小池一美の農と食をつなぐ熱血報告Vol.2 都筑区池辺町 矢部規代さん
“農業都市横浜”と聞いて「そうだよねっ」とうなずく人はどれほどいるでしょうか? 森ノオト読者ならご存知の方も多いと思いますが、実は横浜の農業力はすごい! 今回は横浜の農業をよりいっそう身近に感じていただきましょう。都筑区は池辺町の女性農家・矢部規代さんを訪ねました。

親指くらいの大きさのミニズッキーニ

 

横浜の農業の特徴は「農地と住宅地が混在している」こと。たしかに住宅地を歩いていると野菜の直売所に遭遇することがありますが、それもそのはず。全国的にも珍しく約1,000カ所もあるそうです。

 

横浜市内の小松菜・カリフラワー・キャベツの収穫量は全国で10位内に入っていますし、さらに神奈川県内での農業産出額は毎年三浦市と1位、2位を争うほど。

 

ね、なかなかやるでしょ。横浜の農家さん!

 

今回は私たちの日々の食生活を支えてくれている身近な農家さんの代表として、都筑区池辺町で代々農業をされている矢部規代さんを取材しました。

 

池辺町の住宅街に点在する矢部さんの畑OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

 

矢部さんは減農薬栽培をしている女性専業農家さんです。いくら横浜の農業が盛んといえども、女性で、しかも高校生と大学生の息子さんを育てながら(!)専業農家をされている方はなかなかいないと思います。

 

矢部さんと小池の出会いは2年前。横浜市環境創造局農業振興課主催の「はまふぅどコンシェルジュ」の受講がきっかけでした。この講座は横浜市が地産地消の推進と、農と食卓をつなげるために毎年開講しいています(今年度の募集は終了)。

 

横浜市ではまた、40年以上も前から農業専用地区制度を設け、農業の確立や環境を守るために独自の取り組みをしています。横浜市が農業都市として成長しているのもこうした取り組みが背景にあるのです。

 

取材中話題に上るのは二人のお子さんのことばかり。母親としての深い愛情を感じる

 

 

2年ぶりに再会した矢部さんはモンペにかっぽうぎ姿で登場。その姿がとてもお似合いで、いかにも農家さん!という感じ。それもそのはずこの道20年の大ベテランなのです。

 

「都市型農業の特徴」である住宅地にある畑を案内頂くと、矢部さんのお母さまがかぼちゃ畑で草取りをされていました。4カ所計40アールの畑を矢部さんとお母さまの二人三脚で守りながら「都市型農業の特徴」である“少量多品目”の野菜を栽培しています。

 

ジャガイモだけでも5種類は植えている。赤いジャガイモ・ノーザンルビーの花

 

そんな女性2人の農業は「草と虫との闘いなんですよー」と語ってくれました。

 

「ナナホシてんとう虫はアブラムシを食べてくれるけれど、ニジュウヤホシてんとう虫はナス科の野菜を食べてしまうし、ウリハムシはきゅうりやウリ科の葉っぱが好物。いまはカタツムリが発生して困っています。カタツムリは何でもたべちゃうの! それからヨトウムシ、やカメムシやナメクジも害虫です」

 

できれば撒きたくない消毒液ですが、農業で生活している矢部さんは様子を見ながら使用しています。実は薬を撒くのがストレスだそうです。自分にもっとも影響があると思うし、労力もかかるからです。将来的には無農薬栽培を目指しています。

 

「私の野菜を買ってくださる方がいる。それが励みになっている」(矢部さん)

 

そんな矢部さんの野菜は、主に市場やみなとみらいのレストランなどに出荷されています。

 

トウガラシの花。白くて可憐

 

いまは時間に余裕がないけれどいつか直売所で野菜を売りたいそうです。

 

「野菜を買ってくれる人がいたことが農業を続けられたこと」と語る矢部さんが直接販売する野菜を待っているお客さんはたくさんいることでしょう。

 

小池もたのしみにしています!

 

hitomi’s point

「将来は沖縄でパッションフルーツやお花を育てたい」と笑顔で語ってくれた矢部さん。これまでの交流や取材を通じて感じていた、大らかで優しい人柄にピッタリです。取材中、何度も「腰が痛い」と話していた矢部さん。農業は体力勝負、これからも矢部さんの野菜を待っている人のために、体を大切にしながら野菜づくりをして欲しいと思います。

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この記事を書いた人
小池一美ライター
横浜市青葉区出身。森ノオトライター、走る!ロコキッチン「コマデリ」、「はまふぅどコンシェルジュ」、焼菓子販売「トミーヤミー」で、地域と関わりながら生活している。
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