野菜をつくって、運んで、自ら売る!女性若手就農者「みらくる農園」木田恵美子さん
今日は皆さんにとっても素敵な農家さんをご紹介します。私がもう2年近く野菜の宅配をお願いしている「みらくる農園」の木田恵美子さん。木田さんは都筑区に畑を借りて、なんと狛江市にある自宅から毎日車で40分かけて通い、1人で農業をしているんです。
(Text:松岡美和)

「みらくる農園」の畑のひとつ。遠くに富士山がくっきりと見えた

 

「みらくる農園」の木田恵美子さんと待ち合わせたのは港北IC近くにあるIKEAでした。まわりを見回すと、大きな幹線道路に工場やビルなどが立ち並んでいます。しかし、横道に入ると、鶴見川に沿って田畑が広がっていました。木田さんの畑もそんな一角にあります。

畑には様々な野菜が所狭しと栽培されていました。キャベツ、赤キャベツ、芽キャベツ、ブロッコリー、白菜、ネギや玉ねぎの苗……。木田さんは少量多品目で有機栽培をしています。有機栽培とは化学農薬や化学肥料を使用しない栽培方法です。肥料には堆肥(たいひ)と呼ばれる、鶏糞などからつくられた有機物を使います。

元々農家ではない木田さんは、いわゆる新規就農者です。元の農家が耕作をやめてしまい荒れていた田んぼを借り受けて、野菜を栽培しています。

「最初に借りたときは草がぼーぼーで。でも雑草を刈り払って、機械を入れて2日くらいで使えるようにしたんです」。若くてひたむきな木田さんの姿は近所で評判になり、「畑あるけどやる?」と声をかけてくれる人が増え、畑は少しずつ増えていきました。1反からスタートした農地が今では6反になったそうです(1反は約1000平方メートル)。

畑が増えたのはうれしいのですが、悩みはそれらが点在していること。なんと、都筑区の川向町から緑区の十日市場にかけて9カ所もあり、一番離れた畑と畑の距離は6kmほどもあるそうです。木田さんは軽トラで畑の間をぐるぐる走り回りながら作業を行っています。

 

いろんな種類の野菜が少しずつ植わっている畑。畑があちこちに散らばっている分、遠くにある畑には一気に収穫できるさつま芋や人参を植えるようにしているのだとか。野菜をどこにどれだけ植えるかを考えるのはまるでパズルのよう!

 

木田さんは高校生のとき、地球規模の砂漠化や酸性雨の問題を取り上げたテレビ番組を見て環境問題に関心を持ちました。そして「環境問題に取り組むためには青年海外協力隊だ。農業だ」と思い、東京農業大学に進みました。当初は途上国支援を勉強するつもりでしたが、次第に農業そのものに関心が移っていきました。農家さんの元で農業体験を重ねるうちに、自然の中で食べ物を作る魅力に取り憑かれたのです。「任期のある青年海外協力隊じゃなく、もっと地元に根付いて長いスパンでものごとをやりたい。新規就農したいと思うようになったんです」。

しかし木田さんは大学卒業後、普通の企業に就職し経理の仕事をすることになりました。結婚したこともあり、いきなり就農とはいかなかったそうです。転機は8年後に訪れます。同窓会で東京農業大学の同級生と語り合ううちに農業に対する熱い想いがよみがえったのです。「やっぱり、農家になりたい!」

県の新規就農窓口を訪れたのが今から5年前、31才の時でした。

新規就農を決意した木田さんにとってまず課題となったのが農地の確保です。木田さんの自宅は東京都狛江市にあります。都内は農地が少なく土地を得るのは難しそうだったため、少し離れた横浜か川崎で畑を借りることを考えました。そして神奈川県には「認定就農者制度」という、新規就農を目指す人をサポートする制度があることも知りました。農業研修を150日以上受け、明確な経営目標を持つなどの条件を備えた人を県が「認定就農者」に認定し、空いている農地を借りられるようにするのです。さっそく木田さんは神奈川県藤沢市にある農場で農業研修を行い、認定就農者になります(以前森ノオトでも紹介したアグロスつちの里の大橋二郎さんとは研修仲間なのだとか)。そして研修終了後3カ月かけて見つけたのが、自宅から40分の距離にある都筑区の畑でした。

 

こちらの畑は最初の3年は虫の被害が多くて、種をまいても全滅してしまうことが多かったという。徐々に野菜の生育もよくなってきているとのこと。「借りて一作二作はしょうがないなとあきらめています」と木田さん

 

みずみずしい水菜。ちょうど取材した日の朝食のお味噌汁に入れて食べた食材とご対面の時でした!

 

育てた野菜は、農協を通さず、自分で販売しています。週に2回、20軒ほどの個人宅に配達を行っていて、自宅近くの狛江(毎週水曜日)と成城(第二日曜日)で軽トラの荷台に野菜を並べて直売もしています。野菜が多めにできたときは他の有機野菜の宅配業者さんに卸すこともあるそうです。年間を通してどのくらいの種類の野菜を作っているのか聞いたところ、「正確な数字は分からないですけど、直売の時に、いつも20種類くらいは並ぶようにしていますね」と木田さん。

20種類! 多いですよね。実は私も週に一度木田さんの野菜を届けてもらっている1人です。1000円と1500円のパックがあり、私の場合はいつも1000円の「おまかせ」にしています。そのとき畑で採れた野菜が6から8品目くらい入っていて、スーパーで買うよりもずっと新鮮で割安です。おまかせ以外にも、品目ごとの注文も受け付けていて、例えば人参1袋、小松菜1袋からでも配達してくれるそうです。買う側からしたらとってもありがたいですが、大変なのでは? こう質問すると、木田さんは「今はまだ駆け出しなので、ちょっと無理してでも自分の作った野菜を多くの人に食べて欲しいんです」と笑顔で答えてくれました。

地主さんへの土地代、ハウスなどの資材費、宅配にかかる経費など、農業は意外と経費がかかります。一昨年までは、少しでも収入を増やすため農閑期である冬に経理の派遣の仕事をしたり、夫から援助してもらったりしていました。でもようやくお客さんが増えて収入も安定し、今年からは副業をせずに農業だけで回していくことができるようになったそうです。

 

いつも笑顔いっぱいで本当に農作業が大好き!というのが伝わってくる木田さん

 

今回、畑にお邪魔して、木田さんの野菜づくりへのこだわりやこれまでの経歴などを聞いて、「みらくる農園」をもっともっと好きになりました。これからも頑張って欲しい一押しの農家さんです。

Information

みらくる農園(木田恵美子)

HP:http://miracle-farm.biz

ブログ:http://ameblo.jp/rascal19/

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