冬枯れしない植物!苔(コケ)を観察してみよう♪
あけましておめでとうございます。今年もモチダノソノのコラムにお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いします! さて、1月に入り一年で最も寒いこの時期、街路樹はすっかり葉を落としてしまってお休みモード。しかしそんなこの時期は、ぜひ足元を見てみてください!霜にも負けず、冬枯れもせずに頑張って生えている植物がいます。それは苔(コケ)! 街中のどこでも見かけ、当たり前のように生えている苔だけれど、少し立ち止まって観察してみると、実は色んな発見があって面白いのですよー♪

個人的なことですが、今、私の中で苔(コケ)ブームがきています!

というのも、先月息子の通うセンター北にある「もあな保育園」のバザーで苔玉づくりワークショップを担当したのがきっかけで、苔を今まで以上に大好きになりました。

 

先月の苔玉づくりワークショップのようす。苔玉とは、植物の根を球状の土で包み、その周りに苔を糸などで固定し張り付けた鑑賞用の植物のこと

 

苔玉はその独特の形と、一時期ブームになったことから、知っている方は多いと思いますが、私は植木屋の嫁であるにも関わらず、恥ずかしながらこれまで一度も苔玉を育てたり、作ったりしたことはありませんでした。

しかしながら、ワークショップの準備をはじめてみたら、すっかり苔と苔玉の魅力にハマってしまいました! 苔玉は出来上がった時のシルエットの可愛らしさはさることながら、緑色でしっとりと水分を含んだ苔からは視覚的にも潤いを感じ、またさわった時のふわふわの感触もとても気持ち良く、不思議と心が癒されます。

 

自作の苔玉たち。乾燥に強く苔玉に適したハイゴケという種類の苔で制作

 

 

苔は、日本では高山から海岸まで、山奥から都会のど真ん中まで、どこにでも生えています! 苔は体が小さいのでほんの少しでも適した場所があれば生育できます。また、土壌の上でなくても、岩の上や木の幹、ほかの植物の上でも生育することができるそう(苔の種類によって生育場所はだいたい決まっています)。

 

街中のどこにでも生えている苔。近所の公園へ行く途中、歩道のタイル舗装のすき間に発見!

 

公園の木の幹にも苔が生えているのを発見!

 

苔は日本だけでも約2500種類あるといわれ、その多くの種類は空中湿度の高い場所(渓谷や林内など)に生育しています。苔は日陰を好むイメージがありますが、実は日光がないと生きていけません。種類によって必要とする日光の量に違いはありますが、光合成を行って養分を生成するため、全く日光が当たらない場所では生育できないそう。

また、苔には花や実や種はありません。種によって増えるのではなく、胞子を風で飛ばすことで増えます。胞子とは、植物が無性生殖を行うために形成する生殖細胞……と言っても、中学校の理科以来久々に聞く単語に「???」とクエスチョンマークが並んでしまいます(笑)。私たちは普段、植物と言えば花や実をつける種子植物を想像しますが、苔は種子植物というよりも同じく胞子で増えるシダ植物の方に似ているといえ、さらにシダ植物よりも簡単な体のつくりをしているので、もっとも原始的な陸上の植物ともいわれています。

 

私の自宅前を流れる黒須田川のすぐ脇の建物の陰に苔が大繁殖しているのを発見! 適度な日当たりと湿度の高い場所だと想像される

 

苔の体のつくりは、緑色の葉の部分とその下の少し茶色っぽい茎、その下には糸状の「仮根(かこん)」と呼ばれるもので苔自身の存在を支えています。また、苔には水分をためておく器官や、水や養分を吸い上げる根はありません。水分は体全体で吸収しますが、乾燥を防ぐしくみはないため、集団で生えることで水分を保ち、また風雨などで倒れないようにしているのだそう。

 

近所の公園の木々の根元にも苔の集団を発見! 木の枝葉によって直射日光が遮られ、乾燥が防がれる木漏れ日の林床(りんしょう)は苔にとっては絶好の生育場所

 

苔は街中でも谷地形の場所や木のたくさん植えられている公園ではよく見ることができますし、道端のコンクリートの壁やブロック塀、ガードレールの上にまで! 本当にどこにでも生えています!

日常の景色の中に当たり前にあるものだから、普段気にして見ることもなかなかないと思いますが、ちょっと意識して見てみるだけで、色んな場所に発見することが出来ると思います。

 

 

そして、見つけた苔をよーく観察してみると、見た目には同じように見えても実は形状が違っていて、様々な種類があります。ルーペや虫めがねで見てみないと違いは分からない場合もありますが、そんなミクロの世界なのも苔の面白いところです。

 

こちらはギンゴケという種類。(前出の歩道のタイル舗装のすき間に生えていた苔の写真を拡大したもの)葉の先端が銀白色に見えるのが名前の由来

 

こちらはスナゴケという種類(前出の黒須田川のすぐ脇の建物の陰で見つけた苔の写真を拡大したもの)。ギンゴケとは明らかに葉の形状が違う。苔の中でも特に乾燥に強いといわれる

 

こちらは木の幹に生えていた、ヒナノハイゴケという種類(前出の公園の木の幹に生えていた苔の写真を拡大したもの)。木の幹に生える苔は植物学的にはコケ類ではなく、菌類である場合もある

 

苔は時間をかけてゆっくりと成長する植物。1年に1センチほどとも、もっとゆっくりとも言われています。

コンクリートのたった1センチのすき間でも、悠久の時と自然の息吹を感じさせてくれます……ぜひみなさんも見つけて、観察してみてください!

日常の景色がまた違って見えてくると思います♪

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この記事を書いた人
持田三貴子ライター卒業生
樹木医で造園業3代目の夫とともに、都市生活に森のような循環を生み出すべく、Earth Worksという夫婦ユニットとして活動中。結婚を機にナチュラルなライフスタイルにどっぷり浸かり、いつの間にか3児の母に。横浜市都筑区で夢の民家暮らしをスタート、「竹隣庵」と名付け住み開きを目指している。
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