歌と踊りとユーモアで、地域を盛り上げる!杉本周子さん
7月に都筑公会堂で公演される育児を題材にしたミュージカル「IKUMINS」(イクミンズ)。実は今回で3回目となる都筑区で人気のミュージカルです。「IKUMINS」主宰の杉本周子さんにお話を伺うと、育児をしながら地域で楽しく生きるコツにあふれていました!

IKUMINS」を主宰する育児ミュージカル実行委員会委員長の杉本周子さんは、自身も中学生と小学生の3人のお子さんを持つお母さん。自らの育児体験を元に「IKUMINS」の企画・脚本・演出を手掛けています。

「第1回目の公演の時は出演者を集めるのが本当に大変でした。とにかく友人にメールを送りまくりました!」そう笑って話す周子さん。

IKUMINS」は、2013年に第1回、2015年に第2回公演をおこない、公演を重ねる度に観に来たお客さんの中から「私も出たい」と出演を希望する人が増え、今回の第3回公演では大人と子どもの出演者を合わせると100名を超える規模になります。

出演者のほとんどがプロではなく、演劇経験のない素人で、まさに今、育児中のお母さんと子どもたち。

「とにかくお客さんだけではなく、出演者にも楽しんでもらいたいんです! 多少経験の差があっても、みんなそれぞれが見せ場を持てるようにと、こだわって脚本づくりをしています」と、周子さん。

 

「IKUMINS」の稽古を見学。中には小さなお子さん連れや赤ちゃんを抱いて稽古に参加するお母さんの姿も

 

稽古中、出演者の皆さんはもちろん真剣。でも、歌って踊る様子はなんだかとても楽しそう! 観ている側まで不思議と楽しい気持ちになります

 

劇中の曲は全て周子さんが作詞し、作曲は周子さんの夫が担当しているのだとか! 同じく育児中の私も共感して思わず笑ってしまう場面も

 

周子さんは結婚前、劇団「ふるさときゃらばん」に所属し、日本全国を巡業して回っていました。当時は演者だけでなく、舞台づくり全てを自分たちの手でおこなっていたため、劇団員時代の経験が現在の活動につながっているといいます。

その後、結婚、第一子妊娠。「妊娠中は舞台には出られなかったけれど、妊娠生活がすごく面白かった! だから、出産したら妊婦時代の出来事を題材にミュージカルをつくりたいと思っていました」。そう話す、周子さん。

 それまでは他の人が作った舞台に出演者として出ていましたが、なかなか自分が思うような役もないし、出番も少ない。だったら、自分で舞台をつくるほうに回ってみるのも楽しいのでは? と思い至り、第一子出産後「NIMPEES(ニンピーズ)」という、妊娠生活を描いたミュージカルを制作し、2004年と2005年に都筑公会堂で2回の公演を成功させます。

その話を聞いて、周子さんは本当にパワフルウーマン! と、驚いてしまいました。当時、赤ちゃんを抱えた状態で、一からミュージカルをつくってしまうなんて。本番までの稽古に加え、会場の手配や、告知、集客、運営などを全部自分でやったということですよね?! と、私が驚いていると……「自分でもよくやったと思うわ~。若かったしね~」。そう言って、笑い飛ばします。

NIMPEES」の公演後、第二、第三子を妊娠・出産。3人のお子さんの育児が始まり、第1回目の「IKUMINS」の公演まで、約8年間ミュージカル制作からは離れますが、周子さんはその間も舞台での経験を活かした司会やステージ運営などで、地域のイベントに積極的に参加していたといいます。

「まだ子どもが一人だった頃、子どもと二人で行ける場所が近所のえだきん商店街(荏田南近隣センター商店街)しかなくて、そこで都筑クラブのステージ運営スタッフ募集のチラシを見つけて、すぐに応募しました」と、周子さん。

都筑クラブとは、毎年春に開催される「センター北まつり」のステージや、毎年夏にセンター南駅前のすきっぷ広場で開催される「星空のコンサート」という野外クラシックコンサートの運営などを、ボランティアで支える都筑区内でも歴史ある団体の一つで、現在では、周子さんが会長を務めています。

他にも、周子さんは都筑区荏田南地区在住であることから「荏田みなみ」というペンネームでミュージカルの曲や脚本を発表したり、えだきん商店街公式キャラクターのPR活動を行う「えだきんぎょ応援団」の代表を務めていたりと、ユーモアたっぷりに地元を盛り上げています。

 

昨年は全国ゆるきゃらグランプリにも出場を果たした「えだきんぎょ」ちゃん。LINEスタンプもあります!(写真提供:杉本周子さん)

 

また、昨年は自治会副会長、また過去には、幼稚園の父母の会会長や町内会の子ども会会長などなど……地域の様々な場面でも要職を経験してきた周子さん。

「よくみんなに何を目指しているの? 選挙に出馬するの?(笑)とか言われるのですが、全然そういうつもりはなくて。ただ、人前で話すのが得意なだけなんです。でも地道にコツコツ縫い物するとか、そういうことは苦手! 逆にそういうのが得意で好きな人もいますよね。みんなそれぞれが、得意なことで地域活動に参加すればいいと思うんです」(周子さん)

人一倍パワフルで、あらゆる場面で会長や代表を務める周子さんをつい「特別な人」だと思ってしまいますが、周子さん曰く「得意なことをしてきただけ」だと言います。

「勇気を出して地域の活動に飛び込んだ分、自分にとってプラスになるものが絶対あると思います。それは人との出会いやつながりですね」と周子さん。

得意なことで地域の活動に参加する。そうすることで自分も地域ももっと豊かになるのかもしれません。

代表職に就くと、あらゆる場面で「挨拶」を求められることが多くなります。そんな時、周子さんは形式張らずに、必ず得意の歌や踊りを交えて挨拶をするといいます。

横浜市長の前でも歌って挨拶をした経験があるのだとか!

取材中、終始笑いを交えて楽しくお話ししてくれた周子さん。私もずっと笑いっぱなしでした。きっとこうやって、「IKUMINS」制作や地域活動の場面でも常に周子さんの周りは笑顔であふれているのだろうなあ、と思いました。

IKUMINS」の公演の中で『花のPTA』という小学校のPTA活動を楽しく紹介した曲があります。周子さんは「ネガティブに受け取られやすいPTA活動のイメージを変えたくてつくった」と言います。

 

4月末のセンター南まつりのステージで『花のPTA』を披露した「IKUMINS」の皆さん。ボンボンを持って華やかに踊るようす(写真提供:杉本周子さん)

 

一見、みんなが大変そうに感じる自治会やPTAなどの地域活動も、周子さんは得意の歌と踊りとユーモアで、どんなシーンも楽しく変えていってしまう! そんな風に感じました。

「自治会の活動もミュージカルの題材にしたら面白いのでは?!と思っていたのだけれど、やっぱりちょっと内容が重たくなってしまうかな……(笑)!」(周子さん)

7月に3回目の公演を迎える「IKUMINS」。今まで私は残念ながら観る機会がなかったのですが、今回はぜひ観に行きたい! 取材を通して、本番がますます楽しみになりました。「今後は、都筑区だけではなく、他の地域でその地域の人たちが出演者となる“NIMPEES”“IKUMINS”の公演を広めていきたい」とも話していた周子さん。

周子さんの脚本が地域を超えて羽ばたいていくのは、笑顔あふれる地域が広がっていくこと、なのだと思います。

ぜひ読者の皆さんも7月は都筑公会堂に足を運んでみてくださいね!

 

 

Information

育児ママ達による育児ミュージカル

IKUMINS3(イクミンズ)~育児クエスト、子育て勇者ここに現る!!~」

日時:2017722日(土)1530

   7月23日(日)1200~/1530

入場料:大人、子ども一律999

HP: http://bwave.biz/ikumins/

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この記事を書いた人
持田三貴子ライター卒業生
樹木医で造園業3代目の夫とともに、都市生活に森のような循環を生み出すべく、Earth Worksという夫婦ユニットとして活動中。結婚を機にナチュラルなライフスタイルにどっぷり浸かり、いつの間にか3児の母に。横浜市都筑区で夢の民家暮らしをスタート、「竹隣庵」と名付け住み開きを目指している。
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