Tea Dropオーナーの鈴木久恵さんがお店に来て最初に飲むのが、ヌワラエリア。若草のような清々しい香り。ほんの少しの渋みが気分をしゃっきりと高めてくれ、気合いを入れたい朝に最適だといいます。
「紅茶は、基本的に同じ茶葉を使うのに、産地の気候や高低差などでこんなにも味が異なる。コーヒーのようなインパクトはないけれど、とても複雑で繊細な香りと味を楽しめる大人の飲み物だと思います」
そんな鈴木さんですが、紅茶との付き合いが始まったのは意外と最近で、3年ほど前にさかのぼります。地元のバドミントン仲間が紅茶の輸入・卸を行っていて、彼女の開催する紅茶教室に通ったことがきっかけでした。
「友人の販売する紅茶を飲んで、これだ! と。不思議と彼女も、“鈴木さんの淹れる紅茶は最初から美味しかった”と言ってくれて。それからすぐにお店づくりにとりかかり、オープンしたのが2年前の12月1日。出会いって不思議ですよね……」
と当時を振り返る鈴木さん。「いつか自分のお店を開きたい」という夢を持ちながら、それは何の店なのかわからないけれども、その日のためにコツコツとお金を貯め続けていたそうです。紅茶との出会いが、夢の扉を開くきっかけになったのです。
友人の紅茶のブランド「Royal Hedgehog(ロイヤル・ヘッジホッグ)」の紅茶を専門に扱うお店としてTea Dropがオープンして2年。地元の主婦層や、60代の男性客が多いとのこと。
「“鈴木さんの顔を見に来たよ”と言って来てくれるお客さんがいる。それに、お店の中でお客さん同士の交流ができてくるのがうれしい」と鈴木さん。お店の片付けを手伝ってくれる常連さん、「話を聞いてほしい」と毎回カウンターに座る男性客……。今となっては「たまり場」あるいは「癒しの空間」として、地域に欠かせない存在です。
メニューの最初のページには、「感謝! 感謝!! 出会いがあったからこそ今がある」という鈴木さんのメッセージ。店名の「Tea Drop」は、お茶の表面に波紋が広がっていくように、出会いが広がっていったらいい、という願いが込められています。
Tea Dropではぜひとも紅茶を飲みたいものですが、鈴木さん手づくりのカレーやサンドイッチ、ケーキも外せません。おふくろの味というよりも、しっかり美味しくて、それ目当てに訪れる人もいるほど。特にカレーはプロ顔負けの味。スパイスをブレンドし、小麦粉を使わず野菜や素材のうまみに、ついつい顔がほころびます。
食材も「なるべく個人店で買う」というのが鈴木さんのこだわり。野菜に関してはすぐ近くに「なかむら青果」という八百屋があり、そこでお店の人と相談しながらその日一番美味しい野菜を手に入れているそうです。
12月22日、冬至の日にはキャンドルナイトを開催するそう。春分、夏至、秋分、冬至の年に4回、Tea Dropは夜も営業します。キャンドルの灯りの中でライブ演奏を楽しみながら、お酒と鈴木さんの手料理に舌鼓を打ちつつ、お客さん同士で交流をする……。「人と人の出会い、交流のきっかけをつくれれば」。
鈴木さんの思いが一滴、紅茶にぽとんと落ちていった。それが波紋になって広がり、地域の人が元気になる。素敵なお店、Tea Dropです。
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* キタハラ’s eye*
Dropには「滴、波紋」のほかに、もう一つ意味があります。それは「寄り道」。特別な目的を持ってそこに足を運ぶのではなく、散歩の途中にふらりと気軽に立ち寄る。ちょっと誰かと話したいという時に、鈴木さんの顔を見に行くだけでもいい。何ともやさしい、まるで「お母さん」のような雰囲気のあるお店です。Tea Dropがこの街にできてよかった!
紅茶専門店 Tea Drop(ティー・ドロップ)
住所:神奈川県横浜市青葉区藤が丘1-24-7
TEL:090-7180-0023
OPEN:10:00〜17:00
定休:日曜
駐車場:店舗裏に2台
アクセス:東京田園都市線「藤が丘」駅より徒歩6分
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