2013年4月15日。青葉区大場町に、古い平屋を全面リフォームした子育て・介護支援施設「大場町みんなのいえ」がオープンしました。外観にも内装にもたっぷりとスギ材が使われた、見るからにほっこり落ち着く「おうち」です。
「大場町みんなのいえ」の事業の柱は大きく3つ。ひとつは、0歳から2歳までの子どもを預かる家庭的保育事業、もうひとつは、まるで自分の家にいるかのようなアットホームさが魅力のデイサービス事業。どちらも、利用者とていねいに向き合える、6人定員のこぢんまりした経営です。
そして最後の柱が、ともすると閉鎖的になりがちな上の2つの事業を有機的につなぐ「サロン」。ヨガや折り紙教室、お話会などの小規模なイベントやワークショップを不定期開催して、赤ちゃんをつれたお母さんからお年寄り、そして地域の若者たちまで、誰もが気軽に参加できる開かれたコミュニティーの場を目指します。
4月1日から開所している家庭的保育室には、取材にお邪魔した「大場町みんなのいえ」オープン直前の時点で既に2名の利用登録があり、子どもたちがのびやかに過ごしていました。6月1日の開所を目指して横浜市に申請中のデイサービスにも、内覧のタイミングで、利用を希望するご本人やご家族の方がたくさん訪れている状態。地域の方々の感心や期待の高さがうかがえます。
みんながゆったりと時を過ごす大場町みんなのいえでは、今後、サロンで提供するランチをお目当てに足を運ぶ人も増えそうです。というのも、保育室やデイサービスはもちろんのこと、一般の方でも、おいしい日替わり家庭料理をいただくことができるのです。
この日の献立は、白身魚のさくら蒸し、はすのきんぴら、ほうれん草のおひたし、漬け物、ごはん、お味噌汁、果物。とてもていねいにつくられていることを感じる、やさしい味のランチです。
食材は、野菜類は地場のもの、調味料や肉類、魚介類は生活クラブから購入しているそう。なかでも特に保育園で提供する食事には最新の注意を払っているとのことで、定期的に世田谷区の放射線測定器にかけ、徹底して安全性を確認したものを利用しています。
食事とは別にオーダーできる、手づくりケーキと飲み物のセットも用意されているので、お友達との楽しい午後のひとときを、ここで過ごさせてもらうのもよいかもしれませんね。
「大場町みんなのいえ」を開設・運営する、NPO法人ピッピ・親子サポートネット理事長の友澤ゆみ子さんは、大場町みんなのいえ設立のきっかけを次のように語ります。
「このお宅は、渡瀬さんというご夫婦が長年暮らしていたのですが、亡くなられたあと、ご親族の方が地域に役立ててほしいと貸してくださることになったものです。ありがたいお話です」
ピッピ・親子サポートネットではこれまで、地元青葉区に、横浜市認可保育園「ピッピ保育園」、横浜市障がい児居場所づくり事業「となりのいえ」、横浜市家庭的保育事業「りとる☆ピッピ」、介護保険事業所「ヘルパーステーションみんなのいえ」など6つの施設を設立・運営してきましたが、今回の「大場町みんなのいえ」のように、善意による支援の申し出も少なくないといいます。
それはつまり、地域の方々が心から賛同し、信頼を寄せているからこそ。ピッピ・親子サポートネットにかかわるスタッフの方々もきっと、そんな期待と事業の意義を実感しながら、今日もまた、訪れる人をやさしく迎え入れているのかもしれません。
「自分の子育てを振り返ると、近所で助け合うことに楽しさを感じていたように思います。その後、いまの横浜北部生活クラブ生協組合員になり、地域で活動するという根っこの部分を経験しました。いまの社会は当時とはずいぶん変わってきています。子育て世代や高齢者世代の孤立、障がいをもつ子どもたちの居場所がないなど、地域の課題も増えています。こうした課題を少しずつでも改善しながら、ボランタリーではない、地域の子育て経験層の雇用も創出していければと思っています」(友澤さん)
あかるい光に包まれた、「大場町みんなのいえ」。子どもたちの笑い声とおばあちゃん、おじいちゃんのやさしい笑顔があふれる、地域の大切な拠点に成長していく姿が、いまから楽しみです。
**Information**
大場町みんなのいえ<わたせハウス>
住所: 横浜市青葉区大場町174-280
TEL: 045-777-7225
駐車場: なし
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