私はこの季節になると、村下孝蔵の『初恋』のフレーズを想い起こします。
♪五月雨は緑色 …… 好きだよと言えずに初恋は ふりこ細工のこころ 放課後の校庭を 走る君がいた ……♪ (作詞・作曲・唄:村下孝蔵)
さらにそこからその『初恋』をカバーした三田寛子が、グランドで素振りする中日ドラゴンズの田尾安志にシャンプーを渡す、昭和50年代のCMを思い出しながら、数分間、遠い目をして物思いに耽ったりして過ごしています。
さて、そんな二十四節気の小満(5月20日〜6月4日頃)〜芒種(6月5日〜6月19日頃)の時節、このあたりの農家さんでは、農作業に追われる忙しい季節となります。
いつもはおしゃべり好きな農家さんでも、この時期はあまり長話をせず、心なしか会話も早口になります。
5月の遅霜(遅霜が降りると植えたばかりの苗がダメになってしまう為)を気にしながら夏果菜の苗の定植を行い、田植えをし、絹サヤ、スナップエンドウ、グリーンピースなどのエンドウ類や、そら豆の収穫もあります。
豆類は絹サヤ、スナップ、グリーンピース、そら豆の順に、莢(さや)の小さい(薄い)ものから順に収穫のタイミングが訪れ、どれも2週間ほどで収穫を終える「旬」の短い作物であるため、筍と同様に旬を強く感じる食材です。
地元で取れたての新鮮なそら豆は、スーパーのものとは違いあの独特な鼻につく香りがなく、莢の内側についている白い綿にも甘みがあり、スプーンでこそいで美味しく食べられます。
莢ごとオーブンに入れて焼くと、莢の水分だけで程よく焼き上がり、塩とオーリブオイルをかけるだけで、空豆の風味をダイレクトかつシンプルに味わえます。
そして、梅雨といえばその名の通り梅の時期です。
この時期、各直売所ではたくさんの梅が販売されております。
花を愛でたり、梅干し、梅酒、梅ジャム、梅肉エキス、漢方など、古代より中国や日本人の生活には、なくてはならない食材とされてきた梅。
梅の効能は、疲労回復、殺菌・解毒、下痢、便秘、貧血、糖尿、二日酔い、ストレス、火傷、肩こり、口臭、歯痛、とげ抜き等にまで効果があると言われるほど多岐にわたります。
梅は柑橘類と同様に酸味とペクチン(砂糖と酸味が混ざるとゼリー化する性質がある)が豊富なので、ジャムに最適な果実です。私も毎日梅ジャムを食しておりますが、これからの蒸し暑い季節に向け、梅の酸が身体も気分も整えてくれます。
とてもカンタンにつくれる梅ジャムと砂糖漬けのレシピをお届けします。皆さんもお試しください!
【梅ジャム】
<材料>
梅 1kg
砂糖 2kg
<つくりかた>
(1) 梅を水洗いし、5〜10時間程度水に浸してアク抜きをする。
※青い梅はアクが強いので5時間以上の浸水が必要だが、熟した黄色いものは2〜3時間でも大丈夫。
(私のように渋みや酸味に抵抗の少ない人は、アク抜きの時間を少なめにしても大丈夫だと思いますが、そうでない方はアク抜きをしっかりしないと、苦渋や辛酸を舐めるジャムになります)
(2) 鍋で梅を茹で、やわらかくなったらザルにあげ、ヘタや種を取り除き細かく刻む。
(3) 刻んだ梅を鍋に入れ火にかけ、砂糖を1/3ずつ入れて、よく混ざったら残りの砂糖も1/3ずつ2回に分けて加え混ぜる。果肉が透明になり、とろみがついたら出来上がり。
(4) 保存容器に入れて冷蔵保存します。
【梅の砂糖漬け】
<材料>
梅 200g
砂糖 約1kg
(1) 梅をよく洗い、水に数時間浸してアク抜きする。
(2) 保存ビンに梅と砂糖を交互に入れて、時々かき混ぜながら数日間冷暗所で保管し、梅から出る水分で砂糖が溶けてシロップ化したら出来上がり。
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