もともと日本語には、「しろ」「くろ」「あか」「あお」「き」「みどり」「むらさき」などの基礎的な色名がありました。その広いくくりの中で、より細かな色の感覚を互いに確かめるために、言葉を探し、その表現を工夫し、今に残る伝統色があります。
日本の伝統色は繊細な色の変化を捉えてきて、何百種類とあります。その名称はとても詩的な物が多く、自然を愛し暮らしてきた人々の思いを感じとれるような気がします。
例えば、この落ち葉。
私たちは、一言で“落ち葉”と言いますよね。
伝統色では、これを“朽葉(くちば)”といいます。
言葉とは不思議なもので、落ち葉だとせいぜい「拾おうかな」というところですが、朽ち葉と言われると、葉の命を感じ、朽ちたあとは土に還りそのあとは……と、森の中での生き物の循環さえも想像できます。
朽葉色は、平安時代に生まれた感覚で、「朽ち葉四十八色」と言われるほど、種類豊かな名前が残っているそうです。
秋の味覚の栗や柿から生まれた色もたくさんあります。
合成染料が生まれる前は植物を使って色を生み出していたため、染料に由来した色や、植物そのものの色に名前がつけられたりしています。
色づいた葉が落ちた森、木々が枯れ始め冬の訪れを知らせる枯色や枯野色という色があります。草花が枯れた時のくすんだ黄色のような色です。
十二単(じゅうにひとえ)にみられるように、日本には色をあわせる文化がありました。この秋の終わりから冬を表す枯色には、新緑を思わせる緑を合わせ、季節の移り変わりを衣装で楽しんでいたようです。もともと優雅なイメージのある平安貴族は、季節を楽しむことが上手だったようです。
時代は変わって、平安時代と現代の平成では、生活も人々の気持ちも、ずいぶんと異なるでしょう。
それでも、秋になると色づく木々や、それに「きれいだな」と心動かされることに変わりはないことを、とても面白く感じました。
忙しい毎日ですが、季節の移ろいを感じ、去る季節への思いや、来る季節への心準備ができるような生活をしたいものです。
今回、綺麗な写真を撮影してくれた森ノオトのリポーターでもあるおおかわらあさこさんは、自然の中をお散歩するなかで見つけたものを持ち帰って、観察しながらお子さんと楽しんだり、草木や花をドライにして変化を楽しむことも多いそうです(彼女の写真をもっと見たい!という方は、森ノオトに掲載されているあさこさんの記事をチェックしてみてください!)。
これから冬にかけても、冬ならではの色がたくさん見つかることでしょう!!
現代人の私たちも、五感を駆使して、新しい色の名前をあれやこれや、考えてみるのも面白いと思います!
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