兄と弟の絵本棚 vol.13 『ゆきみち』
新しい1年がスタートしました。今年もよろしくお願いします。冬休みの家族の思い出はできましたか? 実は、私はキタハラ編集長とは同郷の山形県出身。中学・高校時代を同じフィールドで過ごしています。毎年年末年始は帰省し、兄は特に雪遊びを楽しみにしているのですが、今年は弟くんも「雪」の世界に仲間入り。その雪を見て思い出したのが、今月の絵本『ゆきみち」です。

 

『ゆきみち」を初めて読んだ時に、私が過ごした山形県の雪が目の前に降ってくるような気がしました。

 

雪が降ると、もちろん寒いのですが。

風情があってそれはそれは素敵な景色に出会うこともたくさん。

雪化粧とはよく言ったもので、雪の積もった枝の美しさ、白くなった景色のまばゆさ、朝の光と夜の静けさ。

いくつもの場面があっという間に記憶の中からよみがえります。

 

山形では、真っ白な雪を見、目を丸くしていた弟くんの表情にとても感動しました。

「ユキ!」

「ヤマ!」

誰が教えたわけでもないのに、すぐに目の前の雪と、「ゆき」ということばを結びつけていた場面に遭遇できたことも、私にとっては忘れられない経験になりました。

生きたことばを学んだ瞬間でした。

 

 

『ゆきみち」は、お兄ちゃんがお父さんと一緒に、生まれた弟を見に「ゆきみち」を急ぐお話。

途中、雪の強さに、お兄ちゃんは何度もくじけそうになります。

ですが、そのたびに、その場所での思い出とともに元気をしぼり出し、足を踏み出します。

 

いまは吹雪で辺り一面真っ白のその場所も、春は緑、夏は日差しがそそいでいたところ。自然の豊かさと厳しさも感じます。

本当に雪に負けそうになるくらいの吹雪に襲われるところがあるのですが……。

目の前に迫る迫力のある雪のシーンの絵をみて、私は山で経験したスキー場での山形の雪を思い出します。

作者の梅田さんは絶対に、雪を知っている雪国の方!!!と思いました(やっぱり、梅田佳子さんは福島県のご出身!)。

雪の強さ、雪のやさしさ。

そして雪の中帰路につき、ほっとする家の中の温かさまで伝わるような絵本です。

 

以前この絵本を読んだときは、お兄ちゃんと。

今回は、弟が生まれたお兄ちゃんの話、というところに改めて感動した母でした。我が家もおんなじ兄弟です。

 

1月14日、成人式の日は神奈川県でも雪が舞い踊りました。

 

その雪を見て、

「ワーコンナニユキフッテルネェー」

何分も降りしきる雪に見とれていた弟くんでした。

2013年もいろいろな絵本を楽しみたいと思います。

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この記事を書いた人
東海林更央莉ライター卒業生
山形出身で、元日本語教師、3児の母。森ノオトでは2011年より兄弟の成長と重ねた絵本の連載を続け、妹が増えた今は女子らしい視点が加わり多くの母親の心をつかんでいる。家族の趣味は旅行、食べ歩き、自然のなかで過ごすこと。編集長の中学校時代の同級生でもある。
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