コミュニティづくりが温暖化解決の近道?「あおばECOアカデミー第1回目」レポ
6月3日(月)、NPO法人森ノオト主催「あおばECOアカデミー 私たちの未来をつくる井戸端会議」の第1回目が開かれました。前半はゲストの横浜市温暖化対策統括本部環境未来都市理事・信時正人さんのお話をうかがい、後半は参加者同士が学んだことを語り合い、一緒に横浜の未来予想図を描きました。(Text:中島美穂)

様々な世代のたくさんの方が参加。メモを取りながらゲストの講演に聞き入る

日本全体、地球規模といった大きな問題を自分たちの暮らしから見つめ、身近な人たちとの対話形式で足下からより良い地域社会を考えていく。この手法は私がメンバーとして活動をしてきたあざみ野ぶんぶんプロジェクトでも何度も経験し、とても有意義だと思ってきたものです。

まさに森ノオトの北原まどか編集長もよく言っている「Think globally Act locally」。あちこちの地域がよくなっていけば、日本が、世界が変わるはず!?地球環境の問題もまずは自分の暮らす横浜を知ることから。

と、ゲストで横浜の環境行政の中心でご活躍の信時正人さんのお話を伺い……私、中島は目が点! 慣れ親しんだわが街横浜の歴史、抱えている問題、取り組みについてこんなにも知らなかったのかと恥ずかしなるやら、驚くやら。

横浜市温暖化対策統括本部環境未来都市理事・信時正人さん。パワーポイントを用いてわかりやすく話してくれた

1時間ではもったいないような充実の内容で、たくさんの学びがありました。

人口の高齢化と単身世帯の増加、経済成長をしながらCO2削減を両立していかなければならないこと、エネルギーを安定的に確保するエネルギーセキュリティの問題など、横浜市も抱えている問題は少なくはありません。

しかし、国から選定された「環境未来都市」として、環境問題や超高齢化社会などの課題に対応する豊かな都市、レジリアント(しなやかで問題への対応力がある、という意味だと中島は理解しました)な社会を目指して、横浜市では再生可能エネルギーの活用やスマートグリッドの実証実験など、先進的な取り組みが行なわれています。

海も山もあり、大都市でありながら農業も盛んというような多様性や、市民努力によってゴミの大幅削減を達成するなど、市民意識が高いという特性を活かして、温暖化や少子高齢化問題解決の糸口となる新たな住宅デザインやコミュニティづくりも進んでいます。

一方、横浜市のCO2排出量においては、家庭の割合が高く伸びていること、まだまだ関心の低い人への普及が必要であることなどから、私たち生活者一人ひとりにできることもたくさんありそうです。

スタッフの松山ちかこさんが用意してくれたティーブレイクコーナーにはリユースカップを使用。手づくりスイーツの差し入れもあり、ワークショップの潤滑油に

信時さんのお話を聞いて、後半のワークショップでは参加者同士が横浜の未来について語り合いました。

私たち子育て世代だけでなく、男性やプラチナ世代(50-60代の地域で活動するリタイア世代)の方など、普段はなかなか交流する機会のない人同士でグループをつくり、自由にアイデアを出し合い、2030年の理想の横浜像を描いていきました。

最初は慣れない作業にみなさん緊張気味のようでしたが、話が進むにつれ徐々に笑顔が見え、生き生きとした意見が飛び交うようになっていきました。

自分たちの街の未来を描く。自分の感じたこと、イメージを口に出す経験は普段の暮らしの中で意外と少ないかも

最後はグループごとに描いた横浜の未来予想図を発表していただき、「世代を超えた地域の交流」、「昔ながらの生活スタイルを見直す」、「自然共生型の住宅」、「緑豊かな街」など、魅力的な街の姿が浮かび上がりました。

信時さんが話してくださいましたが、資源リサイクル協同組合が毎年夏休みに横浜市内の小学生から募集する「環境絵日記」で子どもたちが描く未来像とも共通点が見えます。かつて私たちが子どもの頃に描いた「超高層ビルの合間を行き交う空飛ぶ車」といった未来像とは違って、環境負荷が少なく人と人とのつながりを大切にする社会が望まれていることを感じました。

グループごとに2030年の横浜の予想図を発表。アイデアは尽きず時間が足りなくなるほど

現代の日本で私たちが憂う問題は膨大すぎて、自分自身にできることは見えにくいけれど、それを地域という枠で考えてみると、より身近な問題として捉えることができ、自分が今するべきこと、したいことが見えてくる気がします。

3.11後に意識が変わった人は多いと思いますが、私もそのひとりです。政治とは私たちの暮らしそのものであり、まちづくりの主役はそこで暮らす私たち一人ひとりだということ。まずは自分の暮らす街のことを知って、意見を交わす機会があれば積極的に出かけて行くのも面白いと思います。

あおばECOアカデミー初回は参加してくださった方もこのようなワークショップ未体験の方も多く、初めてスタッフとして関わった私にとっては反省点もありましたが、その分これから北原まどか編集長やメンバーと一緒に経験を重ねてどんどん楽しい学びや対話の場がつくれそうな予感。きっとこういう場自体も成熟していくものなのでしょう。いつかここから飛び出したアイデアが具体化し地域が動き出したら面白いなとワクワクします。

あおばECOアカデミーは“私たちの未来をつくる井戸端会議”というタイトル通り、敷居も低く気軽におしゃべり感覚でまちづくりを考えられる場だと感じました。「あら、井戸端会議なら得意よ!」という方(私もそうです!笑)、次回以降のご参加をお待ちしています。

LINK

このイベントの様子が、FutureCenterNEWS JAPANに紹介されました!

家庭こそ環境問題の担い手!『あおばECOアカデミー第1回 私たちの未来をつくる井戸端会議』レポート

 

http://futurecenternews.jp/aoba-eco-academy-1-1192.html

 

【Information】

NPO法人森ノオト主催「あおばECOアカデミー 私たちの未来をつくる井戸端会議」

YES(横浜エコスクール)登録講座(http://www.city.yokohama.lg.jp/ondan/yes/)

第2回:2013年7月1日(月)10:00〜12:00

映画『パワー・トゥ・ザ・ピープル』上映会(http://wx25.wadax.ne.jp/~morinooto-jp/news/npo-project/ecoacademy01-2/)

テーマ:自然エネルギー100%を実現したデンマーク・サムソ島の取り組みに学ぶ

第3回:2013年7月26日(金) ゲスト:佐土原聡氏(横浜国立大学地域実践教育研究センター長)

テーマ:大都市を支える森・川・土/温暖化の影響と自然を生かす防災術

<後期は9〜11月に開催。住まい、持続可能な消費、まちづくりのスペシャリストをお招きします!>

<共通>

会場:アートフォーラムあざみ野セミナールーム1・2(横浜市青葉区あざみ野南1-17-3)

※東急田園都市線・横浜市営地下鉄線あざみ野駅徒歩5分

参加費:1000円(第2回目のみ映画上映のため参加費1500円)

定員:50名

※施設内に1歳半以上の託児あり(別途登録とお申し込みが必要になります。講座当日の3日前の17時まで→アートフォーラムあざみ野「子どもの部屋」)

※本講座は主婦の方をメインターゲットとしておりますので、1歳半未満のお子さんの同伴可とします。参加者の皆さんのご理解とご協力、温かい目をお願いいたします。

お申し込みは、申し込みフォーム、または森ノオトFacebookページ内のイベントで受け付けます。

氏名・住所・電話番号・E-mail・年齢、お問い合わせ欄に「あおばECOアカデミー 第●回申し込み」(お子様同伴希望の場合はお子様のお名前と月齢)とご記入のうえ、こちらのフォームからお申し込みください。

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