7/19(土)ツアー開催♪「進和学園」でどんぐりから植樹用の苗を育てる現場を見てきました!
どんぐりって可愛いですよね。公園などで子どもたちが夢中になって拾う、ころんとした形が可愛いどんぐりは、大きな木に育つ力を秘めています。森ノオトの看板息子もどんぐり坊やの「もりたろう」。森ノオトとしては、どんぐりが木となり、林や森となっていく姿をぜひ知っておきたい!! ということで、どんぐりなど、木の種子を集めて苗をつくり、森づくりの活動をおこなっているという進和学園をたずねました。(Text:松岡美和)

2014年3月31日(月)。森ノオトの北原まどか編集長と森ノオトなかま会員の山崎誠さん、リポーターの松岡美和と松岡娘の4人で神奈川県平塚市にある「進和学園」へ行ってきました。

「進和学園」は、障がい児・者の自立支援や生活介護を主な事業としておこなっており、500名以上の利用者さんがいる社会福祉法人です。デイサービスなどの生活支援、弁当づくりやパンづくり、農園芸やクラフトづくりなどの就労支援など様々な活動の中に、8年前からスタートしたという「いのちの森づくり」プロジェクトがあります。障がいを持った利用者さんたちがどんぐり等の種から植樹用のポット苗をつくり、栽培しています。

この日、私たちがまず案内してもらったのが、鶴巻温泉駅から車で20分ほどのところに位置する「どんぐりハウス」です。大きなビニールハウスの中にはたくさんの苗が並んでいました。

 

「どんぐりハウス」の中。出荷した直後だったのでこの日は苗の数が少ない方らしく、普段は足の踏み場もないほどもっと多くの苗箱が並んでいるそう。1年間で12万本もの苗が生産される

 

神奈川県内で種を採取して、種をまき、30cmほどの高さにまで育ったものが苗としてが出荷されます。主に出荷されるのは、アカガシ・アラカシ・シラカシ・スダジイ・タブノキの5種類の樹木ですが、ここではなんと80種類ほどの様々な木の苗を栽培しているのだそうです。

「“トロ箱(どんぐりを植えて苗を育てる箱)”に種(どんぐり)をまくのは秋で、芽を出すのは春。そこから樹高30cmになるまでわざと密植状態で育てます。根っこをハングリーな状態にすることで、植樹した時に活着率を上げるねらいがあります」

そう話すのは、進和学園「いのちの森づくり」プロジェクトマネージャーの川下都志子さんです。

 

 

トロ箱と呼ばれる箱に土を入れて、そこに種をまく。ひとつのトロ箱に200〜250個ものどんぐりをまく。密にまく方が発芽率が良いのだそう

 

春は芽吹きの季節。びっしりと発芽している。しばらくはこのまま密植状態で育てる

 

以前、「どんぐりハウス」はキュウリを育てるハウスだったそうです。地主さんがご好意で安く貸してくださり、お盆やお正月など作業がお休みの日には水やりもしてくださっているのだそうです。この日もハウスの地主さんが水やりにきていて、今の時期は水やりに1〜2時間かかるのだと話してくださいました。

ポット苗づくりの体験もさせてもらいました。トロ箱いっぱいに発芽していた苗を取り出し、ポットに1本1本移していきます。ポットに少し土を入れてから、苗を置き、残ったスペースに土を入れていきます。トントンと空気を抜くように何度か落として完成! 真っすぐ上を向くように置くこと、土をギュッと抑えないこと、などいくつか大事なポイントがありました。ポットの苗は子どもでも扱いやすく、搬入・搬出がしやすいといった利点があるそうです。育つまでに時間と手間はかかりますが、大きくなった木の苗を植えるよりは低コストに仕上がります。

 

森ノオトメンバー作・ポット苗の完成! 30cmほどの高さに育つと出荷できる。どんな種類の苗でも1個450円で販売される

 

「どんぐりハウス」の前でパチリ。どんぐりグループのみなさん、ありがとうございました!

 

続いて、車で向かったのが「進和万田ホーム」と呼ばれる生活介護の施設です。施設の前にあるロータリーの中央に植え込みがありました。4年前に「どんぐりハウス」で育てた苗を植えたそうです。

背の高い木も低い木もみんな4年前に植えたもの。4年前にはみんな30cmほどの苗だったというのだから驚き!

 

 

大人の背を越える高さにまで育った植え込み

 

施設の周囲の植え込みにもぐるりと植えてありました。一般的な垣根だと、一種類の樹木が整然と等間隔に並び、剪定もキチッとされて高さも同じ……というのがよく見かける光景かなと思います。ここでは、いろんな種類の樹木の苗を、とにかくミックスして植えていったのだそうです。

またまた、車で移動して、今度は「しんわルネッサンス」と呼ばれる授産施設へ行きました。施設内の食堂で利用者さんたちに混ざりながら、お昼ごはんもいただきました。ここでは利用者さんやスタッフが食べるごはんをつくるのも障がいを持つ方々で、男性向け、女性向けなど量も調節してもらえます。

外に出ると、建物の周りにはこんもりとした緑が広がっていました。こちらは、8年前にポット苗を植えたのだそうです。樹種にして52種類、4,888本がぐるりと施設をかこっています。さきほど見た4年前に植えられた木と比較すると、木々の高さも私たちの身長の倍ほどもあり、木の成長の力を感じました。近づいて見てみると、こちらも様々な樹木が植っていました。

「進和学園の“いのちの森づくり”は、世界各国で植林をしてきた横浜国立大学名誉教授の宮脇昭先生が提唱した“まじぇる方式”にならっています。いろんな樹種を混植・密植して多様性のある森をつくる。進和学園には障がいの程度も個性も様々な方が通ってきています。利用者の方々と地域に住む方、そして様々な仕事を“まじぇる”。森も人も混じり合いながら、誰もがイキイキと輝ける社会がつくれたら」と、福祉施設で森づくりをする意義を川下さんは話してくれました。

 

こんもりと繁って、まるで森のよう。52種類もの樹種が植えてあるのだとか。先ほど見てきた4年前の木々と比べると成長の度合いがわかる

 

ちなみに、進和学園の作業収入はホンダの自動車部品の組み立て作業がメインなのだそうです。工場見学をさせてもらってから、帰路につきました。

 

クルマの部品は精密さと完成度が命! 工程や寸法を間違わないよう作業者向けに独自に開発した工具を用い、品質を保っている

 

森ノオトでは青葉区周辺の地域情報を発信していますが、団体名に森を冠している以上、森づくりに関する活動も始めたいと北原まどか編集長は考えています。地域に落ちているどんぐりを育て、地域でつくった苗を利用して、森ノオトエリアで小さな森づくりができたら……とイメージは膨らみます。

今回は4名で下見に行ってきましたが、今後みんなでわいわい行けるような見学ツアーを企画しました。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。

 

 

Information

日時:2014年7月19日(土)
10:00 鶴巻温泉駅南口集合、バスにて移動10:30 まじぇるハウスの見学・ポット苗づくり体験
12:00 進和ルネサンスでいのちの森を見学後、昼食(パン+ドリンク)。昼食後、芝生で交流またはホンダの部品工場見学
13:30 バスにて移動
14:00 鶴巻温泉駅南口解散
募集人数:30名(小学生以上有料、未就学児無料)

持ち物:帽子、タオル、飲み物、メモ帳、未就学児のお子様のお昼ごはん(必要な方のみ)
参加費:3,500円(進和学園でつくっているパンの昼食、昼食時のドリンク、ポット苗のお土産つき)
※鶴巻温泉駅までの交通費は各自のご負担になります
主催:特定非営利活動法人森ノオト
協力:社会福祉法人進和学園、株式会社研進
お申し込み、お問い合わせは……
info@morinooto.jp
参加者全員の氏名、同伴のお子様の年齢、住所、電話番号、E-mailアドレスをご記入ください。

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