(文=ドナルド・ホール、絵=バーバラ・クーニー、訳=もき かずこ、ほるぷ出版)

じっくりじっくり味わいたい本。一見地味に見えるこの本は読めば読むほど味わいがます

 

「人びとの生活と 自然のために」

こんな一文から始まるこの絵本は、19世紀初めのニューイングランド地方に住む家族が、一年かけてつくったものを荷車に積んで市場に売りに行くところから始まります。

 

「とうさんが かりとった ひつじのけを かあさんが つむいで おったショール」

このような文章から私たちは家族の仕事風景を想像することができます。

娘があんだ手袋や、息子がつくった白樺のほうき、放し飼いのがちょうから集めた羽一袋……。

何一つ無駄なものはない暮らしです。とうさんは遠い遠い市場へ荷車を引いて出かけます。

とうさんは市場で、持ってきたものを売ります。最後には荷車、そして牛にも別れを告げ、売るのです。それらを売ることで得た大切なお金で、家で使う必要なものだけを買います。そして、家族のためにささやかなおみやげを買って家路を急ぎます。

 

冬の冷たい空気、メープルシロップを煮詰める音、リンゴの花の香り……。厳しくとも豊かな自然の中、けっして裕福とはいえないけれど温かい家族の暮らしの様子を、簡潔な文章と、美しく描かれた絵で私たちにしっかりと届けてくれます。

 

ものはあふれているのに、何か足りていないと感じている私たちの胸に、パズルのピースのようにぴったりはまる何かを残してくれるようです。

『しあわせな ふくろう』(文=ホイテーマ、絵=チェレスチーノ・ピヤッチ、訳=おおつかゆうぞう、福音館書店)

 

静かに仲良く暮らすふくろうの夫婦。その様子を見て、近くに住む鳥たちは不思議に思います。鳥たちはいつもおなかいっぱい食べて満たされているはずなのに、ちっとも幸せだと感じていません。仲間同士の喧嘩も耐えず、イライラしている。どうしたらふくろうの夫婦のようにおだやかに暮らせるのだろうか?

 

そんな鳥たちに、ふくろう夫婦は答えます。自分たちは季節の移ろいをただ楽しむことが幸せなのだと。季節の風景を、香りをただ楽しんでいるのだと。

その話を聞いたほかの鳥たちは呆れてばかばかしいと文句を言いながら帰っていきます。残念ながら、鳥たちにはその幸せがわからないのです。

 

自分に置き換えて考えてみます。私は、そのほかの鳥たちの方になっていないだろうか。あれもこれもと欲張っていないだろうか。今ここにある幸せに気がついて暮らしているのだろうかと考えてしまいます。

『パンやの くまさん』(作・絵=フィービ・ウォージントン、作・絵=セルビ・ウォージントン、約=まさきるりこ、福音館書店)

 

このくまさんシリーズには、特に何かを「大切にしなさい」というようなメッセージは書かれていません。でもこの本を読むと、生活のシンプルさを取り戻したくなるのです。パンやのくまさんは朝早く起きて、かまどに火を起こし、パンをこね、そして全てのパンを売り切ったらおしまい。ここにはフードロスはありません。

 

たくさん働いた後はご飯を食べて寝る。ただこれだけのお話の中に、暮らしの基本を見るようで「ああ、そうだよね。それでいいんだった」とホッとしてしまうのです。ほかにも働くくまさんのシリーズがあり、どれも素敵です。子どもが小さいときに一緒に読みたい本ですね。

 

いかがでしょうか。これらの絵本にはエコロジーとか、環境問題とかそんな言葉は一度も出てきません。でも読めば必ず心に響くのではないでしょうか。私たちが探している答えは絵本に隠されているかもしれませんね。

山田 麻子
この記事を書いた人
山田麻子ライター
横浜市青葉区在住。中学生女子、小学生男子の母。料理の仕事歴25年以上。管理栄養士。森ノオトでの初めての取材をきっかけに、絵本、詩、素話に出会い、その世界の虜に。以来、絵本と飲み物やお菓子の相性を考えるのが楽しみに。図書ボランティア活動、おはなし会のお菓子作りなどに心ときめく。現在の夢は「語り手」になること。 ブログ:スマイル*ごはんを始めよう
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