ものづくりって素晴らしい! 鷺沼・Boutique&Cafe UNDER MOUNTAIN(アンダーマウンテン)
鷺沼に住んで2年半が過ぎ、すっかりここが地元化している私。今日は近所にある手作りいっぱいで、小さいながらもついつい長居しちゃう居心地の良いカフェをご紹介します。(Text:松岡美和)

鷺沼駅から歩いて10分ほど。駅前の桜並木添いの坂道を下り、鷺沼小学校の交差点を左折して、国道246号線を渡ってすぐ右手にあるのが、Boutique&Café UNDER MOUNTAIN(ブティック&カフェ アンダーマウンテン)です。

2011年の夏、私が引っ越してきて間もないころ、近所を散歩していて発見。「こんなところにハーブティーが飲めるお店があるんだ〜♪」と思ったのを覚えています。その後、出産して近所をうろうろ歩くことも減り、しばらくお店のことは忘れていました。昨年ご近所さんから「近くにカフェがあって、そこのオーナーさん無農薬で野菜作ったりしているよ」との情報を聞いて、あぁ、あそこのお店のことだ! と、早速行ってみたのですが、オーナーさんご夫婦に子どもが産まれたばかりで、ちょうどお昼の営業をお休みしていた時期でした。

そして先月、お昼の営業も再開したという話を聞きつけて、念願かなってやっと来訪。休日に家族3人でお邪魔しました。

お店の中に入ると、左側がブティックスペース、右側がカフェスペースになっています。カフェスペースには4人がけのテーブル席と、8人くらいが座れるカウンターがあります

私のオススメは「トゥルシー」という古来インドのハーブティー。トゥルシーはホーリーバジルとも呼ばれるシソ科の植物なのだとか。とっても香りが良く、くせになる美味しさです。アンダーマウンテンでは愛知県に住む友人が自然栽培で育てたものを仕入れているそうです。夏には西表島の友人からピーチパインというパイナップルが届き、おいしいパイナップルジュースがメニューに加わります。

 

お店でも一番の人気という「フルーツミックスジュース」(500円)。果物だけの甘さで、濃厚でとっても美味しい。私の娘は1人でグラスを抱え込み「おいしい!」を連発。ポットに入っているのは「トゥルシー」(400円)。お湯を新しく注いでもらえるのも嬉しい♪

 

定番メニューには生地からじっくり発酵させて手作りしているというピザがあります。トマトソースもトマトと玉ねぎをコトコト煮込んで作るなど、手作りにこだわっているそう。

 

里芋と舞茸とズッキーニのピザ(950円)。手作りのピザ生地は薄すぎず厚すぎず、もちもちとしています。里芋の少しねっとりとほくほくとした食感がチーズとも好相性

 

アンダーマウンテンを経営しているのは、山下将利(まさとし)さん・江里さんご夫婦です。アンダーマウンテンという名前を聞いた時に、「山(マウンテン)の下(アンダー)……山下さんかな?!」と想像していたのですが、まさにそうでした(笑)。

夫の山ちゃん(通称)は、中国・チベットなどアジア諸国・インド・ヨーロッパ……と世界各国を旅するバックパッカーでした。旅行資金を貯めるために様々な仕事をするなかで、ものづくりの技術や人脈を培ってきました。妻の江里さんは大学卒業後、手作りアクセサリーや服をリメイクして売るお店をやっていました。

 

週変わりで出しているメニューもある。この日は山ちゃん特製の「スパイシーカレー」(単品980円。サラダ付き1100円)。様々なスパイスを組み合わせ、じっくり煮込んである。付け合わせのサラダやピクルスなどの野菜は、近くにある直売所で買ったものも。メニューの他には「パオ」や「フォー」など、アジアを旅した山ちゃんならではの異国料理が楽しめる

 

そんな二人は共に愛知県出身。2009年に縁あって横浜に移り住み、料理を配達するケータリングの事業に携わります。そして2010年に結婚。2人でお店をやろうと話していた2011年、鷺沼にいい物件をみつけました。元々はお寿司屋さんだったという古い建物です。入って左に座敷、右側にカウンター席のザ・寿司屋という店構え。普通であればここをカフェに改装するにあたり専門の業者に依頼するところですが、2人はほとんど全ての内装を自分たちでやりました(業者にやってもらったのは座敷とカウンターを取り除く作業だけ)。壁には漆喰を塗り、床は自分で見つけてきたタイルを敷き詰めました。タイルは、山ちゃんが愛知の常滑焼の窯元で働いていたころの知り合いから安く譲ってもらったもの。

 

お店の中のあちこちを装飾しているモザイクタイルは見物。床やテーブルだけでなく、トイレや小さな流しまで。お二人が「作品」と表現していた通り、まさにアート。お二人で一つひとつ並べて置きながらデザインしていったのだそう

 

玄関ドアもちょうどいいサイズの既製品が見つからず自分たちで作ったそうです。

ドアを作るなんて、普通考えも及びません。それはよっぽど技術があったのだろうと聞くと、「とんでもない!」と2人して顔を横に振っていました。「まったくの素人ですよ。インターネットで調べて、工夫してやりました」とのこと。

でもでも、よーくよく聞いてみると、山ちゃんのおじいさんは大工さんだったとか!  そして、山ちゃんのお父さんは会社員だったものの「こどもの頃の夢は大工さん」だったそうです。定年退職していたお父さんを愛知県から呼び寄せ、実家にある大工道具も持ってきてもらい、3人でお店の2階に住み込んで、お店づくりをしたのだそうです。お父さんの夢もかなった(?)微笑ましいエピソードだと思いました。

 

自家製のオレンジソースとアイスクリームがトッピングされたフレンチトーストの「パンペルジュ」(1080円)。トッピングは他にもいろいろ選べる。ボリュームたっぷりなので、お友だちと分け合って食べるとちょうどよいかも♪ オーガニックコーヒー(400円)もとても香りがよく、甘〜いデザートにぴったり

 

ブティックスペースには、江里さんが買い付けた雑貨や洋服、オリジナルのアクセサリーが並んでいます。Tシャツもお二人がデザインして、自分たちでプリントし、消しゴムハンコで作ったタグを縫い付けるなど、本当にどこまでも手作りの作品なのでした。

 

お洋服だけでなくニット帽や手袋などの冬小物から春先に向けて明るい色のスカーフなども並ぶ。天井にある白くペイントされたひさしは、寿司屋の座敷があった場所の名残

 

江里さん手作りのオリジナルアクセサリー。編み物が本当に上手なのです!

 

音楽が大好きな山ちゃんは、曲づくりもおこなっています。お店で流すような曲から子守唄まで作るのだそうです。店内には心地よいJAZZが流れていましたが、せっかくなので実際に、山ちゃんが作ったという曲をBGMに流してもらいました。

あら、なんだか、夏だわ! さほど音楽に詳しくない私が言うのもなんですが、海辺をドライブしながら流すのに合いそうな曲でした。夏の夕暮れ、お酒でも飲みながらこの曲が流れていたらほろ酔い気分を気持ちよく味わえそう(私はお酒を飲みませんが……)。

 

タタタタタン! と太鼓の音が鳴り響き、店内はエキゾチックな空間に様変わり。このジャンベ(太鼓)も大きな丸太をノミでコツコツとくりぬいてヤギの皮を張って山ちゃん自ら作ったのだとか。すごいよ、山ちゃん!と脱帽するばかり

 

また、たまプラーザ近くに畑を借りていて、自然農で野菜も育てているそうです。なんとウィズの森マルシェでおなじみの「森の扉」の野原典彦さんから譲り受けた畑なのだとか。「大雪で作物はみんなダメになっちゃったけど、暖かくなったらまた畑仕事を始めます。夏にはいろいろな野菜が獲れるので、お店のメニューにも登場しますよ!」とのことで楽しみですね。

お店の内装から、BGM、アクセサリーやお洋服、夏にはお野菜まで、本当にどこまでも手作りあふれるお店です。

「同じ経験をしたり、一緒に何かを作ったりすると、人ってすごく仲良くなりますよね。ここに来て、刺激を受けて、もっと物を作る人が増えたらいいなと思います」と山ちゃん。「小さいお店だから、お客さん同士が仲良くなって、地域の中でいい関係を作っていっているんです。それが一番嬉しくて、お店やってよかったな〜と思う瞬間です」と江里さん。

小さいスペースながら山ちゃんと江里さんの世界観があふれていて、それでいて居心地が良いのは、お二人の人柄のたまものでしょう。

 

山下将利さん・江里さん・長女のうららちゃん。とっても気さくで話しやすいですよ♪

 

来月にはOPENして3周年を迎えるそう。山ちゃん&江里さん、これからも温かい居場所を提供してくださいね♪

Information

Boutiquet&Café UNDER MOUNTAIN(ブティック&カフェ アンダーマウンテン)

住所:川崎市宮前区有馬9-3-13

TEL:044-789-9727

営業時間:12:00〜21:00 (日曜日は19:00まで)

定休日:毎週月曜日・火曜日

ブログ:http://umountain.blog39.fc2.com

Facebook:http://www.facebook.com/umpage

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