鷺沼駅から歩いて10分ほど。駅前の桜並木添いの坂道を下り、鷺沼小学校の交差点を左折して、国道246号線を渡ってすぐ右手にあるのが、Boutique&Café UNDER MOUNTAIN(ブティック&カフェ アンダーマウンテン)です。
2011年の夏、私が引っ越してきて間もないころ、近所を散歩していて発見。「こんなところにハーブティーが飲めるお店があるんだ〜♪」と思ったのを覚えています。その後、出産して近所をうろうろ歩くことも減り、しばらくお店のことは忘れていました。昨年ご近所さんから「近くにカフェがあって、そこのオーナーさん無農薬で野菜作ったりしているよ」との情報を聞いて、あぁ、あそこのお店のことだ! と、早速行ってみたのですが、オーナーさんご夫婦に子どもが産まれたばかりで、ちょうどお昼の営業をお休みしていた時期でした。
そして先月、お昼の営業も再開したという話を聞きつけて、念願かなってやっと来訪。休日に家族3人でお邪魔しました。
お店の中に入ると、左側がブティックスペース、右側がカフェスペースになっています。カフェスペースには4人がけのテーブル席と、8人くらいが座れるカウンターがあります
私のオススメは「トゥルシー」という古来インドのハーブティー。トゥルシーはホーリーバジルとも呼ばれるシソ科の植物なのだとか。とっても香りが良く、くせになる美味しさです。アンダーマウンテンでは愛知県に住む友人が自然栽培で育てたものを仕入れているそうです。夏には西表島の友人からピーチパインというパイナップルが届き、おいしいパイナップルジュースがメニューに加わります。
定番メニューには生地からじっくり発酵させて手作りしているというピザがあります。トマトソースもトマトと玉ねぎをコトコト煮込んで作るなど、手作りにこだわっているそう。
アンダーマウンテンを経営しているのは、山下将利(まさとし)さん・江里さんご夫婦です。アンダーマウンテンという名前を聞いた時に、「山(マウンテン)の下(アンダー)……山下さんかな?!」と想像していたのですが、まさにそうでした(笑)。
夫の山ちゃん(通称)は、中国・チベットなどアジア諸国・インド・ヨーロッパ……と世界各国を旅するバックパッカーでした。旅行資金を貯めるために様々な仕事をするなかで、ものづくりの技術や人脈を培ってきました。妻の江里さんは大学卒業後、手作りアクセサリーや服をリメイクして売るお店をやっていました。
そんな二人は共に愛知県出身。2009年に縁あって横浜に移り住み、料理を配達するケータリングの事業に携わります。そして2010年に結婚。2人でお店をやろうと話していた2011年、鷺沼にいい物件をみつけました。元々はお寿司屋さんだったという古い建物です。入って左に座敷、右側にカウンター席のザ・寿司屋という店構え。普通であればここをカフェに改装するにあたり専門の業者に依頼するところですが、2人はほとんど全ての内装を自分たちでやりました(業者にやってもらったのは座敷とカウンターを取り除く作業だけ)。壁には漆喰を塗り、床は自分で見つけてきたタイルを敷き詰めました。タイルは、山ちゃんが愛知の常滑焼の窯元で働いていたころの知り合いから安く譲ってもらったもの。
玄関ドアもちょうどいいサイズの既製品が見つからず自分たちで作ったそうです。
ドアを作るなんて、普通考えも及びません。それはよっぽど技術があったのだろうと聞くと、「とんでもない!」と2人して顔を横に振っていました。「まったくの素人ですよ。インターネットで調べて、工夫してやりました」とのこと。
でもでも、よーくよく聞いてみると、山ちゃんのおじいさんは大工さんだったとか! そして、山ちゃんのお父さんは会社員だったものの「こどもの頃の夢は大工さん」だったそうです。定年退職していたお父さんを愛知県から呼び寄せ、実家にある大工道具も持ってきてもらい、3人でお店の2階に住み込んで、お店づくりをしたのだそうです。お父さんの夢もかなった(?)微笑ましいエピソードだと思いました。
ブティックスペースには、江里さんが買い付けた雑貨や洋服、オリジナルのアクセサリーが並んでいます。Tシャツもお二人がデザインして、自分たちでプリントし、消しゴムハンコで作ったタグを縫い付けるなど、本当にどこまでも手作りの作品なのでした。
音楽が大好きな山ちゃんは、曲づくりもおこなっています。お店で流すような曲から子守唄まで作るのだそうです。店内には心地よいJAZZが流れていましたが、せっかくなので実際に、山ちゃんが作ったという曲をBGMに流してもらいました。
あら、なんだか、夏だわ! さほど音楽に詳しくない私が言うのもなんですが、海辺をドライブしながら流すのに合いそうな曲でした。夏の夕暮れ、お酒でも飲みながらこの曲が流れていたらほろ酔い気分を気持ちよく味わえそう(私はお酒を飲みませんが……)。
また、たまプラーザ近くに畑を借りていて、自然農で野菜も育てているそうです。なんとウィズの森マルシェでおなじみの「森の扉」の野原典彦さんから譲り受けた畑なのだとか。「大雪で作物はみんなダメになっちゃったけど、暖かくなったらまた畑仕事を始めます。夏にはいろいろな野菜が獲れるので、お店のメニューにも登場しますよ!」とのことで楽しみですね。
お店の内装から、BGM、アクセサリーやお洋服、夏にはお野菜まで、本当にどこまでも手作りあふれるお店です。
「同じ経験をしたり、一緒に何かを作ったりすると、人ってすごく仲良くなりますよね。ここに来て、刺激を受けて、もっと物を作る人が増えたらいいなと思います」と山ちゃん。「小さいお店だから、お客さん同士が仲良くなって、地域の中でいい関係を作っていっているんです。それが一番嬉しくて、お店やってよかったな〜と思う瞬間です」と江里さん。
小さいスペースながら山ちゃんと江里さんの世界観があふれていて、それでいて居心地が良いのは、お二人の人柄のたまものでしょう。
来月にはOPENして3周年を迎えるそう。山ちゃん&江里さん、これからも温かい居場所を提供してくださいね♪
Boutiquet&Café UNDER MOUNTAIN(ブティック&カフェ アンダーマウンテン)
住所:川崎市宮前区有馬9-3-13
TEL:044-789-9727
営業時間:12:00〜21:00 (日曜日は19:00まで)
定休日:毎週月曜日・火曜日
ブログ:http://umountain.blog39.fc2.com
Facebook:http://www.facebook.com/umpage
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