明石さんの工房は、「アート&クラフトの寺家を訪ねる旅の工房のすぐお隣! 「寺家ふるさと村入口」の交差点からJIKE STUDIOへ向かう角を曲がってすぐ右手の、道から少し奥まったところにあります。
愛知県立芸術大学で陶芸を学ばれた明石さんは、卒業後、2年間のデザイン事務所での勤務を経て、2004年に寺家に工房を構えました。ちょうど物件を探していた際、大学の後輩であった澤岡さんから、「工房の隣が空いているのでどうですか」と、誘いを受けたことがきっかけだったそう。
「寺家にこだわって工房を構えた訳ではないけれど、結果としてここでよかったです」と明石さん。というのも、この自然豊かな寺家の環境から作品のヒントを得ることも多いからだとか。
「自然の音、風、時間の流れなど、自然のものをヒントに創作しています。有機的な形を自分のフィルターを通してみると、直線が多かったりするんです」
自然のものが明石さんの手にかかると、こんな形になるんだ! と驚きでした。なんだかマジックのようです! でも、自然のものと明石さんの作品……確かに共通しているのは、「有機的な美しさ」を感じるところです。
白磁・青白磁の作品を作り続けるのも、きっと何か明石さんの深いこだわりがあるのでは?!と、ここぞとばかりの質問をと思い尋ねた新人レポーターですが……「こだわっているのではなく、好きなことを続けてきたらそうなったんです」と、気合を入れたこちらが拍子抜けするほどあっさりと話す明石さん。
陶芸を始めたきっかけも、美術が好きだったため美大を受験し、合格した愛知県立芸術大学では工芸科は陶芸だけだったから……だそう(笑)。
明石さんにとっては、
陶芸をはじめたことも、
白磁・青白磁の作品を創作し続けることも、
寺家に工房を構えたことも、
無理がなく、常に自然体で、流れに身を任せてきた……そんな印象を受けます。
無理がないということ、なんだかとっても大事な気がしました。だって、自然界には、無理があるものは存在しない……。
でも、そんな明石さんも昔は無理をしていた時期もあったそう。
「昔、自分で絵付けをしていました。絵付けをするために、植物を詳しく観察して、描かなければいけなくて……。でも、面白くなかった。自分にとって、植物は描くものではなく観るものだと気づいて、無理して絵付けをすることを止めました」
絵付けが必要な時は、昨年、結婚されパートナーであり、陶芸家でもある黒部駒子さんが担当されることもあるそうです。
終始、気さくに自然体でお話してくださった明石さん。そんな明石さんが力強くおっしゃっていたのが「工芸(KOUGEI)を世界へ伝えたい!)という想いでした。
「“工芸”という言葉を英語に訳すと“クラフト”になってしまうけれど、日本でいう“工芸”と“クラフト”は全く違うものだと思うんです! だから、“工芸”=“クラフト”ではなく、“工芸”=“KOUGEI”としてそのまま世界へ伝えていきたいんです!」と力強く話す明石さん。
確かに“クラフト”というと、素人でも楽しむことのできる手作り品といったようなイメージもあります。でも、“工芸”とは職人さんの緻密な技のもとに作られる品物。
日本の工芸とは、地域に根ざし、四季に合わせて素材やモチーフを選ぶ、日本特有の文化だということも教えていただきました。
「いつか、海外でKOUGEI展をやってみたい!」という明石さんです。
寺家から世界へ!!
明石拓馬さん、今後も楽しみな陶芸家さんです。
ぜひ、展示会等で明石さんの作品に触れ、その線や形の美しさ・自然を感じ、工芸(KOUGEI)というものにもふれてみてください。私たちが身近に感じ見ている自然とはまた違う、新しい世界が見えるかもしれません!
■明石拓馬さんのホームページ
http://takuma-akashi.com
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