(text&photo:ながたに睦子)
フクダカヨさんのお宅を取材することになったきっかけは、編集会議でのこんな会話からでした。
「小学校にいくとプリント類や作品やらどんどんたまって、どう整理してよいかわからない……」
「子どもの写真も全然整理できずパソコンに入ったまま……」
森ノオトのライターの中には、幼稚園や小学生の子どもを持つ母も多いのですが、子ども関係のものの整理収納に悩んでいるという声が、毎回編集会議の話題に上ります。
「そもそも、みんなランドセルって置き場決まっている?」
「ランドセルといえば、フクダカヨさん! フクダカヨさんのお宅を取材させてもらったらどうだろう?」(フクダさん一家は、パートナーの入江英樹さん撮影の写真が、某ランドセルカタログの表紙や特集で使われているので、知る人も多いはずです)
以前から、フクダカヨ絵日記の大ファンでもあった私は、「はーい! いきまーす!」と率先して手をあげ、念願のカヨさん宅の取材をさせてもらうことになったのでした。カヨさんと私は、実は共通項がたくさんあって、イラストレーターであること、バースあおばで出産したこと、そして大学の先輩だったりと、ひそかに憧れていたのでした。
取材当日は、カヨさんだけでなく、絵日記のメインキャストである小春ちゃんと夏乃ちゃん、そして「入江ちゃん」こと、パートナーの英樹さんが、家族そろって迎えてくれました。
カヨさんのお宅に入って、まず目についたのは、壁中に飾られた、写真やお子さんの作品の数々。英樹さんが撮ったノスタルジックな風景写真や、愛らしい小春ちゃん、なっちゃんの写真はもちろんのこと、お子さんの保育園時代からと思われる、たくさんの作品が、リビングの壁を埋め尽くしていました。
「飾ってあるもの、自由に見て下さいね〜! 階段も2階も遠慮なくどうぞ!」
絵日記ではちょっとおとぼけキャラですが、本人はとってもチャーミングなカヨさん。私の緊張をほぐしてくれる笑顔で、ニコニコと声をかけてくれました。
お言葉に甘え、2階にも上がってみると、言葉通り、階段にもたくさんの写真や作品! 家族写真が素敵なのはもちろんですが、カヨさんが選んで飾ってあるお子さんたちの作品がまたとっても素敵で、思わず足をとめて、じっくりと眺めてしまいました。
一見、無造作に飾られている作品たちですが、その飾り方には、カヨさんのセンスを感じます。
「子どもの作品って、なんともいえない味があるものが多いから、私が気に入ったものはインテリアとしていいなあと思って、どんどん飾ってしまうんです。飾らないものも、すぐには捨てず、気に入ったアンティークの鞄の中に閉まっておきます。子どもにも私にもピンとこないものは、いつの間にかなくなっているかな……(笑)」
「子どもの学校のプリントなどはどうしていますか?」と聞くと、こんな答えが。
「基本的に、一読して理解したら、よっぽど大事なもの以外は捨てます! そうでないと、どんどんたまるので。テストなんかも、最初はとっておいたんですけど、見直すこともまずないので(笑)。時々、大事な書類も捨てちゃって、ハッ! となることもあるんですけど、そんな時はお母さん友達に聞いてなんとかなります! 残しておく書類は、ざっくりとお気に入りのカゴに入れています」
いつも子どものプリント整理に四苦八苦し、書類探しにかなりの時間をとられている私は、うなずくことばかり。
ところで、カヨさん宅では、ランドセル置き場はどうしているのでしょう?
「ランドセルは、平日はリビングのキリムのラグが敷いてある場所に置く、というルールだけ決めています。休日は来客などもあるので、それぞれ子ども部屋に持っていくようにしています」
「このスペースからはみ出さなければ、どんな風に置いても構わないので、帰ってきてからここにバーンとランドセルが置いてあっても、全然気になりません。最初は子ども部屋に持っていくようにしていたんですが、けっこう重いランドセルを毎日2階まで持って上がるのは大変だな、と。だったらリビングに置きっぱなしでもいいんじゃないか、そのかわり置く場だけは決めておく、この方法にしたら、私にも子どもたちにもストレスがなくなりました」
わが家では、子ども部屋の一角に長女のランドセル置き場を決めているものの、1階のソファーの上にどーんと置かれていたり、玄関に置きっぱなしで、こらー! と私のカミナリが落ちることもあるのですが……。確かにカヨさんのように大らかなルールを決めたら、気持ちが楽になりそうです。
続いて、子どもの写真の整理はどうしているのか聞いてみると、カヨさんの絵日記とはまた違う目線で、家族の写真を「イリエフォト日記」としてブログで紹介している、英樹さんが答えてくれました。
「基本的に、僕が撮った写真は、全部プリントしています。今はデジタルカメラになってしまったけれど、アナログカメラのときから、全部現像するつもりで撮影しているので、失敗作とかはないですね」
全部プリントとはすごい!と感心していると、「写真見ますか?」と、2階に案内してくれました。
続いて、子ども部屋も見せてもらいました。
小春ちゃんとなっちゃんの子ども部屋は、二段ベッドで仕切られていました。仲良し姉妹ながらも、お互いプライベートスペースは大切なようです。
なっちゃんの使っている机が素敵だなあと見惚れていると、「これは、祖父、父、私と受け継いで、夏乃で4代目です」とのこと。カヨさんのお宅には、代々受け継いで長く使われているものや作家の一点ものなど、こだわりのものが多くあります。
キッチンの食器棚はアンティークの水屋箪笥。お雛様が収納されているのは、カヨさんのひいおばあ様から受け継いでいる長持。友人にオーダーした本棚やダイニングセットなど、「大好きなもの」に囲まれています。
そんな中に、お子さんの作品やお気に入りの雑貨などがさらっと飾ってあり、素敵なインテリアに自然に馴染んでいました。
「捨てる、しまう、飾る」のルールをきっぱりと決め、こだわりのものに囲まれて暮らす、フクダカヨさんの暮らし。子どものものがあふれ、片付かない部屋にため息ばかりの私には、カヨさんのような、子どもの作品もインテリアの一つとして素敵に飾ってしまうセンスの良さと、片付けのルールを決めすぎない大らかさはとっても魅力でした。
そんなフクダカヨさんと入江英樹さんご家族は、4月15日(土)〜23日(日)まで、浅草橋の「ルーサイトギャラリー」にて、グループ展「おうち、」に参加します。なんと、この展示は2006年から12年も続く展示とのこと。カヨさんはイラスト、英樹さんは写真の展示をします。私が以前に森ノオトで取材したmiyaozno spoonの宮薗なつみさんも参加します。カヨさん曰く、会場の古民家を改装造したギャラリーがとっても素敵で、アンティーク好きにはたまらないとのこと。森ノオトエリアからはちょっと遠いですが、下町のお散歩がてら、出かけてみて下さいね。
フクダカヨ絵日記
日時:2017年4月15日(土)〜23日(日)10:00〜18:00(最終日17:00)
会場:ルーサイトギャラリー
〒111-0052
東京都台東区柳橋1-28-8
TEL 03-5833-0936
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