和!?菓子の「ブラウニー」と北欧の妖精「ブラウニー」
チョコレート味の焼き菓子「ブラウニー」。日本に昔からある食材を使って新しいブラウニーを作ってみましたよ。そして、同じ名前の妖精が北欧の民話の世界にもいるのだとか。和食材の「ブラウニー」と妖精の「ブラウニー」。どちらもお楽しみください。

お菓子の「ブラウニー」

まずは、お菓子の「ブラウニー」の世界へ。

みなさんが好きなブラウニーはどんなタイプでしょうか。

スポンジケーキに近いふわっとタイプ、しっとりとした濃厚なタイプ、はたまたチーズとチョコレートのマーブルになったタイプ……。

アメリカ生まれのブラウニーは各家庭にそれぞれのレシピがあると言われるほど、バリエーションが豊富なチョコレートをベースにした焼き菓子です。

私が慣れ親しんでいるブラウニーは、スポンジケーキよりはどっしりと、クッキーよりはふわっとした食感で、くるみがたくさん入っているものです。私が子どもだった頃、母がどこからか作り方を聞いてきて「これ、簡単でいいのよ〜!」とオーブンの天板で大きなブラウニーを焼いてくれたものです。学校から帰ると、部屋中に広がる甘い香りで、一瞬にして幸せな気持ちに包まれたことを思い出します。

 

さて、これからご紹介するブラウニーは、小豆、甘酒、きなこといった日本で昔からなじみのある材料をメインにした「ジャパニーズ・ブラウニー」です。

素材の味を楽しめるようにほんのりココア味。甘酒の優しい甘さ、小豆の食感、きなこの香ばしさが、調和を保って影で支えてくれています。和菓子の材料なのに、洋菓子風になるから不思議です。

この「ジャパニーズ・ブラウニー」、濃厚なブラウニーとはタイプが違いますが、食べ飽きないおいしさです。お通じもよくなりそうだし、お肌も喜びそうだし、体の細胞が元気になりそう!

ここまで書くと、どんな味か、気になりますよね。残念ながら文章ではお伝えしきれません。百聞は一味見にしかず!? ぜひ作って味わってくださいね。

 

まずは小豆を煮ましょう

このレシピで一番面倒だと思われる部分は、小豆を煮るという作業でしょう。でも、大丈夫。小豆は浸水しないでそのまま煮ることができるし、時間も一時間程度で煮上がります。買ってきた小豆は、多めにまとめて茹でてしまいましょう。使わない分は小分けにし、冷凍しておけば、かぼちゃの煮物に加えたり、砂糖を加えてお餅と一緒に食べたりと、とても重宝しますよ。

 

<小豆の茹で方>

(1)小豆はさっと洗って、色の悪いものなどは外す。

(2)たっぷりの水とともに火にかけて、沸騰したら一度ザルにあげて水を捨てる。もう一度たっぷりの水を加えコトコトと煮る。小豆が水から頭を出さないように気をつける。

(3)40〜50分程度茹でると、小豆が柔らかくなるので、木べらで潰しながらさらに煮る。焦げ付かないように、しっかりと混ぜる。木べらで鍋底に「一」という文字がかける硬さになったら、火をとめバットなどに移し、冷ます。冷ますとしっかりと丸く握れる硬さが良い。

*煮物などに使う分は(3)で潰す前に分けておく。

*300gの小豆を煮て、仕上がりは760g程度になる。

 

小豆の煮詰め方はこの程度、冷めると固くなる

 

 

小豆の準備ができたら、早速ブラウニーを作ってみましょう。

 

 

【ジャパニーズ・ブラウニー】

材料

バット(14×19㎝)1枚分

小豆(茹でたもの)    120g

甘酒(薄めていないもの) 80g

菜種油          大さじ1/2

 

米粉(製菓用)      25g

きなこ          20g

ココア          小さじ2

ベーキングパウダー    小さじ1/4

てんさい糖        大さじ1杯強

塩            ひとつまみ

 

レーズン         20g

くるみ          20g

 

好みでバナナ、りんご、オレンジピールなど

 

粉類はビニール袋にまとめておく。小豆はあんこ状の固さ

 

 

下準備

・くるみはフライパンで軽く炒って粗く刻んでおく。

・バットにオーブンシートを敷いておく。

 

<作り方>

(1)ボウルに小豆、甘酒、菜種油を入れて泡立て器で混ぜる。

(2)粉類はビニール袋に入れて、袋の中で材料をふわっと混ぜて、(1)に振り入れて混ぜる。

(3)くるみとレーズンを加え全体に混ぜ、型に入れて平らにならす(生地はポテッとした感じ)。

(4)バナナ、ドライフルーツなど、好みのものを並べて焼く。火通りが悪くならないように、間隔を空けて並べる。170度に温めたオーブンで20〜25分程度焼く。

(5)冷ましてから切る。

*レシピの分量だけ小豆を煮る場合は、乾燥小豆を50g用意する。

*バットの代わりに平たいマドレーヌ型などでもよい。

 

しっかりと冷ましてから切ると崩れずに切れる。トッピングはさわやかなりんご、子どもが喜ぶバナナ、絶妙な味になるオレンジピールなどお好みのものを

 

 

妖精「ブラウニー」に導かれて

さて、お次はお菓子の「ブラウニー」の名前の由来についてです。

茶色い見た目からという説と、北欧やイギリスの民話に出てくる茶色い妖精、ブラウニーからきているという説があるようですが、はっきりとしたことはわかりませんでした。でも、お話や絵本の世界にはまっている私にとって、ずばり興味のある分野です。妖精たちに導かれているかも! などとワクワクしながら、ブラウニーについて調べることにしました。

 

そもそも、妖精ってどんなもの? 妖精といえばピーターパンの「ティンカーベル」と森ノオトの「もりたろう」(どんぐりの精?)のイメージしかわかない私は、図書館に行って妖精について調べることにしました。

 

まずはびっくりです。今までの妖精のイメージが覆されました。

一千年以上も前から語り継がれているという北欧の民話に登場する妖精とは、小人に近いイメージで、可愛いらしいというより、ちょっと不気味な存在なのだそう。森に住んでいるので、目立たないように緑や灰色の服を着ているようです。可憐な羽の生えた美少女の妖精が登場したのはシェイクスピア(1564〜1616)の作品あたりからなのだとか。

 

民話に登場する不思議な生き物たちについて詳しく書かれている

 

 

ブラウニーは陽気で愉快な妖精。体の大きさは人間の子どもくらい、名前の通り、茶色い毛に覆われて、茶色い服を着ているそうです(赤い帽子や青い服を着ているという話もあり)。人間好きなブラウニーは、気に入った家の納屋や家畜小屋に住んでおり、夜、人間が寝静まった後に出てきて、家事や家畜の世話をしてくれるのだとか。姿は可愛らしいとは想像し難いですが、ありがたい存在ですね。

 

そして、ブラウニーがいる家は栄えるのだそうです。いたずら好きで人間を困らせたりもするのですが、気に入った家のためには一生懸命働いてくれます。ときにはよその家の収穫物を運んできたりなんてことも。でも、ひとたびブラウニーの機嫌を損ねるともう大変。仕返しはなかなか辛辣です。力は相当あるらしく、人間を投げ飛ばしたり、畑をめちゃめちゃにしたり……。

 

「いい奴だけどちょっと付き合い方がむずかしい」。

そんな印象のブラウニーです。

では、みなさん。ここで想像力を働かせてください。

もし、みなさんの家にブラウニーがやってきたらどうしますか? 接し方を間違えるととんでもないことになりますよ。にわかブラウニー研究家となった私からこんなアドバイスをしたいと思います。

 

ブラウニーとの付き合い方

・ブラウニーに対し、感謝の気持ちを忘れない

・姿を見ようとしてはいけない

・他の人にブラウニーのことを言ってはいけない

・礼儀正しく接する

・そして、お礼の食べ物を忘れない

・彼らの服装が汚いからといって新しいものを用意しない(ばかにされたと思ったり、きれいな服が手に入ったらそれを着て出ていってしまうなどの説があります)。

 

ということぐらいでしょうか。

お礼の食べ物は、クリームやオートミール、ビールなどを置いておくことが多かったようです。民話集の中にはとっても美味しそうな描写もありました。「バターを入れたオートミール、その上に肉桂と砂糖をたっぷりかけた……」。ブラウニーはどうやら甘いものが好きなようです。

ということは、妖精ブラウニーにお菓子のブラウニーを出したら結構喜んでもらえるかもしれませんね。

 

お菓子の名前からちょっとびっくりするような妖精のお話につながってしまいましたね。私は、今後、妖精が出てくるお話に出会うのが楽しみになりました。

また、他の妖精や小人、トロルなど、不思議な登場人物(?)のことももっともっと知りたくなりました。

 

昔の人たちは、生活の苦しさから、気を紛らわすための手段のひとつとして、お話を語り継いだのかもしれない

こんな本にも出会えましたよ。ガール・スカウトでは1年生から3年生の女の子たちのクラスを「ブラウニー」というのだそう。お手伝いの妖精さん。こちらは可愛らしい

Information

参考文献

『トロルの森の物語 北欧の民話集』ウィリアム・クレーギー:編、東浦義雄:編訳、東洋書林

『妖精の国への誘い』ロッドウェイ:著、井村君江:訳・注、福武書店

『むかしばなし・イギリスの旅』『島めぐり イギリスのむかしばなし』

アイリーン・コルウェル:再話、アンソニー・コルバート:絵、むろの会:訳、 読売書社

『ブラウニーものがたり』やまわきゆりこ:絵、ガール・スカウト日本連盟:文、社団法人ガール・スカウト日本連盟

『アメリカ郷土菓子』原亜樹子:著、PARCO出版

 

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この記事を書いた人
山田麻子ライター
横浜市青葉区在住。中学生女子、小学生男子の母。料理の仕事歴25年以上。管理栄養士。森ノオトでの初めての取材をきっかけに、絵本、詩、素話に出会い、その世界の虜に。以来、絵本と飲み物やお菓子の相性を考えるのが楽しみに。図書ボランティア活動、おはなし会のお菓子作りなどに心ときめく。現在の夢は「語り手」になること。 ブログ:スマイル*ごはんを始めよう
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