子どもたちの天国!川和保育園「自分で考え 自分で遊べ 子どもたち」
こんにちは、ピリカです。私はフリーランスで働いているので、娘を預ける保育園をどこにするかは大きな問題。家から通える距離で、子どもが自分らしく過ごせてのびのび遊べる場所を探していたところ、理想の保育園を見つけました。都筑区川和町にある川和保育園は1942年に創立された歴史ある保育園。保育方針も独創的で、全国的に注目を集めています。

園の門を抜けはじめに目に飛び込んできたのは、細いけれどもキラキラ、そしてイキイキと流れる小川。

地下水を汲み上げているという小川の水を利用した水車と、落ちてくる水を受けた水瓶の中には大きな金魚がいました。この細い道の先にはいったい何があるのだろう……。聞こえてくる子どもたちの声にワクワクしながら進むと、そこにはたくさんの木々があふれ、まるでトムソーヤの冒険のに出てくるような世界が広がっていました。そして、その中で生き生きと夢中であそぶ子どもたちの姿がありました。

 

園庭を見まわすと、自転車を乗り回す子、コマ回しに夢中の子、木の下で絵本を読む子、落ち葉広いを楽しむ子、竹馬をしている子、木登りをしている子、電車のおもちゃで遊ぶ子、ブランコにしがみついたような格好でダイナミックに遊ぶ子……。それぞれが思い思いに、自分のペースで遊んでいました。

 

いきおいよくゴーカートや自転車で走り回る子どもたち

 

夏はプール、時にはサッカー場。そして今日は電車コーナー!

 

つくりたい時にいつでもトンカチや釘を使って本格的に作業ができるアトリエコーナー

 

あたまに可愛らしい羽の飾りをつけ、裸足で園内の落ち葉を集める女の子。この後大好きなお友達にプレゼントする姿も

 

サンデッキでは本を読んだり、食事をしたり、その子のペースで過ごしている

 

園内にはニワトリ、ヤギ、犬、ウサギ、アヒル、鳥、魚、亀など、動物たちも共存している

 

川和保育園では園庭を「第二の保育室」と位置づけており、園庭での自由遊びが保育の基本となっています。子どもたちそれぞれが、“今日はこれで遊びたい”と思うことを自ら選択し、とことん遊び尽くせる環境を大切にしているといいます。

園の遊具には簡単に上り下りができるハシゴや階段がなく、手でよじ登らないといけない造りになっているものもたくさんありました。これは、子どもにケガをさせないよう子どもを危険から遠ざけるのではなく、むしろ、子どもが自分の力に応じた小さな危険を経験することで、自らを守る感覚や力を身につけ、それが大きな事故やケガを防ぐ力につながっていくと考えられているからだそうです。

難易度の低いところから徐々にチャレンジしていって、相応に身体能力がついてきた子たちだけが頂上まで登れるという仕組みになっているといいます。

遊具を登りきることができた子に憧れて、できない子たちも「いつか自分も登ろう!」と思って挑戦していくといいます。

 

卒業生の父親たちがつくったという、3階建てのハウス型遊具。中では靴を脱いでゆっくり遊ぶことができるそう

 

大きな木の船「空飛ぶ船」の前にある長いブランコにしがみついて遊ぶ子

 

大きな滑り台にロッククライミングのあるスモーランド

 

園庭には、よちよち歩きの小さな子から、大きな子までが一緒になって自由に遊んでいました。自転車やゴーカートが勢いよく走るなかで、小さな子がふらふらと出てくる場面もしばしば。危険だからといって小さな子と大きな子を分けて遊ばせる保育園が多いなかで、川和保育園の園庭では、あえて小さい子から大きな子が一緒に、自由に好きなだけ遊べるように、縦割り保育を実践しています。

それは、大きな子が小さな子に対する優しさや想いやりを自然と持てることにつながるそうです。

もちろん、小さな子がぶつかったりケガをしないように、例えば自転車やゴーカートなどのタイヤのある乗り物は、「人にぶつけないこと」「使った後は片付けること」「逆走禁止で白いラインの外側を走ること」などルールを定め、それを守ると宣言させて“運転免許証”を発行しているそうです。

他にも、「誰かがブランコをしている時は危険だからこれ以上は近づかない」「コマの輪に人がいる時は投げない」など、園独自の様々なルールがあるといいます。

 

こま遊びの最中に小さな子が円の中に入ってきたが、大きな子がやさしく「あぶないよ」と声をかけて外へ連れていく場面も

 

川和保育園では、危険なものをただ排除するのではなく、「こうしたら危険、だから、こうする」という遊びのルールを教え、あとは基本的には見守るという姿勢を大切にしているそうです。確かに先生たちは、子どもと一緒に遊ぶというよりも立って見守る姿に徹しています。表情はにこやかながら、目はキラリと光っているのが印象的でした。

子どもたちが自らやりたいことを見い出し、選択していく。そして様々なことに挑戦していく。うまくできるようになるまでにはその子なりの色々な葛藤があります。でも、「できない」ことがいつしか「できる」ようになり、小さな自信を少しずつ積み重ねていくことで、大きな自信へとつながります。「それを見いだせる環境がこの園庭には詰まっている」と話すのは、寺田信太郎園長です。

 

みんなちゃんとルールに従って走りますよ。だって、免許取り消しになっちゃいますから(笑)」と、笑顔で話す寺田園長

 

園長をお手本に男の子たちはコマ回しの練習に没頭

 

園長の前で連続5回コマが回せた子には、名前入りの「MYコマ」が贈られる

 

ただし、常に年齢の異なる子どもたちを混合させるのがいいというわけではなく、川和保育園では、乳児(0、1、2歳児)が先にお昼を食べ、その後幼児(3、4、5歳児)が食事している間に乳児が園庭を独占する時間をつくって、それぞれが思い切り遊べる時間を設けているそうです。

給食の食材には生活クラブ生協のものが中心で、食の安全に対する意識もとても高いのも特徴。この日も保育室では先生が子どもたちに「お米」についての話をしていたり、他のクラスでは調理実習もしていました。

 

サツマイモを使った調理実習。子どもたちも包丁をつかって調理している

 

驚いたのは、園庭だけではなく、園舎の中もまた素敵なこだわりの空間が広がっていたことです。

 

最年長クラスの名前は“エルマーとりゅう”。部屋にある読書コーナー

 

絵本は福音館書店から発行されているものを中心としたセレクトだったり、おもちゃも、自然の木を活かした暖かみのあるものが揃っていました。玄関や廊下、棚の上や壁などのちょっとしたところにも、季節の落ち葉や木の実や花が飾られているなど、自然からできたものを生かし、自然そのものを大切に思う心が伝わってきます。

 

棚には夏の園外活動でよく訪れるという、三浦半島の三戸浜の海岸で拾ってきた貝殻たちが並ぶ

 

こんなにも充実した園庭と園舎。しかし、川和保育園では、子どもたちを園バスに乗せ園外にも頻繁に連れ出すといいます。「第二の園庭」があちこちにあり、海へ、山へ、森へ、田んぼへ、そして、スケート、スキー、サイクリング……年長児にもなると、週1回のペースで出かけていくこともあるといいます。

まさに子どもにとってはパラダイス! な川和保育園ですが、どうしてこのようにユニークな活動を維持していけるのでしょうか?

川和保育園は認可保育園ですが、区役所に申請を出す前に、園独自の入園説明会を開き、面接もしています。これは、「川和保育園を理解して、保育内容に納得できるか」「保育理念や保育内容について家庭と方針が合うか」ということを、お互いに知るためだといいます。

この素晴らしい川和保育園の園庭を維持していくには、年間約800万円という借地代がかかり、その借地代は、父母の会で大変な時間と労力を費やして生み出すバザーの収益や、寄付によって支えられているそうです。親たちも園の運営や、より良い環境を維持するために積極的にサポートしているのです。お金を払ってただ子どもを預けるのではなく、父母同士が仲間となり、人間関係を育みながら、子どもたちと一緒に育ち合っていく、それが川和保育園なのです。

そんな、父母たちの渾身のバザーが今週末・11月3日(土)に開かれるそうです。

バザーには、食材にこだわった手づくりのお菓子や料理、喫茶コーナー、ハンドメイドの雑貨コーナーや、寄贈品コーナー、その他にも小さな子どもでも楽しめるようななコーナーが設けられ、毎年、入場制限が出るほどの大盛況になるそう!

バザーに参加すると、川和保育園のスタッフの想いや保護者の熱意、素晴らしい空間、安心・安全で創造性あふれる食べ物、そして在園児だけでなく卒園児も含めた一体感を感じることができるそうです。

ぜひ一度、この川和保育園のこだわり抜かれた空間に足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

※バザーの日程は2012年の情報です。最新情報は保育園にご確認ください。

 
 

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Information

川和保育園

住所:〒224-0057 横浜市都筑区川和町665

TEL: 045-932-5933

<交通機関>

●市営地下鉄グリーンライン「川和町駅」より徒歩7分

●バス「川和団地」下車 徒歩1分

《市が尾駅より》東急43系統 中山駅北口行き、東急03系統 新横浜行き

《中山駅北口より》東急43系統 桐蔭学園行き、市が尾駅行き、寺家町(循環)

《新横浜駅より》東急03系統 市が尾駅行き

 

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この記事を書いた人
高山えりかライター卒業生/デザイナー
森ノオトの花形デザイナーでおしゃれ番長。キャッチーなデザイン、キュートなイラストは見る人の心を鷲掴みに。写真の腕前も相当なもので、Instagramで発信する愛犬とのユーモラスな生活にファンも多い。料理、お酒、キャンプ、インテリア、ハワイが大好き。北海道出身で愛称は「ピリカ」。
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