おうちで図書カフェ vol.2 新緑の季節におすすめメニュー
今回はさわやかな季節におすすめの絵本を紹介します。ガーデニングが好きな人も、そうでない人もこの本を読んだらきっとそわそわしてきますよ。ドリンクは旬のイチゴを使ったシュワシュワ系!「今年は何を育てようかな?」なんて考えながら図書カフェ時間をお楽しみください。

みなさん、読書の時間、楽しんでいますか? 子育てや家事に追われて、一人の時間を作るのがなかなかむずかしい……という方も多いかもしれませんね。そんな方は、家で楽しむ「図書カフェ」スタイルはいかがですか。カフェに行った気分で、読みたい本と飲み物を準備してくださいね。一人だけでというのが無理ならお子さんと一緒に「カフェごっこ」というのも楽しそうです。「今日はカフェで好きな本を読みましょう」と言って、小さなお客様をその気にさせてください。今回は、子どもも大人も大満足の絵本と飲み物を紹介します。すてきな「図書カフェ時間」をお過ごしくださいね。

 

春風がホコリを吹き飛ばしてくれたように、心地よい風が吹く季節になりました。初夏を感じさせる季節になると、がぜん私ははりきりだします。なぜなら冬の間眠っていた私の中の「気まぐれガーデナー」がむくっと起き出すからです。そうなると、土に触りたくて、何かを植えたくて仕方がないという気持ちになります。家の本棚にある園芸書を引っ張り出し、「今年こそ、ミニトマトをたくさんならせたい!」と意気込んだり、「寄せ植えには何を組み合わせようか?」と花屋さんを何軒もはしごしたり……。気のすむまで、庭やベランダへ行ったり来たりの日々が続くのです。

 

とはいえ、大雑把な性格なので、実は失敗する方が多いです。段ボールで生ゴミ堆肥を作っていたことがあるのですが、それを混ぜた土から生えてきたかぼちゃの芽をそのまま育てて、一つも実がつかず大きな葉っぱだけを茂らせていたり、山椒の木にいた蝶の幼虫を温かい気持ちで見守っているうちに葉を全部食べられてしまったり……。

 

家族から見たらなんとも頼りないガーデナーですが、私にとって土や植物と触れ合っている時間はとても幸せ。庭仕事の後は、心地よい疲労感と自然とつながることができたような満足感を味わっています。

 

このようにガーデニング気分が盛り上がっている私が、園芸書と一緒に楽しんだ絵本をご紹介します。

 

 

おすすめ図書カフェメニュー

 

『ぼくの庭ができたよ』

ゲルダ・ミューラー作  ささきたづこ訳  文化出版局

 

『リディアのガーデニング』

文=サラ・スチュワート  絵=デイビッド・スモール  訳=福本友美子  アスラン書房

 

『ぼくの庭ができたよ』は、これからガーデニングをやろうかなと思っている人にぜひ読んで欲しい一冊です。

 

お父さんとお母さん、ぼくとそして妹。4人家族が引越してきたのは広い庭のある家でした。荒れ放題の庭を、家族は楽しみながら「町で一番きれいな庭にしよう」と作業していきます。子どもたちも自分用に、レンガで囲った小さな庭を作ります。池を作ったり、野菜を育てたり……小さくても自分の庭がもらえるなんて、なんて楽しいことでしょうね。

 

大きなりんごの木に憧れてしまう

 

夏の夜、ろうそくを灯して庭でのおしゃべり、秋のたき火、落ち葉を積み上げて堆肥作り、春のための球根を植え、そして冬になる前には庭に来る小鳥たちのエサを用意しておく。季節ごとの庭での過ごし方や仕事がていねいに描かれています。

 

また、庭づくりを通して、素敵なお友達もできます。お隣のマンションに住む車いすに乗った男の子、ルーカスです。ルーカスはベランダでたくさんの花や野菜を育てています。子どもたちは、お互い、野菜をご馳走し合ったり、庭にやってくる鳥を一緒に観察したりと楽しい交流をするようになります。

 

私も庭仕事をしているとご近所さんとの会話が増えます。植物は人と人を自然に結びつけてくれるのでしょうか。

 

 

我が家の庭もこの春リフォームを終え、何を植えようかと考えるのが楽しい今日この頃。広さは違うけれど、参考になることもたくさんある

 

 

この本を読んだ長男(小4)は「宝くじが当たったらこの何倍もの大きな庭を作る!」と言っていました。ぜひ、母も一緒に作業させてほしいなあ。長女(中1)は「こういう庭がいいよねえ」とうっとりと言いながらも、現実に戻り、実際に我が家の庭で育てられそうなものを考えていましたよ。

 

さて、もう一冊は『リディアのガーデニング』です。

この本は、以前、私が取材した家庭文庫「おはなしのへやぽっぽ」の二塚はる子さんが「大人のためのおはなしカフェ」で読んでくれた本です。絵本を読んでもらう、ただそれだけことなのに、静止画である絵がまるで私の中で動きだし、文章からは登場人物たちの表現されていない感情までがひしひしと伝わってくるのです。その時の感動が大きくて、いつか記事にして紹介したいと思っていました。「絵本ってすごい!まるで質の高い映画を見ているみたい!」と私の中で、絵本の存在が大きく広がり、体の中に染み込んでいく感覚でした。

 

ガーデニングの素晴らしさを教えてくれる「リディアのガーデニング」

 

物語は1930年代、アメリカの不況時代が背景になっています。リディアは田舎に住む女の子。ガーデニングが大好きで、両親とおばあちゃんと暮らしていますが、不況下で、お父さんの仕事がなくなり生活が苦しくなります。

 

そこで、親戚のおじさんが営むパン屋さんでしばらくの間預かってもらうことになります。そのおじさんというのは無口でにこりとも笑わない無愛想な人。でも、リディアは前向きに、「おじさんはそのうちきっとにっこりするわ」とお店を手伝いながら、花の種を蒔き、球根を植えます。ページをめくるごとに、リディアが咲かせた花が増えていき、読者を明るい気持ちにさせます。田舎に住む家族と手紙のやりとりをしながら、ガーデニングを楽しむリディア。そんなリディアの姿を見て、町の人たちも応援してくれるようになります。そして、にこりともしないおじさんの様子も少しずつ変わっていくのです。

 

この本は自分で読むのもいいのですが、できればご夫婦やお友達とお互いに読み合ってみてください。絵本は自分で読むものではなく、人に読んでもらうものだと聞いたことがあります。この本はまさに読んでもらうことでお話が絵本から立ち上がり、動き出すことを実感できるでしょう。

 

私も家族に読んであげたいと思っているが、何度読んでも感動してうるうると泣いてしまうので、まだ実行に移せていない

 

 

おすすめドリンク

 

『ぼくの庭ができたよ』でも「ぼく」が友達にくだものの入ったおいしい飲み物をごちそうしている

 

 

 <イチゴのハチミツスカッシュ>

 読書と共にこの飲み物はいかがでしょうか。

ガーデニングの気分を盛り上げてくれる2冊の本と一緒に飲んで欲しいのは露地物がおいしい、旬のイチゴを使った炭酸ドリンクです。ローズマリーの香りが蜂蜜の甘さをきりりと引き締めてくれます。柑橘系やキウイなどでも美味しく作れますよ。

 

<材料>

イチゴ

ハチミツ

炭酸水

ローズマリー

 

⑴イチゴは洗って水気を切り、イチゴがからまる程度のハチミツをからめておく。時間が経つといちごから水分が出てハチミツがピンク色になる。すぐに使いたい場合は、イチゴを潰してもよい。

 

⑵ ⑴シロップとイチゴを大さじ2杯程度、ローズマリー3㎝程度をグラスに入れ、炭酸水を注ぐ。

 

 

※イチゴのハチミツマリネは、前の日から準備しておくとより美味しくなります。冷蔵庫で保存し、3日程度で食べきります。

 

一日経つとピンク色のハチミツシロップが出てくる。我が家はたくさん作って、ヨーグルトに入れて楽しむ

 

Avatar photo
この記事を書いた人
山田麻子ライター
横浜市青葉区在住。中学生女子、小学生男子の母。料理の仕事歴25年以上。管理栄養士。森ノオトでの初めての取材をきっかけに、絵本、詩、素話に出会い、その世界の虜に。以来、絵本と飲み物やお菓子の相性を考えるのが楽しみに。図書ボランティア活動、おはなし会のお菓子作りなどに心ときめく。現在の夢は「語り手」になること。 ブログ:スマイル*ごはんを始めよう
未来をはぐくむ人の
生活マガジン
「森ノオト」

月額500円の寄付で、
あなたのローカルライフが豊かになる

森のなかま募集中!

寄付についてもっと知る

カテゴリー

森ノオトのつくり方

森ノオトは寄付で運営する
メディアを目指しています。
発信を続けていくために、
応援よろしくお願いします。

もっと詳しく