鶴見川流域センターは、治水や防災のことから自然のしくみや生き物のことまで、年齢問わず楽しく学べる施設です。お話し会、工作、自然観察など土日は何かしらイベントが行われています。JR横浜線の小机駅から徒歩約7分、鶴見川流域センターは新横浜元石川線沿いに建っています。私が伺ったのは春休み直後の平日だったので、スタッフさんのお話を聞きながら、静かにじっくり見てまわることができました。
展示室フロアの真ん中には、衛星写真でつくられた巨大な流域地図が広がっています。全長42.5km、源流の町田から、横浜、川崎のまちなかを、たくさんの支流の水を集めながら東京湾に流れる鶴見川の一帯を、鳥になった気分で眺めることができます。
原野が切り拓かれて市街化が進むと、大地がコンクリートで覆われ、雨をためておく保水力がなくなります。鶴見川はかつて暴れ川と言われて、特に市街化が進んだ昭和40年代以降、下流のまちは度々洪水の被害に見舞われてきました。そのため行政区を超えて、国土交通省と、東京、川崎、横浜で協力して、川の一帯の治水、防災につとめようという体制がつくられました。
森ノオトエリアは、源流から中流にあたり比較的標高が高い土地なので、そこで雨が大量に降ると、下流のまちに洪水を引き起こす可能性があります。それを防ぐために、水を一旦貯めておく遊水地が計画的につくられています。川というと左右の岸を分ける、分断するイメージが強くありましたが、山沿いのまちから海沿いのまちをつないでいるものでもあることを改めて感じました。
実は、鶴見川流域センターの隣にも遊水地があり、貯水機能を持たせるために計算してつくられています。一定の水位を越えると一段低くなった堤防から鶴見川の水が入り、水位が下がったら放流門を開け遊水地に貯まった水をゆっくり川に戻していくしくみになっています。おかげで、大量の雨が降っても、大規模な洪水の被害が起こらずに済んでいるのですね!
鶴見川沿いには、市民や企業による自然保護団体や、川遊びの会が各地にあり、それら41の団体が横につながって、NPO法人鶴見川流域ネットワーキング(通称TRネット)という組織として連携して活動しています。流域の形がバクに似ているということから、バクがマスコットキャラクターになっています。
4月末から10月にかけては、毎年恒例のスタンプラリーが始まります。各地の拠点をまわってスタンプをもらうとポイントに応じてグッズがもらえて、治水や防災、自然のことも知って賢くなれる、楽しい企画です。近いところだと、市が尾駅近くの田園都市線鉄橋下、市が尾水辺の広場、鉄町高水敷でもスタンプがもらえます。スタンプラリーは平成16年に策定された「鶴見川流域水マスタープラン(通称:水マス)」を市民に広く知ってもらうための取り組みです。水マスって何だろう? と気になった方、ただただ川遊びが好きだという方も、まずは鶴見川流域センターを訪ねてみてください。源流から下流までたどってみると、足元の地球とわたしの暮らしとの関係が、ちょっと変わってくるかもしれません。
akko’s eye
あおば川ガール森ガールになろう!の企画や、ひろたりあん通信の宮澤高広さんをガイドに川沿いを歩くツアーが気になりながら、なかなか参加できずにいたワタクシ。今回の取材を経て、身近な川への親しみが増し、幼い頃に川遊びをしたかすかな記憶もよみがえりました。流域思考という考え方で自然環境も人間のいのちも守ろうと提唱し、活動を率いてきたTRネットの代表、町田にお住いの岸由二さんのおはなしも、また別の機会にお届けしたいと考えています。
鶴見川流域センター
住所:横浜市港北区小机町2081
電話:045-475-1998
開館時間:10:00-17:00(休館日:火曜日、年末年始)
入館無料・駐車場もあります。※小学生3年生以下は保護者同伴
http://www.ktr.mlit.go.jp/keihin/keihin00490.html
生活マガジン
「森ノオト」
月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる
森のなかま募集中!