寺家ふるさと村にある「からんこ山」を越えて目の前に広がる田んぼ道を進んでいくと、一つ目の看板『チリマリ食堂 イ』にでくわします。矢印に従ってイ、ロ、ハとすすんでいくと、森ノオトで度々登場する「minatofurniture」のある木工アパートメントへ着きました。そして、そのすぐ裏手にめざす食堂がありました。メイン通りから離れていて、看板をたよりに行かないと難しいですが、「あったあった!」と見つけながら行くので、わくわく感が増します。
森ノオトのリポーターとしても活躍する高鳥可那ちゃん。彼女は「チリマリ子」という名前でフードユニットを組んでいて、そこからこのお店を「チリマリ食堂」と名づけたそう。
お店を訪ねると、可那ちゃんがいた! 食堂のおばさん風のほっかむりがよく似合っていて可愛い! 「今日は新鮮な根ぜりが届いたよ」とはりきる笑顔がありました。
いいにおいがしてきました。出してくれたのは秋田のきりたんぽ。もち米に近い品種で冷めてもおいしい「あきたこまち」を炊き、ごはんを半殺し(ごはん粒が残る程度につぶしたもの)にして手で棒につけていきます。焼き色がつくまであぶって「たんぽ」のできあがり。だしは秋田から取り寄せたという比内地鶏、ごぼう、舞茸でとり、酒、塩、醤油で味付け。具はごぼう、舞茸、きりたんぽ、鶏肉、根ぜり、そして寺家で採れた長ねぎ。
なんといってもだし! しみじみ美味しかったです。地鶏の中でも特に品質基準が厳しく、健康で安全な比内地鶏からでた黄金の汁だからこその味が出せるのだそう。根ぜりは名の通り、根をいただくのが普通だそうで、切り落とさずに入っていました。しゃきしゃきとした食感がよいアクセントでした。根ぜりの時期はまもなく終わりで、今後は寺家の野ぜりや水菜に変わるとのこと。根ぜり入りのきりたんぽを味わうならお急ぎくださいね。
もうひとつの看板メニューは「だまっこカレー」。「だまっこ」は「だまこ」ともいい、玉を意味しているそうです。たんぽと同じように半殺しにしたごはんに塩水をつけながら丸めたもの。比内地鶏のだしの効いたカレーがかかっています。だまっこが崩れるぐらいのところが一番おいしいと可那ちゃん。この日は古代米だまっこが入っていました。大豆の発酵食品テンペ入りというものオリジナルでおもしろいと思いました。
他に稲庭うどん(800円)や能代の片栗うどん(720円)が日替わりであり。お食事の方にはプラス200円で飲み物がつきます。中でも白神よもぎ茶がおすすめ。秋田の食材はどんどんこれからも増やしていく予定だそうです。ベジタリアンにも対応したり、たんぽも事前に予約をすれば販売してくれるそうです。
この場所は木工アパートメントの大家さんに貸してもらっているそうです。平日はチリマリ食堂として、休日は大家さんのうどん屋として営業しています。
実は可那ちゃんにこの場所を紹介したのは、minatofurnitureの湊哲一さん。
元々可那ちゃんは湊さんに呼ばれて青葉台に引っ越してきました。というのも、湊さんも秋田の方。秋田でアートイベントに呼ばれるなど、故郷・秋田を活性化する様々なプロジェクトに参加するようになり、秋田の魅力を工房のある寺家でも伝えたい。そんな想いから秋田と寺家をつなげるイベントを企画してきたそうです。
湊さんのお話を聞いて、寺家にきりたんぽのお店ができ、東京や横浜の人たちに秋田を知ってもらうきっかけにはなるのでは……と感じました。今後、さらに寺家と秋田とのつながりは深まりそうです。
森ノオトのリポーターが地域の方と仲良くなり、つながりをもち、活動の場を広げていくのはうれしいなあ! そして、私たちにとっても、様々な地方の食文化と出会える楽しみが増えました。寺家ふるさと村は気持ちのよい季節。お散歩しながら秋田を味わいに、春を探しに訪れてみては!
店名:チリマリ食堂
住所:神奈川県横浜市青葉区寺家町522
電話:045-962-2127
営業日:月〜木
営業時間:11:30〜15:00(ワークショップのある日は10:00〜)
駐車場:3台
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