(text&photo:ながたに睦子)
私たち家族の、秋の里山歩きの楽しみの一つは、どんぐり集め。山を歩くと、クヌギ、マテバシイ、コナラ……など、この季節は、様々などんぐりを見つけることができますね。大きな木が私たちを見下ろすように立っていて、大木の子どもたちのようなどんぐりがとっても愛らしく、どんぐりを見つけるとつい、夢中になって集めてしまいます。
さて、この可愛らしいどんぐりですが、食べられることをご存じですか? 実は私とどんぐりクッキングの歴史(?)は古く、小学生の頃に遡ります。学校から借りて来た本に、「縄文人はどんぐりをクッキーにして食べていた」と書かれていたのを読み、拾って来たどんぐりを割って、石ですりつぶして、小麦粉を混ぜて、つなぎにはちみつを入れ、適当に丸めてフライパンで焼いて食べたという、なんともワイルドな思い出があります。しかし、そのときのどんぐりクッキーの味はというと……。そこは、小学生の思いつきクッキング。美味しいとは言いがたい味だったと記憶しています。
どんぐりは灰汁(アク)が多く、水にさらしてアク抜きをしないと苦くてとても食べられないものが多いのですが、なかにはアクが少なく生でも食べられるものもあるのです。今回クッキングに使うどんぐりは「スダジイ」。クヌギやコナラ、シラカシなど他のどんぐりに比べてほとんどアクがなく、拾ったそばから皮を剥いてポリポリ食べられるのです。今回は、その「スダジイ」を使って作るクッキーを紹介します。
ところで、どんぐりの帽子って、なんだかとっても可愛いですよね。クヌギ、コナラ、シラカシ……、みんな特徴的な帽子をかぶっていて、思わず顔を描きたくなります。スダジイは帽子部分に特徴があるので、他のどんぐりとはすぐに区別ができるのです。
さて、どんぐりクッキーの材料調達のため、ある晴れた休日、家族でどんぐり拾いに出掛けました。この日出かけたのは町田市小野路町の里山ですが、青葉区周辺では寺家ふるさと村でも拾えたり、田奈小学校の裏山にある椎木地蔵尊(横浜市青葉区田奈町37-5)には、樹齢500年を超えるスダジイの古木があるそうです。調べてみたところ、横浜市にはスダジイの木が53本もあるそうなので、みなさんがいつも行く公園や里山などにもスダジイの木が生えているかもしれませんね。ぜひ家族で探してみてください。
かごいっぱいのスダジイ、まずは水につけて軽く洗います。中には水に浮かんでくるものがありますが、そちらは虫がくっていたり、中味がスカスカだったりするので、この時点でとり除いておきます。次に水気をきって軽く拭いたスダジイを、お天気の良い日に天日干しします。すると、1-3日くらいで表面にひびが入ってくるので、そこに爪を入れパチンと割ると簡単に殻を剥くことができるのです。
皮が剥けたら、次はそれを粉にします。フードプロセッサーで砕いたり、ミルなどで挽くと、あっという間に粉になります。少々時間がかかりますが、摺り鉢でじっくり擦るのも、滑らかになっておすすめです。
さて、クッキーに使うどんぐり粉の準備ができたので、いよいよ作り方の紹介です。
【スダジイクッキー(約20個分)】
小麦粉 50g
どんぐり粉 20g
砂糖 20g
塩 ひとつまみ
ベーキングパウダー 小さじ1
なたね油 30g
水 大さじ1(調整用)
<つくりかた>
(1) 小麦粉、どんぐり粉、砂糖、塩、ベーキングパウダーをボウルに入れ、菜箸や泡立て器などでぐるぐる混ぜる。
(2) (1)になたね油を入れて混ぜ、生地をひとまとめにする。水分が足りなくてボロボロしてしまったら、水を足して調整する。
(3) 生地を5mmくらいに伸ばして好きな型で型抜きし、180度に余熱したオーブンで15-20分くらい焼いたら出来あがり。
プロセスはこれだけです。実際につくってみるとわかりますが、とーっても簡単なのです。卵や乳製品も使わないので、アレルギーのお子さまにもおすすめです。
どんぐりがお菓子の材料になるとわかったら、秋のどんぐり拾いも楽しみが広がりますね。この季節、まだまだどんぐり拾いは出来ると思います。家族でスダジイを見つけて、ぜひお子さんと一緒にどんぐりクッキーを作ってみてくださいね。
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