(text&photo:ながたに睦子)
自然豊かな青葉区寺家町の工房で「雑穀おやつ・焼き菓子 jique-cafe(ジケカフェ)」をたった一人で営む大平奈々さん。そのお菓子は、白砂糖・卵・乳製品を使わず、国産またはオーガニックの材料のみ使用、様々な雑穀を取り入れていることなどが特徴です。
取材の日、私が工房に辿り着くと、香ばしい焼き菓子の匂いが外にまであふれ、それだけで幸せな気分に……。そして扉の中から「こんにちはー!」と、奈々さんが笑顔で迎えてくれました。
工房に入ると、美味しそうに焼き上がったお菓子が出迎えてくれました。週に何日と時間を決め、一人で何種類ものお菓子を焼き上げている奈々さん。この日も朝から大忙しでした。
奈々さんが寺家ふるさと村の自宅兼工房で「jique-cafe」を始めたのは、今から4年前のこと。きっかけは2011年の東日本大震災だったと言います。
「震災のとき、私たち家族は外出していて、やっとのことで帰宅したのです。そのとき、『ああ、明日はどうなるかわからない。それなら、後悔のないように生きよう!』と思いたち、そのときに自分の出来ること、やりたいことは何だろうと考えたら、それはお菓子を作ることだったんです」と奈々さんは語ってくれました。
その後の奈々さんの行動の早さには驚くばかり。すぐさま自宅の一室をリフォーム、保健所に菓子製造業の営業許可を申請し、なんと、2011年の秋には「jique-cafe」として工房を開設していたというのです。
奈々さんのお菓子は、メニューの名前を見ているだけで、「いったいどんな味がするのだろう?」とわくわくするものばかりです。
「天然酵母ひえサブレ」「もちあわ発酵パウンドケーキ」「大豆のベジフロランタン」「ひえ粉の有機いちごヴィーガンタルト」「ざくざくアーモンドキャロブのいなきびスコーン」……。
奈々さんは以前、青葉区もみの木台にあるオーガニック&ナチュラルフードのお店、「たねまき」にて白神こだま酵母や雑穀を使った製パンの技術を習っていたとのこと。
そこで勉強したことが元になり、もっと普段の暮らしにも雑穀をたくさんとりいれて、子どもたちにもたくさん食べてほしいし、雑穀を身近なものに感じてもらいたいとの思いで、「jique-cafe」のお菓子にも雑穀を取り入れるようになったそうです。
「最近は色々な食物アレルギーを持つ子が増えて、市販されているお菓子やパンを食べられないという相談もよく受けるようになりました。アレルギーを持つ子でも安心して食べられるお菓子やパンを作ろうと、材料にはこだわっています。市販品には添加物が使われているものが多いですが、余分なものを削ぎおとしていくと材料はどんどんシンプルになっていくんです」
使用する材料についての話をするときの奈々さんは、笑顔の中にも、真剣なまなざし。
「卵アレルギーのお子さんが私の作ったベジ仕様のメロンパンを食べて、『お母さん! メロンパン、初めて食べられたよ! メロンパンってメロンの味はしないんだねえ……』そんな声を聞いて、本当に嬉しく思ったんです」
その子の顔を思い浮かべながらの言葉だったのでしょうか。奈々さんは本当に幸せそうに語ってくれました。
可愛いプレートに載せられた、出来立ての奈々さんのお菓子たちを私もいただききました。
「ざくざくアーモンドキャロブスコーン」は、砂糖不使用で甘みはりんごジュースだけだというのに、まるでチョコレートのようなこくがあって、一口食べるごとにアーモンドの食感が楽しい! 「天然酵母ひえサブレ」はまるでバターたっぷりのクッキーのようなリッチな風味に驚き、「もちあわ塩パン」は、もっちりふんわりの食感に絶妙な塩気がたまらなく後をひき、あっという間にお皿を空っぽにしてしまいました!
実は私と奈々さん、初対面だったにも関わらず、共通点が多く、取材時間を過ぎても話が尽きることなく盛り上がってしまいました。奈々さんの興味はお菓子作りだけに留まらず、「え、そんなことも?」「こんなことも?」と、様々な引き出しがあって、奈々さんの興味の広さには感心してしまいました。自分のやりたいことや夢中になっていることを、キラキラとした笑顔でお話をしてくれる奈々さんに、私はとても魅力を感じました。多彩な顔を持つ奈々さんの人柄も、きっと「jique-cafe」にお客さんが引きつけられる理由の一つなのだろうと思いました。
また「jique-cafe」の工房から生み出される、素材の持ち味を生かし、それでいてちょっと思いつかないような材料の組み合わせのお菓子たちは、気取らずまっすぐで、でも実は意外性のある奈々さんのキャラクターそのものでは!そんな感想も持ちました。
そんな奈々さんに、これからの「jique-cafe」の夢を聞いてみました。
「いつかはお店を持ちたいと思っています。私のお菓子作りの原点は、自分の母親が手作りのお菓子を作っていてくれたことなんです。なので、お店で地元のものや季節のものを取り入れた「お母さんのおやつ」を作って、子どもたちにたくさん食べてもらいたい。子どもたちがおこづかいを握りしめて買いに来てくれる、そんなお店が持てたらいいなあと思います」
現在、奈々さんのお菓子が定期的に買える場所は、以前に森ノオトでも取材した 青葉区荏田北にあるお店「maaru (マアル)」、そして森ノオトではもうおなじみ、毎月第4日曜日に青葉区鴨志田町で開かれている、「カモカモマーケット」です。「maaru (マアル)」では、いつも奈々さんのお菓子を楽しみに待っている固定ファンもいるようで、並べた途端に即完売のお菓子もあるそうです。
そして今後の「jique-cafe」のイベント出店は、
・2015/3/22(日)「カモカモマーケット」10:00 – 13:00(売り切れまで)
(横浜市青葉区鴨志田町561-1 Cafe Hula-meshi前にて)
・3/29(日)「桜台ハッピーフェス」10:30 – 16:00
(横浜市青葉区桜台25-1 桜台ビレジにて)
・2015/4/18(土)「小野路やまいち」10:00 – 16:00
(町田市小野路2284-1 家具工房KASHO内)
・2015/5/16日(土)17日(日)「Vage&Folk Market」10:00-16:00
(麻生環境センター 小田急線「柿生駅」より徒歩約10分)
など、今後も盛りだくさんです。
奈々さんのとびきりの笑顔と、「jique_cafe」のおやつに出会いたい方、ぜひイベントに出掛けてみて下さいね!
maaruさんへのお菓子の納品日については、直接maaruさんにお問い合わせ下さい。またblogやfacebookページにもイベント情報などが掲載されています。
ぜひご覧ください。
雑穀おやつ 「jique_cafe」 ジケカフェ
facebookページ「雑穀おやつjique-cafeジケカフェ」
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