チューリップの和名は「ウッコンソウ(鬱金草)」。
鬱金とは「鮮やかな黄色」を意味するそう。
北アフリカ〜地中海沿岸〜中央アジアで咲いていたと考えられており、15〜16世紀頃にヨーロッパに持ち込まれてから、上流階級で熱狂的なブームが起き、品種改良が多く行われたそうです。
品種改良を重ねた園芸種は、かつては8,000種もあったとか。
日本では2,000種以上が品種として登録されており、そのうち生産されているのは150種前後だそうです。
生産地では新潟と富山が有名です。
シーズンともなると、全国各地でチューリップのお祭りが開催されていて、じゅうたんのように遠くまで続く、赤黄ピンク、色とりどりの光景を楽しめます。
チューリップの咲き方には多くの種類がありますが、花屋でよく見かける咲き方はこの4種類。
他にも、パロット咲きやスパイダー咲きなど、咲き方にも個性があります。
原種系のチューリップは園芸種のものに比べひと回り小さく、可憐で山野草のような雰囲気があります。
花言葉は「思いやり」。
色によって、本によっても異なりますが、特に赤色のものは「愛の告白」だそう。
今回はそんな魅力いっぱいのチューリップの水あげ方法とご自宅での飾り方のポイントを、わたくし板垣が、ご紹介いたします。
【【水あげ】】
花屋では、市場で花を仕入れたあともイキイキと咲き続け、長く楽しめるように、それぞれの花にあった「水揚げ(水あげ)」処理をし、再び水を吸わせます。
チューリップは他の草花よりも水あげ方法がシンプル。
お店で買ってきた場合は、よほどのことがない限り水が下がりませんが、万が一花首がだらんとしてしまっていたら、花首をまっすぐにして新聞紙や包装紙で全体を固めに覆い、切り口を花ばさみやカッターで切り、すぐに水を張った器に入れます。
切り口は斜めでなくても大丈夫です。
また、茎を水に入れながら切り戻す(水圧を利用する方法)が良いといわれますが、すぐに水に浸ければ問題ありません。
水の量は茎が全体の1/3くらい水につかる位で、多くなくても大丈夫です。
だいたい2時間位で、全体がピンとしてきます。
次に、下の葉を1〜2枚取ります。
葉が多くなるほど蒸散にパワーと取られてしまい、花が長持ちしなくなると言われています。
まずは剪定バサミや花ハサミで軽く(ポイント!)ぐるっと切れ目を入れます。
切れ目から、葉をキレイにとります。
切れ目を入れずに葉を取ることもできますが、切り口がボロボロとしたり、茎の表面を剥いでしまうこともあるため、ハサミを使って丁寧に取るほうがおすすめです。
これで、飾る前に長持ちさせるための前処理が終わりました。
買ってきた花をそのまま飾っても問題ありませんが、葉を取ったり、切りもどす作業をすることが長持ちの秘訣にもなりますので、その時の状態をよく観察してみてくださいね。
【【生ける】】
わたし自身、花の飾り方に決まりはないと思っていますが、花が映える飾り方のひとつをご提案します。
チューリップのフォルムは茎のすっとやわらかいラインが美しいので、それを生かすような生け方がおすすめです。
茎の長いものは写真のように花首が垂れるので、口元が広がった花器の方が飾りやすいです。
チューリップは水が下がりやすい種類ではないので、花器の水は多くなくて大丈夫。少し白濁したら変えてください。
ただ、カーネーションやかすみ草などと一緒に飾ると、花自体も水もいたみやすくなるので、水が濁ったらその都度変えてください。
チューリップを観察していると、花首が陽を求めて花首が動いたり、花弁がふわっと開いたり、夜になるといつの間にか閉じていたり、茎がぐぐっと伸びたり……毎日違う姿をみせてくれます。
変化する姿も、チューリップを飾る楽しみのひとつです。
飾る場所が暖かいと早く咲ききってしまうので、
長く楽しみたい場合は涼しい場所がおすすめです。
新鮮なものであれば、2週間は楽しめます。
チューリップは残念ながら水分が多いため、ドライフラワーには不向き。
飾っているうちに、花色が薄くなってしまいますが、枯れた! とすぐに捨ててしまうのはもったいない!
最後の最後まで、花弁がギリギリまでひらいて落ちそうな姿もまた美しいですよ。
その「名残の姿」をぜひ見てみてください。
慌ただしい生活の中で、花を生ける作業はなかなかとれないかもしれませんが、チューリップなら、たくさん買ってぎゅっとまとめてるだけでもよし、数本をラフに飾ってもよし、1輪でもよし……。花器に合わせて選んで飾るのもよし、ぜひ生活の中の楽しみとして生けてみてくださいね。
【【さいごに】】
そもそも私自身は、花とは全く関係ない仕事をしていました。
都会で肩肘張って必死に生きていた20代、ある時を境に心身を壊し、食べることもままならない日々が訪れました。
そんな折、癒しの時間を得るのが目的で通い始めたフラワーアレンジメント教室。
間違いなく「花」はギュッと固く小さくなった私の心を癒してくれました。
あっという間に夢中になり、結局、生け花や投入れ、和洋色々な花教室を渡り歩き、観葉植物や園芸の講習に通うまでに……。
最終的には、もっと知りたい! さわりたい! と気持ちが抑えられず、花屋に飛び込んだのが、花をなりわいにするはじまりでした。
現在自宅では、庭の伸びすぎたハーブや剪定したバラや、植えた草花を少しだけ拝借して飾っていますが、お店でも買える身近な花で、簡単に、素敵に見える飾り方を提案できたらと思っています!
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