ほっこりと体の芯まで温まる お手製“ぬか袋カイロ”
去年の冬あたりから、私のまわりでじわじわ人気の“ぬか袋カイロ”。ほっこりした暖かさで熱すぎず、ぬかのしっとり感と適度な重みが何とも言えず気持ちがよい。そして、レンジで温め繰り返し使えるので、エコなところも魅力です。

ぬか袋カイロは、誰でも作れそうなシンプルな材料と製法です。ところが、なぜかみんなから注文が殺到し、この時期夜な夜なカイロ制作をしている友人がいます。今回、友人の渡邊裕未さんに作り方を伝授してもらいました。

渡邊さんは、私が娘と参加している青空保育ぺんぺんぐさで一緒に活動している、いわゆる“ママ友”です。

彼女は、元々アパレルで服飾デザインを手がけたり、照明や時計といったプロダクトのデザイナーとして仕事をしてきました。4年前に子どもが生まれ、今は仕事はやめ、子育て中心の生活をしていますが、娘さんへの手作りの服や日々の生活の中に手抜きのないセンスの良さが感じられます。私は、時にハッとし、そして時に参考にさせてもらっています。

「子どもが生まれてから、自分の本当に好きな物が作れるようになった」という渡邊さん

その、彼女の作る“ぬか袋カイロ”。

森ノオトの収穫祭でも販売していましたが、その後ぺんぺんの母たちが残ったものを買い占め、そして完売するとその後、大量に注文していました。……この現象は、手仕事が得意で、食材以外には財布の紐が固い(私の勝手な分析ですが……)ぺんぺん母たちにしては稀なこと。

今回、取材を名目に友人に声をかけ、一緒に作り方を教えてもらいました。

まずは、布選び。布は、綿か麻の天然素材で目の詰まっているものがよいそうです。今回、家に眠っている布、サイズアウトした子ども服や着なくなったご主人の服などをみんなで持ち寄りました。

気に入って買ったけれど結局着る機会を逃した子ども服や、母子手帳ケースを自作した時の端切れなど、それぞれの布にストーリーがある

ちなみに、私が持ってきた布は、今12歳になる姪っ子が生まれた時に母が作ったスリングの布です。娘もそのスリングで育ち、すでに解体して娘のブラウスを作ったのですが(私ではなく母が)、さらに残りがあったので持ち寄りました。

集まった布で、それぞれどんな組み合わせで使おうか、思案中

大きさは、特に決まりはないのですが、今回は、約38cm×8cm(出来上がりの寸法)の横長サイズで作ります。このサイズ決めは、「目の上に置いた時にこめかみまでくるように」という渡邊さんのこだわりの部分でもあり、肩凝りや目の疲れに使いやすく、とても好評です。

ぬか袋カイロ一つ分の材料は、米ぬか2合、玄米2合、塩1合。これだけでもよいのですが、今回はぬかの匂いを薄めるためにローリエの葉1枚と、虫除けに唐辛子を1本入れました。

ローリエの代わりにびわの葉など、アレンジしても

まず、米ぬかと玄米、塩を入れて弱火で煎ります。目安は、ぬかが少し茶色く色づき、玄米の香ばしい香りがしてくるくらい。

火を止めて、そこに小さく刻んだローリエと唐辛子を混ぜます。

ローリエなどがあまり大きいと肌にあたった時に異物感が残るので、なるべく肌辺りを優しくするため、小さめに

続いて、袋を作ります。生地は、二重にするため同じサイズで2枚つくります。出来上がりサイズに縫い代分1cm余分にとり、裏表にして三方をミシンで縫います。

縫い糸も、綿100%か絹100%のものを。これは、レンジで温めた時に万が一溶けたりしないように。素材の布が綿や麻など天然素材なのもそのためです。もちろん肌ざわりがよい、ということもありますが。

ひっくり返して袋状になったら、内側になる方は、そこに先ほど煎った材料を入れ、端をミシンで閉じます。

今回は、内側は無地の布でつくり、外側は、自分の布に友だちの布をあわせてみたり、母子手帳カバーを作った時の端切れを同じ柄合わせにして楽しんだり、それぞれアレンジしました。

破れて中身がこぼれるのを防ぐため二重に。

最後、外側の袋を閉じる部分は手縫いで処理します。縫い目はぬかがこぼれないよう、なるべく細かく。渡邊さん曰く「布地の糸2本くらい下を1本ずつとっていって……」

そんな細かいところまで考えながら縫ったことがなく、寄り目になりそうでした。

おしゃべりしながら手を動かすのがまた楽しい。

できあがり!

電子レンジ600-700Wで約2分。30分から1時間程度温かさが持続する

実は、この日の前に自宅で自作してみたのですが、ミシンがなく全部手縫いをしたら肩凝りが悪化し、さらに、材料と分量だけ教えてもらい布の大きさは確かこのくらいだったかと……と適当に作ったら、この日つくった2本がすっぽり入ってまだ余裕ある巨大サイズに。肩にのせると、一瞬気持ちいいけれど、しばらくすると重さでさらに肩が凝りそうというオチが。

みなさま、気をつけましょう。

ちょっと使い方が違うけどね(笑)、気持ちいいなら、まあいっか!

使い捨てカイロは体の表面が温かくなりますが、このぬか袋カイロは、塩とぬかの効果で、しっとり湿気を含んだ熱がじっくりと体の芯を温めます。

米ぬかの香りも、なんだか懐かしいような、ほっとするような。これも一種のアロマだなあ、と感じます。

時々、天日干しをして、長期間使わない時には、カビが生えないように天日に干した後、風通しのよいところに置いておくとよいそうです。

こういうひと手間かけた丁寧な暮らしの時間を大切にしたいなと、改めて思ったぬか袋カイロづくりでした。

今、ファストファッションなど、いくらでも既製品が安く買える時代。

そんな中で、なるべく着心地や肌触りを重視したいと思うと、手作りになるという渡邊さん。

「素材にこだわり、安くても肌ざわりのよいものを選びたい」

渡邊さんの作る服や小物は、愛情たっぷりの母親としての顔の中に、手抜きを一切しない、デザイナーとしての顔をのぞかせています。

 

このぬか袋カイロ、形は細長でない長方形のタイプをめぐる布市の会場と、ウェブショップにて販売しています。
秋冬の期間限定で、数に限りがあるので、自作はあきらめるけど使ってみたい!という方はお早めに。

 

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この記事を書いた人
齋藤由美子ファクトリー事業部マネージャー/ライター
森ノオトの事務局スタッフとして、主にAppliQuéのディレクションを担当。神々が集う島根県出雲市の田舎町で育ったせいか、土がないところは落ち着かない。家では「シンプルな暮らし」関連本が十数年にわたり増殖中。元アナウンサーで、ナレーターやMCとしての顔も持つ。小6女子の母。
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