自宅から買い物先へ毎日のように通る道の途中に、いつも珈琲のいい香りが漂う、少しレトロな佇まいの珈琲豆屋さん「ビーンズすすき野」があります。
気になってはいたものの、珈琲を飲む機会の少ない私はただ通り過ぎる日々。でも、ある時ふと看板に「焼きたて アーモンド ピスタチオ カシューナッツ」と書かれているのを見つけたのです。ナッツが大好きな私は何の迷いもなくお店の扉を開けました。
“カランカラン”と、お店の見た目を裏切らない、懐かしさを感じるドアベルの音。
迎えてくれたのは、どこか親しみのある笑顔のご夫婦でした。
その日からビーンズすすき野のナッツの大ファンになった私。
食べるたびに幸せな気持ちになれるナッツを焼いているあのご夫婦は、いったいどんな人なんだろう? と、私の好奇心スイッチが入りました。
マスターの高橋保夫(たかはしやすお)さんと奥様の啓子(けいこ)さん。
お二人は高校の同級生で、出会って55年になるそうです。
18歳から会社を立ち上げ、これまでも色々な仕事をされてきたという、なんともアクティブな保夫さんが、知人に勧められて珈琲焙煎の勉強をし、3年間珈琲店で修行をした啓子さんを誘って始めたのが今のお店だそうです。
平成6年に創業してからの2年間は、保夫さんはそれまでやっていたダイビングショップとかけもちしていたんだとか!
実は、2つ並んだ看板に小さく書かれていたマリンレジャーの文字が気になっていた私。謎は解けました(笑)。
「主人は自分の遊びを仕事にできる才能の持ち主なのよ」という啓子さんの言葉に、にやりと笑う保夫さん。そんなお二人のやりとりにほっこりさせられます。
取材中、お店に来るお客さんと家族のように会話をする保夫さんと啓子さん。
「うちは親しみを込めてお客さんを名前で呼ぶの」(啓子さん)
オープンして22年、今も常連さんとして来てくれるメンバーの方は4000名近くいらっしゃるそうです。そして、書ききれないほどの、心温まるお客さんとのエピソードをたくさん聞くことができました。どのお話もとても大事そうに、きっとその方の顔を思い浮かべているのでしょうか、お二人とも柔らかく優しい表情でうなずきながら教えてくださいました。
「はじめて来てくれる方が、話し好きか無口な方かの見極めは難しいけれど、出会うということが大事だからね」
お客さんを家族のように想うこと。創業当時からほとんど変わらない価格や、仕入れた珈琲豆とナッツも全てハンドピックで、良い豆と粗悪な豆を選別するという手間も、全てはこのお店に来るのが楽しみだと言ってくれるお客さんのためなのです。
その愛にあふれる言葉や気持ちは、しっかりと珈琲とナッツの味が伝えてくれます。
「昔はスケジュールも住所録も全て頭の中にあって、記憶力には自信があったのに、今はねー」と笑う保夫さん。
レジの横には何かがたくさん書かれたメモ用紙が貼られていました。
書かれているのは、ママやパパになった常連さんのお子さんの誕生日やお名前でした。まるで自分の孫のように、たくさんの孫の大事な日を忘れないようにとメモを残しているのを見て、身近に身内のような温かさをくれるお店があることをとても嬉しく思いました。
美味しい珈琲を飲みたくなったら、香ばしくほんのり甘いナッツが食べたくなったら、優しい笑顔で迎えてくれる「ビーンズすすき野」の扉を”カランカラン”と鳴らしてみてください。
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珈琲自家焙煎店 ビーンズすすき野
住所:神奈川県横浜市青葉区すすき野2-1-11
tel:045-903-1089
fax:045-903-1093
営業時間:10:00?18:30(ラストオーダー18:00)
定休日:毎週月曜日(祝、祭日は営業、翌日火曜休み)
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