私たち横浜市民の水源・道志村を訪ねて
「お山に雨がふりました。あとからあとから降ってきて、ちょろちょろ小川ができました♪」……2歳半の娘と歌いながら散歩したのは、山梨県は道志村、私たちの水源の森です。8月22日、青葉区の「恊働による地域力アップ事業」とLLP青葉あおばまちづくり活性化協議会「あおばフレンズ」が共催する「森のつみ木ひろば 道志村間伐体験バスツアー」に参加してきました。

この日、朝7時15分に市が尾駅に集合した時は強い雨。バスに乗っている約3時間弱のあいだ、水源の森の散歩や間伐体験ができるのだろうかと心配になるほどの雨が降り続いていました。ところが、道志村に到着すると雨がぴたりと止み、山道を歩くにはもってこいのほどよい涼しさに、「晴れ女は誰?」とご機嫌で散歩を始めました。

山道を歩いて10分ほど、美しいせせらぎを望む高台で、横浜市水道局の水源担当の方が道志村の水源についてのレクチャーをしてくださいました。横浜市の水源は道志川を含めて5系統あり、そのうち道志川系統は横浜市の水道水の8.8%を担当しています。道志村の面積の約3分の1は横浜市の市有林で、森を手入れすることで水を貯え、浄化し、洪水を防ぐという森林の公益的機能を高めているそうです。

 

 

ここで簡単な実験。木の苗を植えたポットと、土砂だけのポットを並べ、そこにじょうろで水をかけます。すると、土砂だけのポットは泥水がすごい勢いで流れ出てくるのに対し、木の苗が植えたポットはゆっくりと少量、きれいな水が出てきます。木は山に根を張り、土壌に染み込んだ雨水を根が吸い上げ、木の葉や幹が蓄えるので、森が洪水を防ぐとともに、水を浄化する機能を有していることが一目瞭然でした。まさに「緑のダム」ですね。

 

 

 

森の中を流れる川は、まさに水が生まれる場所。澄んでいて冷たい水にさわりながら感じたのは、「いま私の目の前にあるのは、小さな娘たちのように無垢な水」ということです。水にふれながらキャキャッと歓声をあげる娘を見ながら、この水をきれいなままにできるのも、濁らせるのも、私たち大人であるということを、強く自覚しました。

 

 

お昼ごはんを食べたあとは待ちに待った間伐体験……のはずでしたが、雨はやんだものの危険を伴う作業のため、急きょ予定を変更して、道志村の小学校の久保分校跡地に建てられた「みなもと体験館」でバウムクーヘンづくりとピザづくりにチャレンジしました。

 

 

卵と小麦粉、砂糖、ふくらし粉を混ぜた後、大きな竹筒に生地をかけて、炭の上でじっくり焼いて、焦げ目がついたらまた生地をかける……これを延々繰り返すことでバウムクーヘンができます。ツアーに参加した小学生が顔を真っ赤にしながら炭の上で竹筒を回してくれました。

 

もう一つのお楽しみはピザづくり。小麦粉と水を混ぜた生地をこね、のばし、刻んだ玉ねぎ、ピーマン、トマトソース、サラミ、チーズをのっけて、ドラム缶でできた釜の中で焼き上げます。こちらは大人たちが夢中になって、トッピングを楽しんでいました。

 

 

できあがったバウムクーヘンを切ると、木の切り株の年輪みたいで、この日できなかった間伐体験代わりにもなったかな? とびっきり甘くて、焦げ目がちょっとほろ苦くて、とても美味しかった!

 

 

最後の1時間は、同じ敷地内の工作室で木工体験。道志村の間伐材からできた木っ端を使い、みんな思い思いの作品づくりを楽しみました。私はどんぐりに穴をあけてネジを回し、キーホルダーをつくりました。顔を描けば「もりたろう」に。一緒に参加した森ノオトの中島美穂マネージャーは、繭(蚕の殻)で可愛らしい動物人形をつくっていました。糸のこを使ってパズルをつくったり、木の板を張り合わせてペン立てづくりに挑戦した人も。

「あおばフレンズ」を主宰する山崎誠さん(衆議院議員)は、道志村の間伐材を使った1万個のつみ木で、子どもたちがダイナミックに遊ぶ「森のつみ木広場」を定期的に開催しています。広い会場で1万個以上のつみ木を広げ、子どもたちはつみ木の中に寝転がって木の温もりを感じたり、みんなで大きな作品をつくって最後にはつみ木を壊すそうです。「1万個のつみ木でつくった作品は大きいので持って帰れません。壊すことで残る心の風景があるはずです。つみ木を通じて、横浜の水源のこと、森のこと、地域で生まれる木工などの地場産業のことを伝えていきたい」と話してくれました。

森は、水を通じて私たちの暮らしとつながっている。……それを実感するには、やはり森へ足を運ぶことがいちばんですね。でも、じつは青葉区周辺でも森のこと、水のことを伝える活動をしている人たちはたくさんいます。森ノオトの湊光代さんもその一人。近いうちに間伐材を使ったワークショップの紹介がある予定です。こちらもお楽しみに!

Information

あおばフレンズによる「森のつみ木広場」が2011年9月19日に開催されます!

日時:2011年9月19日(月・祝) 10:00~15:30

場所:アートフォーラムあざみ野

問い合わせ:あおばフレンズ

http://makoto5050.typepad.jp/tsumiki2009/

TEL 045-577-0500(山崎誠事務所内)

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この記事を書いた人
北原まどか理事長/ローカルメディアデザイン事業部マネージャー/ライター
幼少期より取材や人をつなげるのが好きという根っからの編集者。ローカルニュース記者、環境ライターを経て2009年11月に森ノオトを創刊、3.11を機に持続可能なエネルギー社会をつくることに目覚め、エコで社会を変えるために2013年、NPO法人森ノオトを設立、理事長に。山形出身、2女の母。
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