「まちの近くで里山を生かす仕事づくり」取材レポート1
グループワークのお題は二つ。「まちの近くで里山を生かすシゴトづくりってどう?」と「次回みんなで考えたいこと」
普段わたしたちが愛で、遊んで、親しんでいる緑の環境を守ってきた人たちが一堂に会し、里山のこれまでを知り、これからを考える。1月13日、20日と2週連続で行われるワークショップのレポート第一弾です。

「まちの近くで里山を生かす仕事づくり」ワークショップは、都市近郊の里山で、小さくとも自立した地域経済を成り立たせて、現代的で持続可能な共生社会のモデルをつくっていくためのキックオフイベントです。この2回のワークショップで終わりではなく、ここから仕事をつくり、活動を持続、発展させるためのプラットフォームづくりを目的としています。

会場の横浜市市民活動支援センターには総勢70名もの方が集まり、里山ではたらくことへの関心の高さが伺える。進行は、よこはま里山研究所(NORA)理事長で恵泉女学園大学現代社会学科准教授の松村正治さん

会場の横浜市市民活動支援センターには総勢70名もの方が集まり、里山ではたらくことへの関心の高さが伺える。進行は、よこはま里山研究所(NORA)理事長で恵泉女学園大学現代社会学科准教授の松村正治さん

里山保全の活動は1990年ごろから全国的に盛んになり、だいたいその当時30代40代で活動をはじめた方が今では60代、70代を迎え、次世代への引き継ぎが課題となっています。一方で、今20代、30代で新しく里山に関わる活動をはじめる方も増えてきています。会場を見渡しても世代、男女比ともほどよく入り混じり、想像していたより若いエネルギーが満ちている感じでした。

 

最初に横浜での森づくりの歴史をざっとふりかえり、今回の話題提供者である、NPO法人森づくりフォーラム理事で西多摩自然フォーラム代表の久保田繁男さんと、NPO法人日本の竹ファンクラブの平石真司さん、イベント主催のNPOよこはま里山研究所(NORA)主任研究員でNPO法人新治里山「わ」を広げる会の吉武美保子さんの3名のお話と質疑応答の後、各テーブルでグループワークをして、話し合った内容を最後に発表します。

久保田さんが「活動で一番困るのが、定年退職後に企業の中にいた感覚のままでくる人。市民活動は早めにはじめるべき」と力説すると、会場から共感の声がもれた

久保田さんが「活動で一番困るのが、定年退職後に企業の中にいた感覚のままでくる人。市民活動は早めにはじめるべき」と力説すると、会場から共感の声がもれた

市民参加の森づくりが始まった当初は、里山作業後のビールがうまいよ、という誘い文句で! 人を巻き込んでいたそうです。2000年代に入ると里山保全に加えて生物多様性ということが言われるようになり、木を伐採するばかりでもいけない、どんな森にしたいかをイメージして計画をたてるのが大事だという風に変わってきました。2010年代に入ると、担い手の不足が叫ばれるようになりましたが、一方で福祉や教育に関わる団体や、企業が入ってくるという動きも出てきています。また、行政に頼って活動をしていると、伐採した木を利用したくても、林=財産となるため、公共の場のものを特定の団体の所有にして良いのか? という問題がでてきました。森づくりに関わる多様な主体とのコミュニケーションが必要とされる時代なのでしょうか、今日のこの会の意義が感じられました。

平井さんは「40代のころから二足のわらじでずっと活動を続けているが、週末に森林に入るとリフレッシュして会社へいくのも楽しくなるので、仕事に影響することはない」と元気!

平井さんは「40代のころから二足のわらじでずっと活動を続けているが、週末に森林に入るとリフレッシュして会社へいくのも楽しくなるので、仕事に影響することはない」と元気!

日本の竹ファンクラブは、都筑区に拠点があり以前から気になっていた団体なので、いずれ改めて取材したいものです。厄介者の竹を伐採して環境保全をするだけでなく、竹を扱う団体で日本一になると決め、早くから戦略的に活動してきたので、いまでは各地に支部があり、竹取協力隊による竹林作業、たけのこ祭りや竹灯籠まつり、出前講座や竹細工の販売など多角的に活動しています。今後は、さらに竹の付加価値を高めて6次産業化し、好きなことをやってそこそこの収入を得る実利型の会員制度をつくっていくとのことで、都市部の里山で働くモデルが既にできつつあるようです。

「自然や農がただ好きでやってきた」「緑があって人も動物もいる状態を目指したい」という吉武さんのシンプルなことばも印象に残った

「自然や農がただ好きでやってきた」「緑があって人も動物もいる状態を目指したい」という吉武さんのシンプルなことばも印象に残った

 

グループワークのお題は二つ。「まちの近くで里山を生かすシゴトづくりってどう?」と「次回みんなで考えたいこと」

グループワークのお題は二つ。「まちの近くで里山を生かすシゴトづくりってどう?」と「次回みんなで考えたいこと」

 

各自模造紙に意見をどんどん書き込み広げてからまとめていく

各自模造紙に意見をどんどん書き込み広げてからまとめていく

 

「次回みんなで考えたいこと」で各グループから出た意見は、大まかにわけて以下の4つに分けられるようでした。

・学校をつくる(担い手育成・環境、作業の知恵の共有・移住の促進)

・お金に頼らないくらしやコミュニティの形成(シゴトとは?を模索)

・エリアコミュニティと里山をつなぐ(全体を俯瞰する)

・自立支援のあり方(行政の立場から)

昨年、わたしもエコストーブづくりを始めて、近所の早野聖地公園里山ボランティアの方々とも知り合い、寺家にある無添加住宅のショールームグリーンピースでペレットをつくる機械(ペレタイザー)を見せてもらったりと、小さくても燃料確保の場として、また人が集い育つ場として里山をネットワークしていけるといいなあと思っていたので、大変興味深いワークショップでした。

次回は若手の活動家の話をもとに、どんな展開になっていくのか?

レポート第2弾でお届けします。

Information

ワークショップ「まちのちかくで里山を生かすシゴトづくり」

次回1月20日の話題提供者

・小出仁志さん(NPO法人ナチュラリングトラスト副代表)

・伊藤博隆さん(認定NPO法人自然環境復元協会)

・塚原宏樹さん(一般社団法人まちやま代表理事/NPO法人神奈川シニア自然大学校理事)

・高澤愛さん(NPOフュージョン長池/多摩市グリーンボランティア森木会)

・船木翔平さん(株式会社FIO代表取締役)

主催:よこはま里山研究所(NORA) http://nora-yokohama.org/

協力:株式会社かんぽ生命保険

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この記事を書いた人
梅原昭子ライター
引き算の編集が好きです。できないこと、やりたくないことが多過ぎて消去法で生きています。徒歩半径2キロ圏内くらいでほぼ満ち足りる暮らしへの憧れと、地球上の面白い所どこでもぶらりと行ける軽さとに憧れます。人間よりも植物や動物など異種から好かれる方が格上と思っている節があります。
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