落ち葉が舞い冬の寒さが近づいてきた11月上旬、森ノオトリポーターでたまプラーザぶんぶん電力共同代表の梅原昭子さんからお誘いを受け、前から気になっていた「エコストーブづくり」にチャレンジすることになりました。
「エコストーブ」とは別名ロケットストーブと言われ、1980年台に米国で発明され、2000年代に日本に上陸しました。2011年の東日本大震災の時に被災地支援で活躍し、昨年ベストセラーになった『里山資本主義』では、広島県の和田芳治さんのエコストーブが取り上げられ、全国的にその輪が広がっています。
エコストーブが優れているのは、熱効率のよさです。一般的な薪ストーブと比べて煙突部分に空気を押し出す能力が高いのが特徴。諸説ありますが、燃費は薪ストーブの4分の1とも言われています。
今回は、和田さんからエコストーブの作り方を学んだ麻生区在住の佐藤健さんに調理用エコストーブの作り方、使い方を教えていただきました。佐藤さんは「エコストーブ作りを通して自然との関わり方を伝えたい」と、現在多くの方に作り方の指導をしています。
エコストーブに必要な材料は以下の通り。たったの4つだけです。
■ペール缶2つ
■ステンレス製の筒
■パーライト(園芸用土)
■五徳
また、作るための道具として、金切りはさみ、玄能(ハンマー)、ニッパー、缶切りなどが必要です。ディスクグラインダー(金属カットするための電動のもの)があるとより楽に作れます。
エコストーブの仕組みは以下のように非常にシンプルです。
ペール缶二つの中を、ステンレスの筒3種類を組み合わせた煙突が90度曲がって通り、その間を断熱材としてパーライトが詰まっています。
この焚口に燃料を入れると、空気が強力に吸い込まれ、燃えた炎が上部まで上がっていきます。煙突の中の温度がより熱い方が空気を吸い込む力が強くなるため、断熱材を入れています。五徳をセットすれば調理ができます。完全燃焼に近いため、煙突からの煙や灰が少ないと言われています。
作り方もとてもシンプル。最初は金属を加工するのに慣れていないので、時間がかかりますが、それでも2時間程度で完成できました。
ペール缶二つをつなげて一つの大きなドラム缶にするため、フチをカットし固定します。
煙突になるステンレスの筒を組み合わせ、ドラム缶の横に丸い穴を空けて、セットします。
セットした本体の筒とペール缶の間にパーライトを入れます。しっかりと入れるために、棒でつつきながら充填します。
穴を空けた蓋をかぶせて、煙突部分の先に入れた切り込みで固定させて完成!
完成したエコストーブをいよいよ使ってみます。
焚口に燃料となる廃材を入れて、火をつけます。この日は雨が降っていて、燃料が水分を含んでいて時間がかかりましたが、無事着火。
炎が煙突を通り、煙突からも見えてきたら成功です。
お釜をのせてご飯を炊くこともできます。
この日は豚汁と黒米入りごはんを食べました。もちもちしていて、噛むとじわっとくる甘い香り。佐藤さんは、この直火で炊いたご飯をぜひ多くの人に味わってもらいたいと話します。
最後には外も暗く雨も本格的になり、肌寒くなりましたが、エコストーブを囲んで食べる豚汁とご飯は格別でした。
さて、エコストーブづくりを経て、私は暮らしの中でエコストーブに使える燃料がいくつも目に留まるようになりました。家の中で発見した燃料は、贈答品のお菓子の木の箱、猫の餌場をDIYした時に出た廃材、通販で必ず付いてくる段ボール、お弁当についていた割り箸、この時期よく食べるみかんの皮、とうもろこしの芯……(まだまだ続く)。
そして、この季節、街には落ち葉や松ぼっくり、小枝など自然の落とし物がたくさん見つかります。キャンプ好きの方ならご存知かと思いますが、実は松ぼっくりはその松脂成分と形状から天然の着火剤になります。
梅原さんは「都市部に実は燃料がたくさんあるということに気づいてもらい、野生の力を高められたら」との思いで、たまプラーザぶんぶん電力でイベントをできないかと思案中です。さっそく小枝拾いをしている私の野生の力も高まったかな、と感じるこの頃。
エコストーブを通じて、電気やガスに依存しすぎた暮らしを見直すきっかけを見つけられたら。そして、火を囲んで美味しい食事をする楽しさが伝わればと思います。
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