真っ赤な箱に、6色のクレヨンと、赤いノート、クリアファイルが入ったこの絵本。なんだかおもちゃ箱のようで、見ていてとてもワクワクします。3歳になって間もないムスメは、「たまちゃんのえほん!」と、喜び勇んでこの箱に飛びつきました。
「あ」「い」「う」「え」「お」……
大きなひらがなの五十音すべてに、クレヨンで下書きされた絵がついています。ひらがなをなぞって字の書き方を覚え、ひらがなに連動する絵で字の音を覚えます。
お絵描きノートの上にクリアシートをのせてキットパスをすべらせると、鮮やかな色が描かれます。どんな色を使ってもOK、色を重ねてもOK。黒板消しのように、何度でも、書いては消して、書いては消して、を繰り返すことができます。
ムスメはさっそく、自分の名前の3文字を見つけては、書く練習を始めました。3歳にもなると自分の名前の字を読めるようになるので、ページをパラパラとめくっては、「あ、たまちゃんの“た”だ!」「あ、たまちゃんの“ま”だ!」と発見して、親に報告します。最初は、字を書くよりも、読む方が楽しいみたい。
お父さんにうながされて、クレヨンを握って、自分の名前の文字をなぞります。線がよれたり、はみ出したりするのはご愛嬌。まずは書く喜びを味わっています。
そして、「たいこ」と「たんばりん」の絵をなぞる……というよりは、ぬりえを始めます。ムスメはまだ上手に絵が描けないので、だんだん「お父さん、かいて」「お母さん、かいて。このせんは黒でかいて」などとリクエストします。
ムスメはいまのところ、自分の名前の文字に興味が集中しがちですが、たとえば自分が好きな食べ物を発見すると、「ソフトクリームの“そ”だね」などと言います。この本には、絵から字を発見する楽しさがあります。
キットパスがおもしろいのは、ガラス面に絵や字を描けること。家の窓ガラスに名前のお手本を書いたら、さっそく、練習を始めました。
時々ヨレヨレの字もありますが、なかなか上手ではありませんか!(親バカ)
きっと彼女にとっては、窓ガラスの上で、自由に、おおらかに、クレヨンで線を引っ張ることが、何よりも楽しいはず。絵を描く時に机の上に新聞紙を引いたり、机を汚さないように目を光らせる心配がないのも、親的には超ラクチンです。
本来、子どもは自由に、のびのびと、広いキャンバスで絵を描く生き物なんだなあ、と思います。家を汚されたら困るなあ、なんて小さな気持ちの自分を反省(苦笑)。
この本『キットパスで何度でもかける ひらがな おえかき』の著者・STUDIO pippiの重岡信子さんは、以前ベビー雑誌の仕事をした時に取材で出会ったおもちゃ作家さんです。木や布など自然素材のおもちゃを、とてもきれいな色で表現し、幾通りもの遊び方をおもちゃが教えてくれる、とても可愛くオシャレなおもちゃのとりこになりました。いまでもムスメは重岡さんがつくったおもちゃが大好きです。
おもちゃも、絵本も、子どもが何かに気づいたり、自分で工夫や発見をするきっかけを与えてくれます。そして、それを見守る大人も、子どもの発想力や工夫する力に、また一歩教わります。
この絵本自体、とても軽くて持ち運びしやすいので、新幹線での旅のお伴にぴったり。絵や字を描いたり、字を覚えたりして、多様な展開ができます。おすすめですよ!
STUDIO pippi
http://studio-pippi.com/
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